二十二の使徒   作:海砂

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第十二話

 もう少し具体的なヨルビアン大陸の地図を拡大した。

 想像したとおり、念能力のない団長さんの速度は常人プラスアルファレベルにまで落ちている。

 おそらくは飛空船を使って海辺の町あるいはその最寄りまで飛ぶつもりなんだろう。

 最初の点から真東ではなく、少し都会の方向へと逆走している。

 その都市までにほぼ常人の私が追い付ける可能性は皆無。

 だったら私はサヘルタ合衆国の国境間近まで先に飛空船で行き、徒歩で国境を越える。

 パスポートもビザもない私には、国境を越えることは出来ない。

 徒歩であれば、どこかにスキがあるかもしれない。

 

 そう思って、ひとまずは国境へと向かった。

 幸い、真東へのルートからそれほど外れるところのない国境そばの位置にレダス国際空港という大きな空港があった。

 私のガチ旅はここからスタートする。

 この街で、野宿に必要な火種やナイフを手に入れる。

 それから、小さな鍋を一つ。

 そして大量の袋ラーメン。

 これなら軽い、私でも持ち運べる。

 そして最悪、鍋とラーメンを捨てれば身軽になる。

 

 国境を越える方法はいくつかあるだろう。

 もっとも楽なのは、そのままゲートをくぐる方法。

 念能力者の監視さえなければ、絶を使ってうまく何とかなるかもしれない。

 金属探知機はあるだろうから、その場合は荷物をすべて破棄する必要があるけど。

 この方法が一番効率がいい、出来るのであれば。

 あるいは車に交じって越えることができればなおよい。

 荷物も捨てずに済むかもしれない。

 

 次に街道から逸れた山を越える。

 サヘルタ合衆国とその隣国の関係は漫画には記されていなかった。

 けど基本的に、そう簡単に国境線は越えられないと思っておいた方がいいだろう。

 そうしないと一般人ですら密輸が暗躍しまくってしまう。

 それでもピンポイントで人の出入りが多いゲートよりは、念能力者の監視が減るかもしれない。

 ……あるいは逆。

 人の目の多いゲートは一般人の数の暴力で監視し、そうでない広大な境は念能力者が監視する。

 そのケースもあり得る。

 

 前者は最初からあきらめようかと思っていたけれど、トライする価値があると私は判断した。

 まずは荷物を捨てずに済む、車の横を通り抜ける方法。

 

 結果から言うと、想像以上に簡単に通り抜けられてしまった。拍子抜け。

 絶を使い、車の陰に隠れて、同時に合わせて歩き始める。

 ゲートが見えなくなるまでは絶を使い続けた。

 途中で念能力者に声を掛けられる覚悟もしていたんだけど、全くそんなことはなかった。

 もしかしたらサヘルタと隣国は案外仲がいいのかもしれない。

 基本的に、隣国とは直接利益関係が出てくるから仲が悪いのが常道なんだけど。

 

 とはいえ、私にしてみれば超ラッキー。

 このまま私は徒歩で(途中からタクシーに乗って)港町へと直行する。

 地図アプリを見ると、まだ団長さんはサヘルタにいる。

 多分先回りできるだろう。

『グリードアイランド』から海を挟んだ、ヨークシンシティから真東にある港町へと。

 

 徒歩で歩く時は常時おもりをつけて。

 タクシーに乗っている間は纏と練。

 少しずつでも私は修行する。

 格闘に関しては下手に自己流で知識を植え付けるより直接団長さんに教わった方がいいだろう。

 団長さんにその気があればだけど。

 タクシーの運転手さんがなんかゾワゾワしてたのは私の練のせいです、ごめんなさい。

 敵意がないから大丈夫だといいなと思ってたけど、やっぱり無効にはならなかったみたい。

 運転に支障が出ると困るので、練の修行はやめた。

 左手にオーラを集めて、体を通って右手のこぶしへ攻防力移動。

 やっぱり私の予想通り、オーラが増えるほど私の絶と流のレベルが落ちている。

 同時に今後は絶と流の技術も維持していくために修練を積む必要があるかもしれない。

 

 港町に到着するまで、私はひたすらそれをやり続けた。

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