無敗の狩人と呼ばれるウマ娘になった   作:W297

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第2R 「いきなりのデビュー戦」
8話


 

 部室から寮へと戻る途中。

 

「あ、あの!スズカさんはデビュー戦、緊張しましたか?」

 

 俺とスズカの後ろを歩いていたスぺがそう聞いてきた。

 

「いえ、私は…」

 

「そ、そうなんですね!」

 

 スズカが静かにそう答えた後、スぺは俺の方にも聞いてくる。

 

「ハンターさんはどうだったんですか?」

 

「俺か?…俺はデビューが地方だからなー。緊張はしてなかったよ。

 

 …というより『勝ち続けて中央に行く!』っていう思いで頭が一杯だったからな。懐かしいなあの頃」

 

 …あの時の俺は今思い返してみてもヤバかった。

 

 話しかけられようがなんと言われようが黙っており、周りには近づくなというオーラが張り巡らされていた…らしい。

 

 …らしいというのはオグリの同級生のベルノライトから話を聞いた限りということである。

 

 俺に関して、根も葉もない噂がカサマツ内に飛び交っていたと聞いた時は流石に訂正した。

 

「…まあ、トレーナーさんも勝算があってああ言ってることには間違いないよスぺ。緊張なんてして当然だ。

 

 相談なら俺たちがいつでも乗ってやっからよ。遠慮なく聞きに来い」

 

 俺の言葉にスぺは「ありがとうございます!」と返してくる。

 

 俺は「それと」と付け加えるようにスズカに話す。

 

「スズカ、お前もだぞ。同室同士、しっかり相談には乗ってやれ」

 

「…はい、分かってます」

 

 スズカは言葉少なくそう俺に返す。

 

 そんな中、俺のある言葉にスぺが喰い付いたようだ。

 

「…あ、あのー。同室同士ってどういうことですか?」

 

 スぺの言葉に俺は返す。

 

「まー、寮に行ったら分かるよ。…じゃ、俺こっちだから。また明日な」

 

 俺は美浦寮へと向かうため、スぺとスズカと別れる。

 

 …スぺとスズカ、アイツらは同室だ。

 

 …まあ、ちょうどスズカが一人だったというのもあるが。

 

 まあスズカはしっかりしてるし、大丈夫だろう、うん。

 

 俺はそのまま美浦寮への道を歩いていった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「…お、おかえりハンターさん…」

 

「…何があったかは分かるから聞かないぞヒシアマ」

 

 美浦寮に戻ると、寮長室で突っ伏していたヒシアマがいた。大方フジに付き合わされたのだろう。

 

 それともシンコウウィンディ辺りの対処をしていたのだろうか。

 

 さすがのヒシアマにも限度はあるだろうし。

 

「い、いや…。今回はそうじゃないんだ、ハンターさん…」

 

 

 

 え?

 

 

 

 俺がヒシアマの方を見るとそこには問題が書かれた課題のプリントが何枚も散らばっていた。

 

 

 

「補習用の課題が終わらないんだよーっ!」

 

 

 

 

 

「…フジの奴はどうしたんだよ」

 

「フジは、そろそろ栗東に戻らないとって…。会長はまだ戻ってきてないし…」

 

 俺が寮長室の椅子に座り、話を聞いているとそうヒシアマは答えた。

 

「…ったく、美浦の寮長がそれで威厳保てるかっての。…ホラ、手伝ってやるからお前は手動かせ」

 

「ありがとうよハンターさん…」

 

「…はい、ここ。この公式使う。さっきの式と頭が混ざらないようになー」

 

 俺はそうヒシアマに教えていく。

 

 そんなときである。

 

「ただいま戻りマシター!」

 

 聞き馴染みのある元気な声が聞こえてきた。

 

「…エルとグラスか。お帰り」

 

「はい、ただいまです。ハンターさん、ヒシアマゾンさん」

 

 グラスワンダーはそう丁寧な口調で言葉を返してくる。

 

 …本当にアメリカ出身なんだよなグラスは…、と思うことが何回かある。

 

 そういえばだ。

 

「エル、聞きたいことがあるんだが…」

 

「何デス?」

 

 エルは俺にそう返してくる。

 

「…この前のテスト、どうだった?」

 

 …一瞬の沈黙の後、エルは慌てながら俺に話してくる。

 

「…ソ、ソンナこと世界最強のワタシにとって余裕デース!」

 

 エルはそう胸を張るがぶっちゃけエルの言葉は信用してないので。

 

「どうなんだグラス」

 

 俺の言葉にグラスは、すらすらと話していく。

 

「お恥ずかしながら、ハンターさんの思う通りです」

 

「グラスゥ!?」

 

 …やっぱりか。

 

 俺はエルの制服の襟を引っ張っていく。

 

「あーあ、正直に言ったら見つけた激辛店連れてってやろうと思ったのに。俺の特別講習決定な。グラス、少しエルを借りるぞ」

 

「畏まりました」

 

「ヘルプ!ヘルプミー、グラス!私もうコリゴリなんデスよ!」

 

 エルはそう叫ぶがグラスは表情一つ変えない。

 

「いい機会です。ハンターさん、遠慮はいらないですので、エルのことお願いしますね」

 

「言われなくても分かってるよグラス」

 

「Nooooo!」

 

 エルの叫びが、美浦寮中にこだました。

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