無敗の狩人と呼ばれるウマ娘になった   作:W297

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35話

「や…、やったー!スズカさん、ハンターさんやりました!」

 

 スぺはそう言いながら俺とスズカに抱き着いてくる。

 

「ええ、おめでとう!」

 

「ああ、よくやったぜ。俺はお前を誇りに思うよ」

 

 スズカは改めてスぺを抱きしめ、俺はスぺの頭を撫でる。

 

 そんな中、エルが俺達に近づいてきた。

 

「…スぺちゃん」

 

 …このエルはいつも俺たちが見ているエルとは違った。

 

「…ありがとう。

 

 ワタシ負けたけど、今まででいっちばん楽しいレースでした!」

 

「…私も!エルちゃん、ありがとう!!」

 

 スぺはエルにそう言いながら抱き着いた。

 

 東京レース場から惜しみない拍手が送られる。

 

 エルにとっては初めての敗北だ。悔しさもあるだろうが、間違いない。

 

 …これは素のエルだ。

 

 スぺがスピカの面々にもみくちゃにされてる中、俺はエルに近づき話す。

 

「…素に戻ってたな、エル。久々に見たよ」

 

 エルは俺と同じように小声で返してくる。

 

「今の素直な気持ちを伝えたくて、いつものワタシじゃダメだなって…」

 

 そのままエルは続けていく。

 

「…でも、負けるっテ…、こんなに悔しいんデスネ…」

 

 エルの目には涙が浮かんでいる。

 

 ここまで負けなしで突っ走って来たんだ。その悔しさは計り知れない。

 

 俺はエルの頭に手をポンと置く。

 

「…ああ。こっからどうするか、それはお前の頑張り次第だ。

 

 この後東条さんやルドルフにしっかりしごいてもらって来い。俺も時間空いてるなら走ってやっからよ」

 

「…ハイ!」

 

 エルは俺にそう元気よく返した。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 …ダービーから戻ってきて。

 

「も、もう一本…!」

 

 俺はトレセン学園のダートコースを走っていた。

 

 …1週間後、サマードリームトロフィーの予選第2戦がある。

 

 ここで勝つことが出来れば、本戦への出場確定だ。

 

 …ドリームトロフィーを連覇している俺が、予選で終わって良いわけがない。

 

 それにHuntersに聞いたところ、第2戦用、本戦用と別の応援歌を用意してくれたそうだ。

 

 その期待に答えないわけには行かない。

 

「よっしハンター、ラスト一本、全力で行け!」

 

 沖野さんからそう俺に声がかかる。

 

「よーい、スタート!」

 

 俺は土煙をあげながらダートを駆け抜けていく。

 

 …俺のライバルは、間違いなくアイツ、スマートファルコン。

 

 俺が去った後のトゥインクルシリーズのダートを盛り上げ続けた第一人者だ。

 

 あいつの走り方は…とにかく逃げる。アイツの大逃げはスズカにも劣らないだろう。

 

 …追い込みを信条とする俺にとっては、良い相手だ。

 

 ファル子も恐らく勝って、本戦でぶつかる筈だ。

 

 そのためにもここからしっかり準備して行かないとな。

 

 俺はいつものようにスピードを上げていった。

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