ファンファーレが鳴り響き、続々とウマ娘達が続々とゲートに入っていく。
…俺的にはゲートに入る前にスぺがブロワイエを含む海外のウマ娘達に何か話していたのが気になる。
「スぺの奴、失礼なこと言ってねえよな?」
「…あんたはスペシャルウィークの母親なの?」
俺の言葉にルーヴルはそう日本語で返してきた。
「…ルーヴル、お前日本語話せたのか?」
「アンタ達姉妹に負けてから練習したのよ。
今までアンタがペラペラフランス語で話すからそれに合わせてただけ」
そして、ルーヴルは続けていく。
「他のウマ娘はともかく、ブロワイエは何か言われたぐらいで気にしないわよ。心配しなくても大丈夫だわ」
「俺も外から見てる限りだけど、ブロワイエがそれで機嫌悪くするような奴ではないって思ってるけどよ…」
そう言いながら、俺はターフを見下ろしていた。
◇ ◇ ◇
ゲートが開かれ、ウマ娘達が一斉にスタートを切る。
スぺとブロワイエは両方ともに後方に位置取る形。
「…スペシャルウィークには大逃げさせないのね」
「まあ、アレはエルだからできたことだよ。
スぺも少し後方ぐらいだけど、いつも通りの作戦だな」
恐らく、ブロワイエはスぺをマークしているのだろう。
しっかりとブロワイエはスぺの後ろに位置取り、スぺの仕掛けにいつでも対応する形だ。
…向こう正面に入り、段々とバ群は伸びてきている。
そんな中で。
「…ここで仕掛けたか!」
スぺがギアを上げて一気に外側から抉っていく。
「…今しかないわよ!」
ルーヴルもそう話す通り、すぐにブロワイエもスぺについていくようにしてペースを上げていく。
スぺとブロワイエは他のウマ娘を一気に置き去って先頭のウマ娘達へ迫ろうとする。
前方に位置取っていた他のウマ娘を見ても表情は暗めだ。
恐らくはブロワイエとスぺの一騎打ちになるだろうか。
最終コーナーに入ってくるが、ブロワイエの脚は衰えていない。
…だが、スぺもそれに負けないぐらい脚は落ちていなかった。
「行けるんじゃねえのか…!」
「まだブロワイエならここから…!」
俺とルーヴルはお互いそう呟く。
レースはそのまま、スぺとブロワイエが競り合う形でホームストレート。
…「だあああっ!」というスぺの叫び声がスタンド最上段の俺に聞こえてきたように感じた。
ここに来てスぺは再び加速した。
「ぶっちぎれ、スぺ!」
俺は自然とそう叫んでいた。
ブロワイエも追いすがろうとするが、さらに加速したスぺには追い付けない。
スぺは先頭のまま、ゴール板の前を通過して行った。