「いってぇ~...」
『彗星』こと葎は赫子を初めて切り落とされたことによる痛みに襲われていた。
「ほんっと容赦ないなぁ...」
そう言いながらあらかたの再生は終わっている。
葎は喰種だが、あくまで人間社会で生活している。
つまりは、大学、バイト等やるべきことが沢山あるわけだ。
「つっても3時間ぐらいしか寝てないし...うーん」
大学をさぼって寝てしまうか、あきらめて大学に向かうか、葛藤していたが
「...行くしかないか」
渋々大学へ向かうのだった。
朝日が眩しい。
「なんたって今日に限ってこんな暑いんだ...」
気温は29℃。時期的には仕方がない。
葎としては早いとこ講義室のエアコンにあたりながら授業を流し聞きしたいところだったが、
「あっ、葎君じゃないか」
厄介なのに捕まった。
「...”高槻さん”」
「やだなぁ名前で呼んではくれないのかい?」
緑色で癖っ毛なこの女性は高槻泉。
日本でかなり活躍している小説家だ。
ただそれは表の姿。
彼女の正体はSSSレート喰種”隻眼の梟”だ。
「で、何の用ですか、今から俺大学なんですけど」
「ちょっち、頼みごt「じゃ、大学行きますね」まてまてーい!」
葎は面倒ごとが嫌いなため、頼みの”た”を聞いた瞬間に踵を返した。
が、阻まれるように回り込まれる。
「この話は君にとっても得があるものなんだよ」
「...また”アオギリ”ですか?」
「そそ、ご名答」
アオギリの樹。
”隻眼の王”をはじめとした喰種の組織だ。
「...はぁ。幸い単位は足りてるので午前中なら付き合いますよ、」
「そうこなくっちゃ!んじゃ、アジトまでひとっ走りいこー!」
そういうや否や手をつかまれて一緒に走り出す。
面倒だろうというのに、悪い気はしなかった。
~アオギリの樹 アジト~
「タタラさーん、連れてきたよー」
「来たか、エト、葎」
「半ば強制だったけどな...」
アジトにつくや否や早速タタラさんに出会った。
タタラさんはアオギリの樹のリーダー的存在だ。
「で、俺をここまで呼び出したってことは、またなんかあったんですか?」
「あぁ、どうやら他区の喰種が俺達の喰い場を荒らしたらしくてな」
「結局戦うのか...で”エト”」
「なぁに?」
「俺に得があるって話だったが、その話は?」
するとエトはいたずらをする子供のような笑顔を零し、
「後で話すよ」
と耳打ちしてくる。正直いろいろしんどいからやめてほしい、
(葎も一応男なのだ。)
「...とりあえずまた俺が制圧すればいいのか?」
「雑魚ばかりだろうが、」
「まぁいいか、タタラさんには世話になってるし、やるよ」
「感謝する」
とまぁ、また葎が戦うことが確実となってしまった。
尚この日の夜以降、その地域での喰種出現数が極端に減ったという。
午後まではアジトに残ることにした葎は、ついでにアヤトに会いに行くことにした。
「お、いたいた」
「あ、葎さん」
アヤトはまた一人で稽古?をしていた。
「っす」
「相変わらず口数少ないな...」
こんな感じでアヤトはあまり自分から話さない。
「今ちょうど暇だし、組手相手しようか?」
「いいすか、じゃ、お願いします」
組手、とは言ってもアヤトは赫子を使って俺はよけるだけなのだが。
ちなみに一発も当たらなかった。
そうこうしていると、
「あー、やっと見つけたー!」
さっき聞いた声だ。
「「エト?」」
「こら葎、勝手にどっかいかないでよね!さっきの話してないんだから!」
そういえば俺の得がどうとか言ってたな、と思い出す。
「悪い悪い。そういうことだアヤト、次は当たるといいな」
「うっせ!」
アヤトのいた場所を後にして、エトと二人きりになる。
「で、俺の得ってなんだ、さっき話さなかったのはタタラさんがいたからか?」
「そう、彼に聞かれても面倒な話だからねぇ」
どうやら極秘事項ってことらしい。
「君と話がしたいって人がいるんだ」
「は?なんで俺?」
その問いには答えず件の人物を呼ぶ。
「んじゃ、入ってきて!」
「久しぶりだな、『彗星』」
「は!?
『有馬貴将』!?」
おまけ
「タタラさん、『彗星』とどんな関係なんすか」
「大したことではない、協調しているだけだ」
アオギリの樹は葎に協力を申し出ている代わりに彼の生活を保障する、という協定?を結んでいる。