…2400mを走り切った俺とルーヴル。
俺達にとって結果なんて二の次であった。
「あー、ひっさびさに本気になったわ…」
「…ったく、だから俺達が軽くなんて無理だって言ったんだよ…」
ルーヴルは倒れこみ笑いながら空を見上げ、俺も芝の上に座り込む。
そしてルーヴルは俺に話してくる。
「…でも、アンタと走れるだけでも日本に来た甲斐があるわ。
ありがとうね」
「…どういたしまして」
…俺はそう返しながら、ルーヴルの手を掴んで引っ張り上げる。
「…今度はお互い、ガチガチに調整してから走ろうぜ、ルーヴル」
「ええ、もちろんよハンター。ルドルフにもそう伝えておいてちょうだいね」
「了解したよ」
俺はルーヴルにそう返した。
◇ ◇ ◇
時は流れて、スズカの復帰戦。
「…なんか、観客の様子がいつもと違ってない?」
そうルーヴルが俺に話してくる。
「実証実験の日だからな。チャントシステムの。
芝のフィールドじゃ初導入なんだよ」
俺は椅子に座ったルーヴルにそう話していく。
「チャントってサッカーとかで使われてるアレですか?」
ブロワイエの言葉に俺は答えていく。
「ああ、それだな。
応援に統一感をってことでドリームトロフィーダートで導入したんだよ。
今日は一つの応援団だけだけど、ダートじゃこんな感じになってる」
俺はそう言いながら昨年のウインタードリームトロフィーのスタンドの様子をタブレットで見せていく。
「…こ、これは…」
「…凄いですね、圧倒されますよ」
二人の言葉に俺は「ジャパンカップは導入されないけどな」と説明していく。
「それに、これOP戦よね?観客的にそれだけじゃないって思うんだけど」
ルーヴルが観客の盛り上がり様を見て、そう聞いてくる。
「一人のウマ娘の復帰レースなんだよ。足の骨折からのな。
実績も十分なウマ娘だから、こうなってるんだよ
…ちなみにエルはそのウマ娘に完敗してる」
「…それは、その時に対戦してみたかったな…」
ブロワイエは残念そうな顔を見せてきた。
…実際どうなんだろうな、あの時のスズカとブロワイエが戦ったら。
そしてウマ娘の入場を告げるアナウンスが響き、観客の盛り上がりは最高潮を見せる。
『…このウマ娘がターフに帰ってくるのを誰もが待っていました!
復帰レースでもその脚を見せてほしい!
…1枠1番、サイレンススズカ!」
大歓声と共に、スズカが登場する。
そして、スズカを後押しする応援歌がHuntersから流れてくる。
…スズカ、頼むからまた怪我だけはするなよ。
お前はこんなとこにいるウマ娘じゃないんだ。
俺はスズカの応援歌を聞きながらそう思っていた。
今回の応援歌は二岡智宏(北海道日本ハムファイターズ)のものを流用。
怪我という逆風に負けずに走ってほしいという理由から選曲しました。