「…では、シンボリハンターさん。お願いします」
「分かりました」
俺はそう言いながら抽選箱の中に手を入れる。
「…これにするか」
俺は一つの枠番が書かれた紙を取り出す。
「…では、シンボリハンターさん。開けてください」
「了解です」
俺はそう促されて紙を開く。
「…この番号が来てくれるとはな」
俺はそう呟いて、続けていく。
「シンボリハンター、8枠16番です」
俺が引いたのは俺の初GⅠで勝利したジャパンカップの枠番。
大外ではないが、外枠に来てくれたのはありがたい。
「シンボリハンターさん。感じることはありますか?」
俺はその質問に率直な感想を伝えていく。
「…いつもの大外ではないですけど、外側の枠番を引くことが出来たのはありがたいですね」
「この番号は、ジャパンカップの時と同じ番号ですね。思うことはありますか?」
俺はそのまま話していく。
「…まあGⅠ初勝利、後はルドルフに初めて勝利できた枠番ですからね。縁起はいいですよね。
ドリームトロフィーの連勝記録も続いているので、「芝に行ったら負けた」とか「ダートでしか勝てない」って言われないようにしたいですね。
後は、ルドルフと久々のガチレースなんで素直に思いっきりレースを楽しもうかなって思ってます」
俺がルナを見ながらそう話すと、ルナは俺と同じような笑みを浮かべていた。
◇ ◇ ◇
「準備は万全か、ハンター?」
「もちろん、言うまでもないっての」
本番の朝、生徒会室で俺とルナはそう話していく。
「お前と本番のレースで戦えるのはいつ以来だ?」
「俺が凱旋門を取る前だから、宝塚記念以来だな。
そう考えたらガチのレースって全然してないんだな、俺達」
凱旋門賞が終わり、怪我を完治させた俺はドリームトロフィーダートに移籍した。
ルナもドリームトロフィーに移籍したが、ルナが行ったのはもちろん芝。
あれから戦ったことは公式戦では一度もなく、模擬レースで何度かである。
「ああ。…GⅠでは最後までお前に勝つことはできなかった。
その想い、しっかりとぶつけさせてもらうよ」
ルナは俺にそう話してくる。
「ああ。とはいえ俺もGⅡやGⅢみたいなレースだとお前には勝ててねえからな。
お互いしっかりベストを尽くそうぜ」
俺はルナにそう返していくと、生徒会室の扉が勢いよく開かれた。
「カーイチョー!遊びに来たよー!」
テイオーである。
「テイオー、ここに入る時はノックをしろって言ってんだろ?」
「ごめんって、ハンター。でも、ちょっとカイチョーと話したくってさ」
テイオーは腕を後ろで組みながら、そう俺たちに話す。
「テイオー、緊張はしているのか?」
「そう言うカイチョーとハンターはどうなの?二人でも緊張とかはあるの?」
「私はドリームトロフィーに挑戦するのは初めてではない。緊張などしていないさ」
「俺も、芝に挑戦するのは初めてだけど、ドリームトロフィーは初めてじゃねえ。もうこの緊張も慣れたもんよ」
俺たちの言葉を聞いてテイオーは話していく。
「…あのね、ボク不安なんだ」
「どうしたんだ?」
そうルナが聞いていくとテイオーは答えていく。
「カイチョーとハンターが…。
ボクのスピードについてこれなくて、悔しくて泣いちゃうんじゃないかってね!
…ってイタイイタイ!ハンター、ギブギブッ!」
「そんな想像をするな!」
ルナはそう返し、俺はテイオーの首に無言でチョークスリーパーを掛ける。
「ごめんってハンター!もう解いてってば!」
俺がルナを見ると、ルナは感慨深い顔をしていた。
まあテイオーはルナに憧れてるし、ルナも結構テイオーのことを可愛がってる。
その気持ちが分からないでもない。
「…か、カイチョー。本気で怒ったの?」
…そう聞くテイオーにルナは「怒ってない」と返していく。
そう話した後、俺達はレースが行われる東京レース場へと向かっていった。