…府中レース場。
「…行くか」
地下バ道で俺は入場を待っていた。
もちろん今回も大外18番である。
いつものように応援歌を耳にしながら登場するんだと思っていると、前のウマ娘の応援歌が終わると同時に流れてきた。
…もちろん届いてますよ、ずっと。
俺への熱い応援を聞きながら、俺は走り出す。
『8枠18番!‟無敗の狩人”、シンボリハンター!』
そして、俺の耳にはトランペット付き、本戦用の応援歌が聞こえてきた。
…1年間は応援できなくなるんだ。気合も入ることだろう。
俺はHuntersに向けて拍手を送りながら、ゲートへと向かった。
◇ ◇ ◇
ゲートに入って、俺は胸に手を当てて「ふうっ」と一息つく。
さあ、始めようか。
ガタンッ!
ゲートが開かれると同時に、全てのウマ娘がスタートを切る。
…天候は曇り、ダートは乾いても湿ってもいない状態。
フィールドに問題はなさそうである。
今日もいつも通り後ろに待機して、追い込んでいく形である。
前方もファル子が突っ走っている。…いつもより早めに仕掛けるとするか。
いつもより10割増しぐらいに聞こえてきた大チャンステーマを浴びながら俺は脚を早めていく。
…第3コーナーに掛かると同時に、俺はギアを変える。
「…持ってくれよ、俺の足!」
俺は一気にスピードを上げて、周りのウマ娘を置き去っていく。
…ターゲットは先頭のファル子。やっぱり、明確な目標がいるのであれば走りやすい。
土煙をあげながら、坂に差し掛かるところで俺はファル子と並ぶ。
脚はまだ残ってる。行けるだろこの勝負!
俺は脚を動かして、坂を駆けあがっていく。
「…そう何回も、負けるわけには行かないんです!」
ファル子も俺を置き去ろうとスピードを上げてくる。
「そうだよな、ファル子。
…でも、俺もそうやすやすと負けるわけには行かないんだよ!」
そう言いながら俺はスピードを上げる。
坂を登り切った後、俺はファル子を置き去る。
俺は右手を大きく上に掲げながら、ゴールマークを駆け抜けた。
◇ ◇ ◇
俺はフェンスを飛び越えてターフの上を滑っていく。
「シャー、オラァ!」
俺は大きく吼える。
そしてそれと同時に、Huntersから勝利のSee Offが流れてきた。
タオルマフラーとフラッグが府中のスタンドの一角で大きく舞い踊っている。
そしてもう一曲、この前の「激しい叫び」ではない曲が流れてきた。
…この曲、何だったけ。
でも『俺たちの全て』って言ってもらえるのはホントに嬉しいな。
俺はサポーターの前に行き、前列の人からメガホンを受け取る。
「…えー、まずは…、勝ちましたー!」
俺がそう叫ぶと地鳴りにも似た歓声が上がる。
「俺のフランス遠征前最後のレース、勝ててホントに良かったです。
みなさんの応援は俺にしっかりと届いてました!
1年間、俺はレースに出れませんが、また戻ってきたときに大声援、よろしくお願いします!
今までありがとうございました、行ってきます!」
俺はそう言いながら大きく頭を下げた。
…ライブでも言うことは出来るが、俺はHuntersのみなさんに直接伝えたかったからこうさせてもらった。
選択に、後悔はない。行ってくるとしますか。
俺はその後P.A.R.T.Yをしっかり踊り切り、その日を終えた。
最初のチャントは町田ゼルビア(J2)の『Love me tender』、最後のチャントは同じく町田ゼルビアの『PASION」。
両方ともに歌詞がかっこいいんですよね。