ファンファーレと共に俺を含めたウマ娘はゲートに入っていく。
…ここにいるのはただでさえ猛者が集うドリームトロフィーのトップ層。
対戦相手としてちょうどいい。いつも以上に気合が入ってくる。
…このゲートが閉まってから開くまでの一瞬、この時間だけは騒がしいスタジアムも静かになる。
…そして、今。
ガタンッ!
ゲートが開かれて、レースがスタートした!
予想通り、ファル子は最初からぶっちぎっていく。
俺もいつもの後方に控える形だ。
…向かい風とか、ターフが荒れていたりとかはない。
そして、サポーターの応援もいつも以上に熱が入っていた。
俺の耳にはいつもの5割増しで聞こえてきたように感じた。
…この舞台で大チャンステーマとはね。やっぱり良い選曲してるよ、ウチのサポーターは。
他のサポーターの声もいつもより増しているが、Huntersの声は相変わらずに俺にはっきりと聞こえていた。
…そのままレースは進み、俺がポイントとしている第3コーナーに差し掛かっていく。
ここでいつ仕掛けるか、それが勝負を分ける。
ファル子は一人で相変わらずぶっちぎっている。タレてきてる様子もない。
スカーレットやウオッカより、ファル子は速い。それを考えて。
第3コーナーを過ぎて、1、2、3…。
「…ここだッ!」
俺は温まっていた足を使いギアを最大にする。
後ろから一気に外側を回っていき、他のウマ娘を追い越していく。
…ホームストレートに入り、中山名物の心臓破りの坂が俺の目の前に大きくそびえたつ。
ファル子も視界にとらえた。
「…絶対、勝つ!」
俺は更にペースを上げていく。
…このレース終了後、しばらくの間レースはない。
ここで燃えなくて、どこで燃え上がるんだ、シンボリハンター!
俺は坂に入っていくがペースは落とさず、さらにペースを上げた。
ファル子との距離もだんだん縮まってくる。
…スピカの面々やHunters、観客の声が俺の耳にダイレクトで届いてくる。
俺はファル子と並んでいく。
…そのまま差し切ろうとしたがファル子も粘ってきた。
…中山の坂を登り切った後は短い。
俺とファル子はデッドヒートを続けていく。
…俺はペースを上げた。足はまだギリギリ残ってる。
『無敗の狩人』の名に懸けて、『スピカ』というチームのバンディエラとして、絶対に負けられないんだ俺は!
そのまま俺とファル子はほぼ同時にゴール板の前を通過した。
…いつものように、右手は掲げられなかった。それぐらい、今までのレースよりも白熱していたからだ。
俺は膝に手をつきながら掲示板に着順が掲載されるのを待った。
…今回のチャントは旧ロッテチャンステーマ1、通称『大チャンステーマ』。
前回に引き続きMVP系統の応援歌。
…実際動画で見てみるとやべえっすね。体験してみたかった…。