私はカードを具現化する。
具現化されたカードは二枚。
『愚者』、そしてたった今手に入れた『女教皇』
「これが私の発です。『
前もって準備してもらった世界地図。それを見つめながら、私は一枚のカードを引いた。
『愚者』
皆の目には見えないが、私の目には地図上のある一点が光って見える。その場所を、私は指さした。
「……団長さんは、ここに居ます。ただし先ほどのフィンクスさんの説明の通り、旅団のメンバーさんが接触するのは望ましくありません。よろしければ私が団長さんと接触し、念能力を取り戻すための手助けができればと考えています」
「人間の居場所がわかるってのがお前の能力か?」
フランクリンさんの質問に、私は間を置かず答える。それが私の誠意。
旅団に隠し事はできるだけしない。原作の知識だけは伏せさせてもらうけど……。
「正確には『顔を見たことのある個体』の『現在地』になります。地図や写真上でもわかりますし、近ければ方向や距離もわかります。これは『愚者』のカードの能力になります。そしてもう一枚、『女教皇』のカードは……パクノダさんの、能力、です」
パクノダさんの能力なんて欲しくなかった。奪える気もしなかった。
だから私は何度も思った。
『私の能力は蜘蛛にさして意味をもたない』
「もう一つの能力『
今の私のオーラでパクノダさんの能力を再現できるかは甚だ微妙だが、今後鍛えることによってもしかしたら使えるようになるかもしれない。
使えなかったらその時は私の能力丸ごと団長さんに盗んでもらえばいい。
そうすれば、パクノダさんの能力をそのまま旅団に遺すことができる。
そのためには、私が生き残ることが必須。
「つまり、その能力でパクの念能力を引き継いだってわけだね」
「はい。パクノダさんの最期の言葉が最後の条件を満たしました。条件の一つは『私相手に敗北を認めること』正確には『私にまいること』……これは、口頭だけでも意識の中でも構いません。……蜘蛛の皆さんが、私相手に敗北を認めるなんて、本来ありえないことですから」
それがこの場では逆効果になった。
パクノダさんは自分の能力がレアだということを知っている。
逆に言えば、能力さえ残せれば蜘蛛にとって自分は死んでも構わない、と。
……きっと、そう思ったに違いない。私の能力を知っていたばかりに。
蹴られ好きGPS男の能力と、パクノダさんの能力。
現在私の持つ手札はこの二枚だけ。
「団長さんの傍に居て、私は自分を鍛えます。身体も、念能力も」
私は力を手に入れる。
才能なんてたぶん無いけど、生き残る確率を上げるためにはそれしかない。
そして単純に、強くなれば能力を奪うことも容易くなる。
力、それは旅団メンバーになるための最低条件。
私はこれまでこれほどまでに、強く生きたいと願ったことはなかった。
パクノダさんの『念』を背負い、私は生きる。何があっても生き延びてみせる。
旅団の皆さんと、団長さんに伝えるべきいくつかの事項を確認し終えた後。
私は道中困らないだけのお金をもらった。
連絡先はあえて交換しなかった。
それ自体が『団長と旅団員の接触』と認識されることを恐れたためだった。
携帯電話で地図アプリを開く。
ヨークシンシティからそれほどは離れていないサヘルタ合衆国の一か所。
光が示すその場所のさらに先……東を目指し私は出発した。
先回りしなければ、私が団長さんに追いつけるはずもない。
国境をうまくこえられるかどうかが重要になってくるだろう。
けれどやらなければならない。やってみせる。
それが私の、やりたい、やらなければならないこと。
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『
・任意の個体の現在地を知ることができる
・対象の顔を実際に見たことがある必要がある(写真不可)
・現在地を知る方法は写真上・地図上など多彩
・直径一キロ圏内にいる場合には何もなくともおおよその方角と距離がわかる(完璧に正確ではないのでライフルなどでの攻撃は視認でもしていない限り不可に近い)
・地図上などでは平面的にしか場所を知ることはできないが、半径五百メートル圏内の場合は高さを含め立体的に居場所の方向を把握することができる
・同時に複数の人間を調べることはできないが、都度切り替えて一人ずつ調べることはできる(二十四時間内に複数回可能)