73話
スズカのレースがあった日の夜。
俺とルーヴルはブロワイエの会見を見ていた。
『…なかなかに盛り上がっていたね。
あの応援歌も良かったよ。私も実際に受けながら走ってみたいね』
スズカのレースについてブロワイエはそう答えていき、ジャパンカップについてはこう話していく。
『私が誰よりも速いと証明し、スズカのレースより盛り上げてみせるよ』
そして、一呼吸おいてブロワイエは話を続けていく。
「…私の先輩、ルーヴルは凱旋門賞でシンボリハンターに負けて、このジャパンカップでも同じようにシンボリルドルフに負けた。
私も凱旋門賞でエルコンドルパサーに負けたが、私はルーヴルとは違うということを証明させてもらうよ』
「…だってよ、ルーヴル。言われてるぜ?」
俺がそうルーヴルに話すと、ルーヴルは返してくる。
「うっさいわね!
…ある程度は私のこと言ってもいいってブロワイエに伝えておいたのよ」
そして、俺にルーヴルは続けてくる。
「…で、アンタのお気に入りって誰なのよ。ずっと言ってくれないじゃない」
「見てたら分かるってフランスで言っておいただろ?」
俺の言葉に、ルーヴルが返してくる。
「見れないのよ。アンタがずっと私につきっきりでいるせいでね」
「あー、確かにそうかー…」
ルーヴルが日本に来てから、それの対応のため俺は基本的にルーヴルと行動している。
唯一と言えるのが寮の部屋でのルナぐらいだろうか。
「まあ、ジャパンカップの結果で分かるよ、俺の後輩は」
俺はそうルーヴルに話していった。
◇ ◇ ◇
「…ブロワイエ、調子良さそうだな」
パドックでのブロワイエの表情を見て俺はそう呟く。
「…ええ、問題はなさそうね。よかったわ」
ルーヴルもパドックを見ながらそう話していく。
ちなみにだが、ここは府中レース場、スタンド最上段の特別席。
ルーヴルはここからの景色が全体を眺めることが出来ていいらしい。
「それで、ブロワイエになんて言ってきたんだ?」
俺がそう聞くと、ルーヴルは答えてくれる。
「…『私の二の舞にはなるな!』って言ってきたわ。
調整も完璧な以上、私からブロワイエに言えることはそれしかないしね。
…それでも負けるのであれば、仕方ないわよ」
そして、ルーヴルは続けてくる。
「ハンター、あなたは何て言ったのよ?」
ルーヴルの言葉に俺は答える。
「…俺からスぺに、トレーナーに伝えておいてって言ったことは一つだよ。
エルの時と同じだけど、『細かいこととかは全て忘れて、思いっきり楽しんで来い!』ってな」
「…やっぱり、スペシャルウィークなのね。
ほかのウマ娘とは少し違うと思ってたわ」
ルーヴルはそう話して、俺は「まあな」と続けていく。
「このレースの勝者は、『一番このレース楽しんだウマ娘』だろうな。
ブロワイエやスぺ以外にも海外のウマ娘だったり、日本のウマ娘も来てる。
こういうのは楽しんだもん勝ちだよ」
「あなたらしい読みね、ハンター」
俺の言葉に、ルーヴルはそう返してきた。