無敗の狩人と呼ばれるウマ娘になった   作:W297

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58話

 凱旋門賞当日、俺はスタンドの最前列でエルを見ていた。

 

「…上からの方が見やすいんじゃないの?」

 

 ルーヴルがそう俺に話しかけてきた。

 

「ここがいいんだよ。エルの勝つところを最前線で見たいしな

 

 それにお前もだろルーヴル。フランスの会長さんがこんなところにいていいのか?」

 

「ちょっとアンタと話したかったのよ、すぐに戻るわ」

 

 ルーヴルはそう続けていく。

 

「…ブロワイエはジャパンカップに行くわ。凱旋門賞というタイトルを引っ提げてね。

 

 今年は私もそれについてくつもり。

 

 この後正式に連絡はするつもりだけど、日本に行ったときは盛大に歓迎しなさいよ?」

 

 へえ、日本に来るのかブロワイエ。

 

「了解した。『お前の時みたいに』、盛大に歓迎してやるよ」

 

「ブロワイエは私のようにはならないわよ!」

 

 ルーヴルは俺にそう叫んできた。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 レース直前、俺を見つけたエルは走って俺の方に寄ってくる。

 

「エル、ブロワイエや他のウマ娘達は間違いなく強い。

 

 だけど、俺の特訓を耐えきったお前ならできるはずだ。

 

 勝つって信じてるぞ」

 

「もちろんデース!私に任せておいてくだサイ!」

 

 エルは元気よく俺にそう返してくる。

 

「…間違いなく、日本であいつらも見てくれてる。

 

 …生徒会副会長として命令だ。

 

 

 

 世界を取って来い、エルコンドルパサー!

 

「了解デース!」

 

 エルはそう言ってゲートへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 ファンファーレが鳴り響き、続々とウマ娘達がゲートに入っていく。

 

 エルが入ったのは2枠。

 

 …これを実行するにあたって東条さんに「直前で作戦変えてもいいですか?」と確認し、「作戦はお前に任せる、ハンター。責任は私が取るわ」という言葉を貰った。

 

 それなら心配することはない。東条さんにも感謝である。

 

 すべてのウマ娘がゲートの中に入り、ロンシャンレース場には一瞬の静寂が流れる。

 

 この一瞬の静寂はどこの国でも変わらない。

 

 …そして。

 

 

 

 ガタンッ!

 

 

 

「…さあ、思いっきり楽しんで来い、エル!」

 

 ゲートが開かれると同時に俺はそう話す。

 

 エルは他のウマ娘を気にせずに先頭に立ち、加速しながら差を3バ身、4バ身と離していった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 日本、トレセン学園。

 

 

 

「大逃げだと!?」

 

 

 

 エルコンドルパサーが他のウマ娘を引き離しながら、ぐんぐんと加速していくのを見て、東条ハナは立ち上がりながらそう叫んだ。

 

「グラスちゃん、エルちゃんが大逃げをしたことって…」

 

 スペシャルウィークの言葉にグラスワンダーは「いいえ」と首を振る。

 

「エルの走りが結果的に逃げになることはあっても、初めから逃げる走り方なんて見たことないです。

 

 しかもこの凱旋門賞という大舞台で…」

 

「…エルコンドルパサーなら出来ると確信したんだな、ハンター」

 

 シンボリルドルフはテレビ画面を見ながらそう呟いた。

 

 

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