中身入りロボット、魔法少女の騎士になる。   作:ダイコンハム・レンコーン

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今回はかなり短いです


二號機

 空が割れる。ガラスの如く散った空の破片は落ちる前に溶けて消えた。異常は見慣れた物だが、見慣れない異常と言う物もある。

 

 俺は、魔獣が生まれる瞬間を見た事が無い。あれがそうだと言うのなら、随分と見栄えがする物だ。騙し絵の様な虚空の穴の向こうには何も見えないが。この科学の目をもってしても光の一つすら感じないなんて事があるのかと疑いたくもなる。それ位に非現実的な光景だ。

 

 ともかく、俺が今すべき事は遊園地の人を逃しながらノゾミと合流する事で──

 

「貴女も一緒に逃げましょう」

「何故、私達が居ると言うのに」

 

 俺は少女の手を取り空の割れ目からから遠ざける様に動く。まだ何も出ていない、それでも嫌な予感がする。気を抜いたら、あの空の穴に落ちそうだ。

 

「いや、()()! あれは──」

 

 彼女が空を見て何かを叫んだ瞬間。

 

「離れないで下さい!」

 

 手に持ったチュロスを投げ捨て、彼女の腕を掴んだ。

 そして、空、いや世界の全てにヒビが走り、()()()

 

 

 


 

 

 

359:335 ID:It5GHDD+G

 ここは、掲示板か。

 

 

360:異世界の名無し ID:AD+4u5QhT

 ワイの初恋相手がTS転生者だった件

 

 

361:異世界の名無し ID:sCOMoNfUm

 転生あるあるじゃん。俺なんかTS転生者のガチムチイケメンと同棲してるぞ。料理がバカ上手い

 

 

362:異世界の名無し ID:9J/P06xdq

 惚気やめちくり

 

 

363:異世界の名無し ID:wwBLBePuV

 隙を与えた俺らが悪い

 

 

364:異世界の名無し ID:0ACOd8iNx

 超絶イケメン美少女を見つけたら九割方転生者だと思えってそれ一番言われてるから

 

 

365:335 ID:It5GHDD+G

 すまないが、俺にもその隙とやらをくれないだろうか。

 

 

366:異世界の名無し ID:b+FxbRSsm

 誰? 初めて見るコテハンだけど

 

 

367:異世界の名無し ID:zo+o58xUM

 初見でコテハンとか自己顕示欲の塊かぁ? 

 

 

368:335 ID:It5GHDD+G

 後、何故全員名前が異なっているんだ? 俺が知っているのは確か『冷たくなった名無し』だったが。

 

 

369:異世界の名無し ID:0ORgPgAgC

 >>367

 この掲示板はスレ立て時に匿名弄れへんやで

 

 

370:異世界の名無し ID:l6KaoAmV7

 >>367

 普通の転生者やないんか? 普通の転生者っておかしな話やけど

 

 

371:異世界の名無し ID:71s4FSHYY

 TS転生者かそうでないか、それが問題だ。

 

 

372:異世界の名無し ID:4xfJD93Pq

 TS転生者ばっかり催眠する頭チ◯ポ野郎は豚箱送りすっぞ

 

 

373:異世界の名無し ID:ZF84wm95G

 根流しするべ

 

 

374:異世界の名無し ID:zmc6yEiFX

 やめなされやめなされ……

 

 

375:335 ID:It5GHDD+G

 俺はこう言う者だが──

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 ──何をしている! 

 ──起きろ、起きろと言っているだろう! 

 ──「起きろ、貴様!」

 

 っ、俺は何を──。いや、あの掲示板は間違いなく転生者の。

 だが何かが違った。言葉では言い表せない、雰囲気が。

 

 俺の居た場所は、どこか達観した人々が集まっていたが──いや、今はどうでも良い。

 

「……何が、起こったのですか」

「けっ……いや、私にも分からない。ただ空の穴が拡大し、ここ一帯を呑み込んだ事は、事実らしい」

「それは、また。他の人々は」

 

 周囲を見れば遊園地の景色が変わらずある。だが空は真っ黒で、それでいてこの場所は昼の様に明るい。だが客の姿は見当たらない。

 

 地面には、チュロスとアイスのカップが落ちていた。場所は変わっていない様だ。目の前にはポップコーンのキャラクターBOXを首から下げた彼女が居る。

 

「空が暗幕に覆われると共に消えた。恐らくは吐き出されたのだろう」

「ここから?」

「そうだ」

 

 それなら、ノゾミ達も平気なのだろうか。いや、まだ分からない。前世では希望なんて望んでも裏切られるばかりだった。常に最悪に備えなければ、明日は無いと。そう覚えている。

 

「迷ってる暇はありません」

 

 他の人々が居ない事を確認し、目の前の彼女も連れてここから抜け出す。それだけしかない。

 

「端まで歩いてあの黒い空の終端にたどり着けば──」

「──無駄だ。私はもう試したが、遊園地を囲むアレは堅い壁となっていた」

「……そうですか」

 

 超常現象には一家言あると思っていたが、それがとんだ思い上がりだと思い知らされた。この状況で今冷静なのは彼女の方だろう。

 ノゾミ達も巻き込まれていないか、そう考えるだけで冷静で居られない。俺はこんなにも我慢弱い人間だったろうか。いや、人間ではとうになくなっているが。

 

「……何か、来るぞ」

「隠れましょう」

 

 カツン、カツンと硬い足音らしきものが無人の園内に響く。

 

 俺達は咄嗟に近くにあったベンチの裏に隠れた。我ながら酷い隠れ方だと嘆息するが、全ては結果で示されるだろう。

 

 けれど、ベンチの隙間から覗いた光景は想像を超えるもので。

 

「あれは、()()か?」

「……そうかも、知れません」

 

 見えてしまう。そこに居たのは、真っ黒な()だと。

 

 真っ黒な装甲に、黄色いピンポイントライト。それ以外はまるで俺と同様のデザインをしていた。

 

『魔女反応確認』

 

 その黄色に光る目が、周囲を見渡す。左腕には腕部懸架型の巨大な棒。それ以外に形容し難いそれは恐らく複合兵装なのだろう。そう言った発想は前世でも見て来た。

 そして右腕には、ジェットの噴射口の様なものが付いた板の様な大剣。あくまでどちらもらしき物どまりだが、俺の勘はそれが危険な物だと言っている。

 

『アームレイカーウェポン:()()()()を使用します』

 

 すると、加速度的に上がる回転音が静寂を掻き回す。あの棒の中から。

 ……あれはまさか。

 

「逃げます」

「分かっている!」

 

 ベンチから飛び出した俺達を狙いすます様に向けられた棒の先端には、ガトリング砲。そして、ミサイルランチャーにマシンガン。一眼見るだけでも何か恐ろしい発想の元生み出された兵器であると分かってしまった。

 

 紛れもない殺意。幾度となく記憶したそれと同じ様でまるで違う。その人ではなくそれを作った者から感じられる、遠隔の殺意だ。

 

『発射』

 

 次の瞬間訪れたのは、鋼のスコールと炎の暴風。ベンチなど容易く消し去り、線を描く様にその延長線にある遊園地の光景を凄絶なモノへと変えていく。

 

 何が何だか分からない。ただ、今分かる事は二つ。

 この黒い空がある限り、アレからは逃げられない。そして──

 

「答えろ、あれは一体なんだ!」

「私にも分かりません、ですが──」

「それはっ……!?」

 

 ──対抗策(魔法の杖)は、この手の中にあると言う事だ。

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