31話
タイキとの模擬レースを経て、スぺのダービーに向けての特訓もヒートアップしてきた。
「スぺー、しっかり走れよー。
ピッチ走法をマスターしたとはいえ、それと今までのストライド走法を切り替えできなきゃ諸刃の剣だ。
ダービーにはスカイやキングだけじゃなくてエルもでるんだ。しっかり体に叩き込め!」
「は、はい!」
スぺは俺の声にそう返す。
「よーい、スタート!」
俺の声と共に、スぺはスタートを切る。
上からは沖野さんの声が聞こえてくる。
「今度のダービーは、今までより長い!疲れ切った後半に坂があるんだ、これ位でへばるなよ!」
スぺは一気に駆けあがっていく。
そして沖野さんから俺に声がかかる。
「ハンター!今から一本行くぞ、行けるな?」
「了解っす!」
そう答えて俺は階段の前に立つ。
「よーい、スタート!」
「しゃあっ!」
俺は一気に階段を駆け上がっていく。
「は、はやっ!?」
「スぺ先輩よりも圧倒的に…!?」
俺の走りを見てウオッカとスカーレットはそのスピードに驚く。
「…あいつは重バ場、ダートに坂、どんなとこでも走れるのが強みだ。それに加えてスピードもあのシンボリルドルフ並みにある。
それを組み合わせれば…」
俺はその勢いのまま沖野さんの前を通り過ぎていく。
「…これぐらいできるって訳だ」
沖野さんが見せるストップウォッチには38秒の文字が示されていた。
「さ、38…!?」
「エグイな」
俺は息を落ち着かせて、沖野さんに話を聞く。
「ちなみにさっきのスぺのタイムどれぐらいっすか?」
「42秒。ダービーを考えれば40秒は切ってほしいところだ」
そう話していると。スぺは階段を下りて行っていた。
「トレーナーさん、ハンターさん、もう一本お願いします!」
俺はそれを見て呟く。
「…まだまだできそうだな、スぺ」
俺はスぺの後ろを追うように階段を下っていった。
◇ ◇ ◇
生徒会室にて。
「ハンター、これを頼むよ」
「おっけ、ってかそれも俺たちにやらせろ。お前じゃなくてもいい仕事だろ?」
「そうです、会長はもっと私たちを頼って下さい。ブライアン、これやれ」
「分かった」
…いつもの生徒会業務である。
「ダービーが終わったら、感謝祭か…」
ルドルフがペンを動かしながらそう話す。
「…だな」
俺はそう返してエアグルーヴに続けていく。
「エアグルーヴ、要望とかどんなもんだ?」
「それならこちらに…」
エアグルーヴが示した先には大量の書類の山があった。
「…毎年、この量は何とかならないものか」
ブライアンがそう呟くが、ルドルフが宥める。
「まあいいだろうブライアン、それを議論していくのも我々の仕事だ。
談論風発。しっかりとした議論を交わしていこう」
「そうだな」「分かってます」「…ああ」
ルドルフの言葉に俺達3人はそう返していった。