掲示板に俺達3人の順位は乗らない。
「写真」という文字が雨の中で光っている。
大粒の雨が地面を叩く音と、観客のざわめきが東京レース場に響いていた。
…そして、掲示板に数字が点灯した。
「…やった」
点灯した掲示板を見て俺はそう呟いた。
そんな俺を後ろからルナが抱きしめてくる。
「…お、おいルナ!?」
「…ハンター、おめでとう。よくここまで来てくれた」
「…ああ、ようやくお前に勝てたよ。長かったなー…」
俺はそうルナを抱き返す。
「…これからもお互い姉妹、そして最大のライバルとして、互いに切磋琢磨して行こう、ハンター」
「言われなくても分かってるよ、ルナ」
そう俺たちが話していると、後ろからシービーが話してきた。
「私も忘れないでね、お二人さん。今度は私も負けないからさ!」
「ああ、そうだなシービー、
ハンター、いつものアレをしてこなくてもいいのか?」
ルナはそう言いながらスタンドを指す。
そう言われて俺がスタンドを見ると、ハンターと呼ぶ大歓声が聞こえてきた。
…忘れてたな、そう言えば。
「ああ。ちょっと行ってくるよ」
俺はそう言ってルナとシービーから離れていく。
…そして。
「…シャー、オラァ!!」
俺は膝立ちになりながら両手を横に広げて、叫びながら観客席に向かうようにして芝を滑っていく。
観客席からの歓声、芝からの水しぶき、そして大粒の雨が祝福するかのように俺に掛かってきた。
◇ ◇ ◇
『…シンボリハンターの数字が灯った!
カサマツが信じて送り出した狩人の矢が、世界の強豪、そして絶対的な皇帝をも貫いた!
そして今、滑り込んで自らの勝利を噛みしめる『狩人の咆哮』だー!』
「…懐かしいもんみてんな、ルナ」
俺はルナにそう話す。
「久しぶりに見たくなってしまってな、このレースを」
ルナは振り返って俺にそう話す。
「…このレース、私にとってはいい薬になったよ。
誰も私についてこれないのか…と菊花賞までは思っていたからな。
そう考えてるときにこのレースのお前とシービーだ。
久々にレースの楽しさを思い出したよ」
「それだったらよかった。中央に移籍した価値があるってもんよ」
俺はそう言って入れておいたコーヒーを飲む。
「…だいたい、今もそうだけどお前は一人で抱え込みすぎなんだっての。
もう少しは俺達を頼れるようになれ。
全て自分がやるっていうのは、お前が自分のことを買いかぶりすぎだ」
「…シリウスほどではないが厳しいことを言ってくれるな、ハンター」
ルナは苦笑いしながら返してくる。
「俺を誰だと思ってんだよ。皇帝様の妹の狩人だぜ?
それぐらいはお見通しだっての」