フランスに来てからしばらくして。
エル初めてのフランスでのレース、イスパーン賞は2着に終わった。
…とは言ったものの、俺としては結果にこだわってはいなかった。
俺的にはG1レースとはいえフランスの芝になれることを目的としたのがこのレースだったからだ。
だんだんエルも慣れてきて感覚もつかめて来たらしい。
東条さん達と話し合い、次のレースは凱旋門賞と同じ芝2400のサンクルー大賞。
ここでの目標は前回とは違い一位を取ること。
エルも気合が入っていた。
「今日もエルは良い感じ…っと」
そんな中、誰かが俺に声をかけてきた。
「へえ、あの子がエルコンドルパサーね…」
ルーヴルだった。後ろにはもう一人着いて来ている。
「どうしたんだよ、ルーヴル。偵察か?」
「そうよ、何か悪いかしら?」
「別に…?今のエルは見られようがどうってことねーよ」
俺がそう話していると、ルーヴルの後ろにいたウマ娘がルーヴルに声をかけた。
「会長、この人があのシンボリハンターさんですか?」
「そうよ。私が負けた日本のウマ娘姉妹の一人。ハンター、あなたは妹の方だっけ?」
「ああ、姉がルドルフだな。…で、そのウマ娘は?」
俺がそう言うとそのウマ娘は話してきた。
「私はブロワイエ、あなたのことは会長からよく聞いてますよ」
ブロワイエ。確か今のフランスを代表するウマ娘だったはずだ。
恐らく凱旋門にも出てくるだろうし、エルの大きなライバルとなるだろう。
「へえ、嬉しいね。そこまで俺たちに負けたこと悔しかったんだ、ルーヴル」
ブロワイエの言葉に俺がそう続けると、ルーヴルは俺に怒ってくる。
「悔しいに決まってるでしょうが!
凱旋門賞とれると思ったら「調子に乗んな!」って言われたウマ娘に一気に差しぬかれて!
リベンジで日本に行ったら行ったでそいつの姉に完膚なきまでに叩き潰されて!
アンタ達姉妹は私に恨みでもあるの!?」
「はは、そりゃ悪い悪い」
「絶対悪いと思ってないでしょ!」
「ちょ、ギブ!ギブだってルーヴル!?」
ルーヴルを軽くいなしていると俺に技をかけてきた。
俺は解放されるとブロワイエに話しかける。
「…ったく、ブロワイエだったか?そんなにこいつ俺たちのこと話してんの?」
「少なくとも、「こんなこと二度としないから!」とは話されていますね」
そこまでだったのかよ、ルーヴル。
「っていうかさ、俺が「調子に乗んな!」って言ったのはお前が「日本のウマ娘なんかが勝てるわけないでしょ」って挑発してきたからだぞ?
あんなこと言われなかったら俺も言わねえっての」
「そうだけど…。あのときの私はホントに調子乗ってたのよ…」
そう言いながらルーヴルは肩をすくめる。
ちなみにルーヴルと仲が良くなったのはレースの後。
ルーヴルが謝って来たので俺も許し、そこから交流が始まったという感じである。
「…まあ、良いわ。今日はエルコンドルパサーを見に来ただけだし。あなたにブロワイエも見せれたし。
帰るわよブロワイエ」
「はい、会長。ハンターさん、また会いましょう」
そう言って2人は帰って行った。