66話
スズカの復帰レース、そしてジャパンカップを前にして。
ブロワイエがジャパンカップに挑戦することを正式に発表した。
それと共にルーヴルが日本に来ることを表明している。
「ああ、もちろん準備してる。
お前らもしっかり調整してきてくれよ?」
『言われなくても、ブロワイエの調整は順調よ。
凱旋門賞の時よりも能力は上がってるわ。
よっぽどエルコンドルパサーに負けたのが悔しかったみたいね」
電話口で、ルーヴルから俺にそう伝えられる。
「ま、その悔しさを知ってる奴が傍にいるからな」
「うっさいわね!
…精々ブロワイエの走りに驚愕しなさい」
ルーヴルからの電話はそう言って切られる。
…さーて、こっちもしっかり調整させてもらうとしますか。
俺はそう思いながら、グランドへと向かっていった。
◇ ◇ ◇
「…え?」
俺はスぺの言葉にそう声を出した。
「…ハンターさんのアドバイスや指示は間違いないです。
でも次のレース、自分の力で勝たないといけないんです!
お願いします、ハンターさん!」
スぺはそう俺に頭を下げてくる。
俺がスぺのトレーニングとかについて色々と話そうとしたところ、スぺが断ってきたのである。
…まっさかこう言われることは想定してなかった。
まあ、スぺがこう言うなら俺は見守るだけだ。
「…分かったよ、スぺ。
お前がそう言うのなら俺は黙ってる。
…でも、これだけは言わせてくれ」
俺はそのまま続けていく。
「…今のブロワイエはこれまでにお前が対戦してきたどのウマ娘よりも速い。
もしかしたら俺やルドルフレベルの可能性だってある。
…だが、俺はそれでもお前が勝てるって信じてる。
お前がこれまでしてきた特訓は、間違いなくお前の力になってるはずだ。
日本の強さをブロワイエに見せて来い、スぺ!」
「はい!」
俺の声にスぺはそう元気よく返してきた。
…この目と声の時のスぺは大丈夫な時のスぺだ。
俺がフランスに行く前の時のスぺとは大違いである。
…スぺの成長を感じながら、俺は沖野さんの元へと向かった。
「…まっさかスぺがお前の提案を断るとはな」
「…ホントっすよ。
でも、良い目をするようになりましたね、スぺの奴」
俺がトレーニングをするスぺを見ながらそう話すと沖野さんは話してくる。
「天皇賞をレコードで勝って、自信も付いたみたいだからな。
もうダービーの時みたいにお前がサポートしなくてもいいウマ娘になったよ、スペシャルウィークは」
俺は沖野さんに話していく。
「…しばらくの間、生徒会でルーヴルたちに付き添うのであまりこれなくなると思います。
スぺとスズカ、しっかりとお願いします」
「…お前に言われなくても分かってるよ。お前はお前の仕事をこなして来い」
「…ありがとうございます、沖野さん」
俺は沖野さんにそう返した。