俺は美浦寮のある部屋の前へとやって来た。
「…俺だ、入るぞ」
俺が部屋の扉を開けると、そこにはニット帽を被った一人のウマ娘がいた。
「…ん、どうしたんすかハンターさん」
俺にそう返してきたのはナカヤマフェスタ。
数少ないゴルシに対応できるウマ娘の一人である。
「シリウスを探しているんだ。どこにいるか知らないか?」
俺が探しているのはシリウスシンボリ。俺とルナの幼馴染のウマ娘である。
「アイツなら、もう少しで帰ってくると思いますよ。
何か用でもあるんすか?」
「ああ、ちょっとアイツと話したいことがあってな。
少し待たせてもらってもいいか?」
「別に構わないっすよ」
ナカヤマの言葉に甘えて待たせてもらっていると、シリウスは間もないうちに帰ってきた。
「…戻ったぞ、ナカヤマ」
シリウスがそう話しながら部屋の中へと入ってくると、ナカヤマがシリウスに向けて話していく。
「オイ、副会長さんがお前に用があるってよ」
ナカヤマはそう言って俺を指し示す。
「…よっ、シリウス」
「…ハンターか」
シリウスは俺の顔を見てそう呟く。
「…少し、お前と話したいことがあるんだ。着いて来てくれるか?」
「ああ、別に構わねえよ」
そう言って俺とシリウスは寮の外へと出ていった。
◇ ◇ ◇
「で、どういう用なんだ、副会長サンよ」
ベンチに座りながら、シリウスは俺にそう話してくる。
そんなシリウスに向けて俺は口を開く。
「シリウス、アオハル杯が開催されることになったのは知ってるよな?」
「ああ、噂には聞いてる。お前が理事長代理に啖呵切ったってな」
「まあな」
俺はシリウスにそう返答して、そのまま続けていく。
「…シリウス、俺のチームに入ってくれないか?」
俺がそう話すとシリウスは「なんで私なんだ?」と返してくる。
「…私である必要があるのか?
…それにお前のチームってことはどーせ会長サマもいるんだろ?
アイツと私の関係、分っていないとは言わせねえぜ?」
シリウスとルナの関係はとてつもなく冷え切っていると言ってもいい。
ルナは友好的にしたいとは思っているらしいが、シリウスはルナの「すべてのウマ娘を幸せにする」ってことには共感できないと反抗的な意思を示している。
「ああ、そのうえでお前を誘ってるんだよ。
今回のアオハル杯は、俺達生徒と理事長代理の勝負だと思ってる。
生徒の意志を一つにするために、お前も加わって欲しいんだ」
現に生徒会でも反省文や掃除などの処分でもカバーしきれなくなった素行の悪いウマ娘たちの面倒をシリウスは見てくれてる。
そのウマ娘たちもこちら側に引き寄せることで、俺達は更なる力を出せる。
そう俺はそう感じているのだ。
そもそもシリウスも俺達に匹敵するほどの実力者である。
そんなシリウスを味方に出来れば、俺達は完全勝利に近づく。
「シリウス。お前だって管理教育プログラムには従いたくはないだろ?
頼むよ」
俺はそう話すがシリウスは余り乗り気ではないようだ。
「そりゃ、あんなルールで固められんのは反吐がでるぜ?
だが、お前はまだマシだとしても生徒会のやり方も似たようなもんだろうが。
それに私に出て欲しいってのも会長サマからの差し金だろ?」
「それは俺の独断だ、シリウス」
俺はシリウスにそう返していく。
「今回、お前を誘おうと思ったのはルナに言われたからじゃねえ。
俺の中でアオハル杯で完全勝利するため、何が必要かと考えたうえでお前が必要だと思ったから誘ってんだ」
俺はそのまま続けていく。
「シリウス、ルナを手伝えって言ってるわけじゃねえし、生徒会を手伝えって言ってるわけじゃねえ。
この自由な学園を守るため、一人のウマ娘として一人のウマ娘、シンボリハンターを手伝ってくれ。
…頼む、この通りだ」
「…相変わらずプライドってもんがねーな、お前には」
シリウスに向けて頭を下げる俺の姿を見てシリウスはそう呟く。
「…プライドとか枠に囚われてたら、見えるもんも見えなくなる。
お前が教えてくれたことだよ、シリウス」
「ハハっ、そうかよ」
俺の言葉を聞いてシリウスはそう笑って続けてくる。
「…おもしれえ。お前を手伝ってやることにするよ、ハンター」
「ああ、ありがとう。シリウス」
俺はその言葉を聞いて安堵した。
…これでメンバーは揃った。
絶対に勝って魅せるぞ、アオハル杯。
まあ、予想がついてた人も多いかと思いますが、あの3人が出てきたということは…ってことでシリウス。
育成実装が楽しみなウマ娘の一人です。