スぺが来た次の日の昼休み。
「…ハンターさん、隣いいか?」
「…オグリ達か。別に大丈夫だよ」
いつものようにカフェテリアで昼食をとっているときに、俺に声をかけてきたのは俺のカサマツ時代からの後輩、オグリキャップ。
その前には大量のご飯がまるで塔のように積みあがっている。カサマツ食糧庫壊滅事件は記憶に新しい。
「しっかし、またけったいなもん食うとるなハンターさんは…。舌壊れてるんとちゃいますの?」
俺が食べている『シンボリハンター監修!!超極激辛麻婆丼』を見ながら関西弁でそう話すのはオグリと同室のタマモクロス。
オグリのマイペースに振り回される代表格であり、トレセン学園の中では数少ない常識人だ。
「ほんとですよー、体は壊さないでくださいねー?」
そして溢れんばかりの母性で包み込もうとしてくるオグリ達と同期のスーパークリーク。
…一度彼女の手によってオギャりかけたことは黒歴史だ。
タマとクリークの同室であるナリタタイシンは既に落ちていたが俺は耐えた、耐えきった。
あと、ここにはいないがこいつらより一つ下のイナリワンもよく絡んでいるが今日は不在のようだ。
「大丈夫だよ、普通に食えてるから。俺が好きで食ってるんだし。タマも食うか?」
俺の言葉にタマは「遠慮しときます」と軽く断る。
「…そういえば昨日、新しいコが来たみたいですねー。ハンターさん迎えに行ったんですか?」
そうクリークが話しかけてくる。まあ色々荷物とか運んでたら気づくか。
「まあな、それが俺の仕事だし。その内トゥインクルでも見れるようになると思うよ」
「で、なんか特徴あったりするんですか?これが得意―とか」
「さすがに走りも見てないからそこまでは分からねえよ、タマ。…ただ」
「「ただ?」」
俺の言葉に疑問を持ったのはタマとクリーク。オグリは無言で人参ハンバーグ(オグリ盛り)をがっついている。
「…多分結構大食い、オグリが10としたらアイツは9ぐらいかな」
俺がそう言うとオグリの方からガタッという音が聞こえてきた。
「…ほう、それは楽しみだ」
オグリが一瞬箸を止めた。それに気づいたタマが慌ててオグリに突っ込む。
「ちょい待ちオグリ!それレースちゃうやろ!?」
「…
「何言うとるかわからんわ!口の中のモンはよ無くせ!」
「…ほほえましいですねー、この二人の漫才って」
クリークはそうしみじみとした目で二人の方を見つめている。…保護者か。
「そうか?…まあこの二人の漫才は面白いからまたどっかのイベントでやってもらおうかなって思ってるけど」
「ウチ好きで漫才やっとるわけやないんやけど!?というかハンターさんまでそっち行かんとってもらえます!?」
俺の言葉に対するタマのツッコミがカフェテリアの一角に響き渡った。