空港にて。
スピカ・リギルのメンバーが俺とエルを見送りに来ていた。
「ホントに行っちゃうんすね…」
「少し寂しくなりますね…」
「まー、1年の辛抱だよ。戻ってきたらまた一緒に走ってやるからさ、ウオッカ、スカーレット」
不安そうに話してくるウオッカとスカーレットに俺はそう話していく。
「ゴルシ、俺がいない間のスピカは任せるよ」
「おう!このゴルシちゃんに任せときな!」
ゴルシは俺がいないときは最年長になる。…まあ俺が来る前からスピカにいるから大丈夫だろうけど。
「マックイーン、ゴルシが暴走したときはお前が止めろ」
「なかなか無茶なこと言いますわね!?…まあできる限りはさせてもらうつもりですわ」
マックイーンにはこう話す。…うん、無茶とは分かってるけどさ。
「テイオー。ルドルフを目指すなら英語とかフランス語も勉強し始めとけよ」
「心配ご無用!ボクにかかれば余裕だよ!」
テイオーにはこうだ。ルナも最終的に海外行ったし、強ければ海外挑戦も視野に入ってくるし。
「スズカ、お前は今は完治させることだけを考えろ。無理に走ろうとして焦るなよ」
「ありがとうございます、ハンターさん」
スズカは怪我のギプスが取れたとはいえ完治には程遠い。無理にやろうとして悪化させることは一番だめなことだ。
…そして最後に。
「スぺ、今のお前に俺から言えることは一つだよ。『…自分の原点を忘れるな』。
…これが出来ないならお前はレースに勝てねーよ」
「…自分の、原点…」
…スぺのジャパンカップで勝てなかった理由は大体わかるが、ここで簡単に教えるわけにも行かない。
どうか自分で答えを見つけてくれ、スぺ。
その後、俺はルナたち生徒会組の元へと向かう。
「エアグルーヴ、ブライアン。ルドルフが仕事しすぎてるときには引き剝がしてでも止めてやれ。
こいつは止まるっていう言葉を知らないからよ」
「…分かった」
「もちろんです。生徒会はお任せください、ハンターさん」
ブライアンとエアグルーヴはそれぞれらしい返事を俺に返してくる。
「なかなかキツイことを言ってくれるな、ハンター」
そしてルナが苦笑いしながら話してくるので、俺はそれに続けていく。
「その通りなんだから仕方ねーだろルドルフ。
俺も人のこと言えたもんじゃねーけど、お前は一度止まるってことを覚えろ」
そして沖野さんと東条さんが話してきた。
「ハンター、お前無茶すんじゃねーぞ?」
「分かってますよ。沖野さんこそ無茶しすぎないでくださいね?」
「…ハンター、向こうにもスタッフがいるとはいえエルと一番付き合いが長いのはお前だ。
エルを頼むよ」
「言われなくても。
しっかり凱旋門取らせて帰ってきます」
沖野さんと東条さんからはそう話していく。
…色々と話していくと、俺とエルが乗る飛行機のアナウンスがあった。
「ハンターさん、行きマスよー!」
「あ、エルちょっと待ってくれ。
お前に聞かせたいもんがある」
「ケ?」
俺が示した先にはHuntersがいた。
飛び立つ前、鳴り物系は使えないがエルに声援を…と頼んだところ「喜んで!」と引き受けてくれた。
「こ、コレは…」
「お前の応援歌な。俺が頼んどいたんだよ。気持ちが上がってくるだろ?鳴り物は空港だから使ってないけど」
俺がそう言うとエルは「ハイ!」と元気よく返してきてくれた。
「みなさん、私頑張ってキマス!いい結果待っててくだサイ!」
「その意気だエル。…皆さん、行ってきます」
俺とエルは見送りに来てくれた人たちに手を振りながら出国ゲートへと向かった。
エルに使った曲は鷹野史寿選手(オリックス・ブルーウェーブ)の応援歌。
この曲はまさにエルだな…と。