一度目のパクノダさんの帰還。
私は一言も言葉を発しなかった。
これは蜘蛛の問題。私には関われない。
関わったとしても、何の意味も持たない。
関わるべきは、二度目。団長さんが無事解放されたその後。
そして随分と時間が経って、二度目のパクノダさんの帰還。
「団長は?」
フィンクスさんが口火を切る。
「ここには来れない」
パクノダさんはそう答える。それしかできない。
私が介入すべきはこの時。
「あ? ふざけろよ。きっちり説明しろ!」
「パクノダさん、伝える必要はありません、あなたは何も話さないでください」
鎖野郎のこと、団長さんのこと、起きた出来事、ゴンとキルア。
パクノダさんが伝える必要はない、私が全て知っている。
フィンクスさんが私をにらみつけた。
「テメーには関係ないだろが、すっこんでろ」
「関係はまだ無いですが、私は蜘蛛を救いたいと考えています。これ以上、足は一本も失いたくない」
このままだと、パクノダさんは初期メンバーに記憶を伝えて死ぬ。
それは私の望むところじゃない。
パクノダさんが私の方を見る。目が合った。
「お嬢ちゃん、ありがとう。でもあなたには
そして、パクノダさんは旅団メンバーを見つめる。
「フェイタン、フィンクス、マチ、ノブナガ、シャルナーク、フランクリン……信じて、受け止めてくれる?」
「パクノダさん、駄目!」
私の静止は届かなかった。
「信じろ、あれはパクだ」
漫画で知っていた通りの流れ。
一つだけ違っていたのは、彼女が銃を撃つその刹那、まさに同時。
「エイラちゃん、私はあなたに
六人に銃弾が撃ち込まれる。記憶が伝わる。
パクノダさんの心臓に絡まっていた鎖がそれを貫く。
「パク!!」
私はパクノダさんを救えなかった。
光がパクノダさんから放たれて私の中に吸い込まれる。
『
こんなこと、私は望まなかった。
パクノダさんに、死んでほしくなかった。
「死んでる……」
シズクさんが、パクノダさんの遺体をあらためる。
「どういうこと?」
「オレが説明する」
すべてを知ったフィンクスさんが、パクノダさんの遺体を見下ろしている。
涙はないけれど、パクノダさんの遺志は確かに彼らに伝わった。
「すべてわかった。パクノダは……」
団長への敬愛の念、仲間への想い、交換の条件、覚悟のあかし。
一つずつ、丁寧に、フィンクスさんは残りの仲間にそれを伝えていった。
「最後に……エイラ、だったな。あの言葉……
「……多分。私はそれでもパクノダさんに生きていて欲しかった」
この世界に来て初めて、私は涙を流した。
この世界に来る前から、もう随分と涙なんて流していなかった。
とっくに枯れたと思っていたけれど、私は今、こんなにも悲しい。
私の発の記憶は六人には伝わったのだろう。そして残りのメンバーにも説明する必要がある。
それは私からパクノダさんにできるたった唯一のこと。
役に立たなくてごめんなさい、パクノダさん。
私はこんな形で蜘蛛の仲間になんかなりたくなかった。
あなたに生きていて欲しかった。
生きることはこんなにも難しい。
変えることはこんなにも難しい。
パクノダさんを止めるだけの速さ、力、それがあれば間に合ったかもしれなかった。
力が欲しい。そう、思わずにはいられなかった。