葎が1区を襲撃した翌日、CCGの捜査官はあわただしく動いていた。
その理由というのも、長らく確認することのできなかった『彗星』が動き出したからだ。
それを常時が黙っているはずもなく、行方を調査しろ、と指令が下った。
「はぁ...なんたってSSSレートの喰種を探せってんだよ」
「特等ですら一瞬だったんだ、俺達じゃかないっこないよ...」
二等捜査官からはそんな声が聞こえてきたとかこなかったとか...
処置を受けて意識も回復した篠原は、ほかの特等捜査官に情報を共有していた。
「奴の赫子は異常だ。鱗赫、甲赫、尾赫、羽赫、そのどれにも属さない形状の赫子だった。」
「それに加えて、完全な赫者にも変貌できる。」
「それだけでも脅威だが、最も恐ろしいのは奴が扱う赤黒い霧だ。」
「ありゃぁどうやら、彗星本人の意思で爆破させることができるかもしれない。」
「そんなにか...またおっそろしいやつがいるもんだな黒巌さんよ」
「うむ」
篠原は『彗星』と交戦した際の経験談を話し続ける。
そのどれもが異質だった。
「...と、ここまでが交戦した際の出来事だ。」
「なるほどな、奴の情報なんかはあるか?」
「そうだな...奴は極端な気分屋だ。」
「は?」
「俺達特等捜査官と戦う事ですら『楽しい』って言ってるぐらいだ、なんら不思議じゃない」
「ちぃ...バケモンめ...」
気分屋程行動が予測できない存在は時に何よりの脅威となりうることをここにいるみんなが知っていたため、相手の悪さにげんなりした。
「さらに...だが、奴はまだまだ余力をかなり残している。」
「そうだろうな...奴の限界は計り知れん」
未だ交戦していない捜査官の間にも緊張が走る。
すると、ここにきて一言も発していなかった彼が口を開く。
「私が行きます」
その声の主は、『CCGの死神』、有馬貴将だった。
「有馬君の0番隊なら、互角な戦いができるやもしれんが...」
そう懸念する声を、衝撃の一言でかき消す。
「いえ、私一人で戦います」
「「「なっ...!?」」」
「部下が無駄死にするのは避けたいので」
と、あろうことか彗星と単騎でやりあおうというのだ。驚かないはずがない。
「...俺は一度任せた方がいいと思うぞ、篠原」
丸手が切り出す。
「こいつだって引き際をわきまえてるはずだ、死にそうなら撤退するさ」
「...有馬、いけるか」
「はい」
いつもどおり淡々と答える様子を見るあたり、大丈夫だろう、そう踏んだ。
「では有馬君、頼んだよ」
死神と彗星が衝突する。
ー22時 都内の廃ビルの屋上ー
「はぁ~...眠れないなぁ...」
葎は昼に寝すぎてしまい眠気が来ないため、散歩に来ていた。
「最近の捜査官は腑抜けが多いし、戦ってもつまらないし...もっと骨のある相手が欲しいなぁ」
そう嘆いていると、ある声が聞こえた。
「...お前が『彗星』か。」
「お、捜査官?」
念のため赫子で顔だけマスクで覆って振り返ると、
「有馬...貴将...!?」
『CCGの死神』有馬貴将がいた。
「まっじか...こりゃ、本気出さないと死ぬかもなぁ、でもさ、」
「俺、あんたと戦ってみたかったんだ!」
無邪気に笑顔を見せる彗星。
「...来い」
静かにクインケ「IXA」を構える死神。
最強と最凶の戦いが、幕を開ける。
この戦い、なかなかやばそう(小並感)