…ファンファーレが鳴り響き、俺は8枠16番のゲートに入る。
俺はふうっと大きく息をついて、ゲートに入る。
全員が入ると、東京レース場はレース前特有の静かな空気が流れる。
この空気は芝でもダートでも、トゥインクルでもドリームトロフィーでも変わることはない。
…そして。
ガタンッ!
…今、ゲートが開かれた。
俺はいつも通り後方に位置取り、ヒシアマとゴルシの更に後ろの位置につける。
スズカは大逃げモードに入っており、その後ろにはルナやスカーレット、マルゼンといった先行策を得意とするウマ娘達が少し離れて一段となっている。
そして、俺の耳には「これなら絶対勝てる!」とHuntersから言われた応援歌が流れてきた。
…やっぱり、この曲だよな。
千葉の風を、尾張名古屋へと運び、26番目の選手たちがひたすら思い思いに叫び続けたこの曲。
チャンステーマ1、通称『デコトラ』。
…史上最大の下剋上を起こした、伝説の曲である。
ほかのウマ娘のサポーターからのチャントもレース場に響き渡っているが、その中でもHuntersの大歓声は俺の耳にしっかりと聞こえてきた。
俺はデコトラの応援を受けながら、前と離され過ぎない位置で様子をうかがう。
…俺はそのまま第3コーナーに入る。この距離なら、いつも通り走ればトップは射程圏内ぐらいか。
ただ、今先頭でかっとばしているのはスズカだ。
その後ろにはルナやマルゼンもいる。
そして、俺の少し前にはスぺも脚を貯めている。
ゴルシも徐々にスピードを上げ始めている。ヒシアマも同様だ。
…そろそろ俺も上げていくか。
「…さあ、楽しませてもらおうか!」
ギュンッ!という音が似合うように、俺はギアを変えて、一気にペースを上げる。
周りの面々も、同じようにペースを上げていた。
…スズカや先行組との距離は徐々に近づいてくる。
最終コーナーを回り、俺は外側に開きながらもペースを更に上げていく。
…さあ、こっからのホームストレート。足はもちろんまだまだ残ってるし、ペースもさらに上げれる。
坂はあるが、東京の坂は中山の急坂に比べたら大したことはない。
…俺はそのまま最大スピードになりながら坂を登り切る。
…そんな中、沖野さんが俺達の名前を叫んでいるような気がした。
スピカの面子が全員出場しているんだ。叫びたくなる気持ち、分からないでもない。
俺の脚は最大トルクになりながら、一気にホームストレートを駆け抜けていく。
だが、横にはほかのウマ娘たちも来ているのが音だけで分かった。
でも、絶対に負けるわけには行かない。
ファル子からも「ダートの力、しっかり見せてきてくださいね!」と言われたんだ。
俺を送り出しくれたあいつらのためにも、今ここで大歓声を送ってくれている観客のためにも、絶対負けたくねえんだ!
俺たちは全員が横一直線となったまま、ゴール板の前を通過した。
今回のチャント
ロッテチャンステーマ1、通称「デコトラ」。
この曲の説明は不要と言ってもいいでしょう。それぐらいにヤバい応援歌です。
知らない方もYoutubeで「ロッテ デコトラ」で検索すれば分かると思います。
個人的にはモンキーターンや大チャンステーマと並ぶ、もしくはそれ以上のものだと思ってます。
…ホント、大歓声を選手たちに届けることが出来る世の中になりますように。