「…まだやってるー?」
俺はそう言いながらスピカの部室の扉を開ける。
「お、ハンター来たか。コイツ、今日からスピカに入ることになったからよろしくな
お前昨日案内してたから名前は知ってるよな」
沖野さんが俺にそう言ってくる。
中にはスズカも含めたスピカの面子とスぺがいた。
「え、もしかしてハンターさんもスピカなんですか?」
「そうだなスぺ。
…っていうかそうじゃなきゃあの時トレーナー吹っ飛ばしたりしねえよ」
「ああ…」
スぺはレース場での一連の流れを思い出したみたいだ。
「…ゴルシ、そこにズタ袋があるってことはまた拉致ってきたのか?」
「おうよ!」
俺の言葉にウマ娘の中でも超問題児と呼ばれるゴールドシップ…、ゴルシはグッとサムズアップする。
…放置しといていいのだろうか、このやり方。
まあ沖野さんが何も言ってないからよしとしよう。
「ハンター先輩、生徒会の仕事は終わったんですか?」
「良かったらこの後俺と併走してくれませんか?」
「あ、ずるい!アタシがやってもらおうと思ったのに!」
「へへっ、こういうのは早い者勝ちなんだよ!」
「…相変わらず仲良しだなー、ウオッカ、スカーレット」
「「良くないです!」」
息ぴったりなこの二人はウオッカとダイワスカーレット。
何かとバチバチな関係を結んでおり、本人たちは否定するが凄く仲がいい。
「というか、もう遅いからレース場使うにしても無理だぞ。予約も取ってねーし」
「…そ、そこは」
「ハンターさんの生徒会権限でなんとか…」
「…お前らは俺をなんだと思ってんだ。そう簡単に生徒会権限使えると思うなよ?
ってか今やったら間違いなくあの3人にドヤされるし」
もちろん、あの3人とはルナ・エアグルーヴ・ブライアンの3人である。
一度無理矢理やったことはあるのだが、その後エアグルーヴに正座させられた。
俺は二人にそう話し、沖野さんの近くに行く。
「で、いつやるんすか、スぺのデビュー戦。やっぱ1カ月後のレースっすか?」
俺がそう聞くと沖野さんは「いや」と首を振る。
「来週、レースだからよろしくな、スぺ」
…マジですか、それ。
「と、トレーナーさん…」
「…確かに来週にありますけど、まさかそれに出すつもりっすか!?」
沖野さんは「ああ」とスズカと俺の言葉に答える。
「来週、スぺのデビュー戦だ、気合入れてけ!」
「「「「「ええー!!??」」」」」
スピカの部室にトレーナー以外の叫びが響き渡った。
「ガチっすか、沖野さん!?俺やオグリみたいなスカウト組ならさておき、編入してから1週間後にデビュー戦って聞いたことないっすよ!?」
「もちろんガチだぜハンター。1週間みっちり特訓すりゃ、デビュー戦ぐらい何とかなるだろ」
そう話す沖野さんを蹴っ飛ばしたのはゴルシ・ウオッカ・スカーレットの3人だ。
「何とかなるだろって適当すぎんだろ!」
「もうちょっと真面目に考えなさいよ!」
その時に夕飯の時間を告げるチャイムが鳴った。
「飯の時間じゃーん、じゃ片付けよろー」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよー」
「俺も行くってばー」
そう言って3人は部室を出て行った。
「…ってことで、これからもよろしくな」
沖野さんは床から顔を上げてスぺにそう告げる。
…うん、まあ、今の見てたら苦笑いしかできねえよな。
「後、ハンター。生徒会用のスぺの加入届、後で届けに行くからなー」
「了解です」
そう言ってその日のスピカの集まりはお開きになった。