50話
エルがジャパンカップを取ったことにより、フランス遠征が確定した。
…まあ元からその予定ではあったとはいえ、さすがのエルではある。エアグルーヴもいたしな。
そして、俺的に問題だと思っているのがエル、エアグルーヴに次いで3着に入って大号泣していたスぺ。
スズカのために、と思う気持ちがあったんだとは思うが…。最近練習にも力が入り切ってない感じがする。
なんとかして欲しいところではあるが…。
…とはいえ、俺の渡仏前ラストレース、年明け直後、府中で行われるウインタードリームトロフィー本戦は近づいてきている。
ここで負けたら何の意味もない。しっかり獲ってから渡らせてもらうとしよう。
◇ ◇ ◇
「「「は、ハンター(さん)がフランスに行く!?」」」
スピカのメンバーに俺が渡仏することを伝えるとスピカの部室に驚きの声が響いた。
「な、なんで行くんすか!?」
「エルが凱旋門挑戦するから。今回は絶対に勝ちたいんだとよ」
ウオッカの疑問に、俺はそう返していく。
「…ハンターが凱旋門取ってるから、その経験を伝えて欲しいってことか」
ゴルシは落ち着いた口調でそう話してくる。
「そういうことだ、ゴルシ。
日本で凱旋門を取ったことがあるのは俺だけだしな」
俺はそのまま続けていく。
「まあ、海外の設備とかトレーニングも勉強したいしな。しっかり成長して戻ってくるよ」
スピカのメンバーに俺はそう話していった。
◇ ◇ ◇
レース前日、俺は会見に臨んでいた。
「…はい、いつも通り勝つだけですね。今回も負けるわけには行かないですよ、そりゃ」
一通りの質問を経て、俺は話していく。
「…そして、ここからこのレースが終わった後の話をさせてもらいます。
…エルコンドルパサーが今年からフランスへと遠征することはみなさんご存じかと思います。
…それに伴いまして、この俺、シンボリハンターもそのフランス遠征に帯同することになりました」
…俺が報道陣に向けていうまで、知っていたのは学園の上層部とリギル、スピカの面子のみ。
ざわっ!?という声が部屋に広がっていく。
…一応、東条さんや沖野さんに会見でこの話をすることを許可してもらったうえで、話した。
「つきましては1年間…、来年のサマードリームトロフィーとウィンタードリームトロフィーですね、このレースには出ることができません。
もちろんフランスでもトレーニングは続け、エルコンドルパサーの遠征が終了次第、日本に復帰させてもらう予定です。
…フランスで得た知識をいかして、レースで活躍させてもらうことは、この俺、シンボリハンターの名に懸けて、ここに誓わせてもらいます。」
俺はここで一呼吸して、さらに「最後にサポーターを含めた全てのウマ娘に関わる皆様に向けて」と続けていく。
「…どうか、俺の離脱前最後のレースを、このウィンタードリームトロフィーを、ウイニングライブまでしっかりと最後まで見届けて頂きたい。
…よろしくお願いします」
俺はそう言いながら頭を下げた。