スズカの復帰レースがジャパンカップの前日に決まった。
…チャントシステムの実証実験となるレースだ。
まさか、ここに来るとはな。
スピカの面々も順調に勝ち星をあげており、俺の調整も順調だ。
…走ってみたところ、まあそこまで感覚も失ってなかった。
来年のサマードリームトロフィー予選には余裕で間に合うだろう。
…なお、俺のいないサマードリームトロフィーはファル子が見事にぶっちぎったらしい。
そして、ウインタードリームトロフィー決勝ではオグリも今回だけこっちに来てくれる。
オグリとファル子の対決、面白いものになりそうだ。
◇ ◇ ◇
…そして。
「…どうでしたか、北海道は?」
マックイーンが北海道から帰ってきたスぺにそう話しかける。
「ばっちり休んできました!トレーナーさん、さあトレーニング早く行きましょう!」
スぺはそう言いながら外に出ようとするが、見事に転ぶ。
「…里帰りして、いろいろ初心に戻ったみたいだな」
沖野さんの言葉に「スぺちゃんらしいね」とテイオーが続けていく。
「…天皇賞まであと少し、完璧に仕上げるぞ!」
「…はい!」
沖野さんの言葉に、スぺは床に転んだままそう返した
◇ ◇ ◇
スぺの秋天の日。
俺はスズカと共に学校に残っていた。
俺が残った理由はスズカが残ると言ったためである。
スズカ曰く、「ライバルだから、他にやるべきことがある」らしい。
…まあ、その気持ちが分からないでもない。
「…じゃ、スズカ。本気で一本走ってくれるか?」
「分かりました」
スズカはそう言ってスタート位置に走っていく。
「…天皇賞もそろそろ始まるかな」
俺は時計を確認してそう呟き、スズカに向けて話していく。
「…じゃ、よーい…、スタート!」
俺の声と共に、スズカは走り出していく。
スズカは段々と体を倒していき、スズカがトップスピードを発揮できる前傾姿勢になる。
…脚も以前のようには行かないが、戻っては来ているみたいだ。
以前までは怪我への恐怖もあったみたいだが、それも振り切れてる様子、心配はいらないだろう。
スズカはそのまま、最後のホームストレートに差し掛かる。
…脚は衰えてはいない。
トップスピードのまま、スズカは俺の前を通過していく
「…以前のスズカに比べたら物足りないが、まあ上々か」
俺はストップウオッチのタイムを確認してそう呟く、
沖野さんから俺がフランスにいる間のスズカについて、いろいろと教えてもらった。
その時のタイムに比べたら十分に速くなってきている。
「…タイムも以前とは行かないけど、戻って来てはいるな」
「…ありがとうございます」
俺の言葉にスズカはそう返してきた。
…ほぼ同時刻。
府中の東京レース場にて、スぺがレコードで天皇賞を勝ったのを聞いたのはその後の話である。