二十二の使徒   作:海砂

16 / 87
第十六話

 団長さんに教わって具現化系と特質系以外の初歩修行をしてみた結果。

 私には絶望的に強化系の才能がないことが分かった。

 いや、特質系の正反対に位置してたからうすうすわかってはいたけれど。

 逆に向いている系統は操作系。

 多分六性図の通り、特質系を中心に操作と具現化に八割の力を割り振ることができるんだろうと思う。変化系と放出系はちょびっとだけできた。

 

 というかそもそも団長さんの指示は多分、初歩の修行ではない。

 それは彼が天才であることの証。

 教えたことも教わったこともないがゆえに、独学で編み出した修行法。

 なので才能がなくたって初歩の初歩の強化系の力くらいなら私にだってあるはずだ。

 と思う。多分。

 

 団長さんは時々、ケータイで誰かと話をしていた。

 彼の電話は衛星使用で世界中どこでも繋がるらしい。私のスマホは繋がらなくなってたのに。

 しっかりと話の内容を聞いていたわけではないので推測になるが、相手は多分イルミかヒソカ。

 すでに除念師の情報を集めているのだろう。

 本来の原作では団長さんがグリードアイランドに直接向かったという記述はない。

 旅団員が外から訪れたときにレイザーが「久しぶり」だと言っていたことからも、団長さんが(少なくともその時までは)島を直接訪れていないことがうかがえる。

 何も無ければどこかでのんびりとしていたかもしれないのに。

 私を鍛えるためにあえてこの道を選んでくれた。嬉しい。

 だから先に伝えておこう。

 

「団長さん、この先さらに東にある島はグリード・アイランドという念能力者が作り出したゲームの島です。ゲームをプレイする以外の方法で島に侵入すると、製作者によってアイジエン大陸のどこかにばらけて飛ばされます。つまり、私と団長さんは別々の場所に飛ばされます」

 

「お前は、何故それを知っている? まだオレに話していない能力を持っているのか?……ああ、別に詳細を話す必要はない」

 

「はい、持っています。というより、その『グリード・アイランド』に関する知識を持っている、と言った方がより正確です」

 

「わかった。今更お前を疑ったところで仕方のないことだ。飛ばされた場合、オレはその場所からほぼ動かずに待機するからお前は『愚者』の能力を使って出来る限り急いでそこまで来い。修行は忘れずにな」

 

「わかりました」

 

 今後の指針を示してもらい、私は引き続き魚を釣る。

 操作系の能力でフライをゆらゆらと操作すると、釣果は操作しないときよりも多くなった。

 あと魚食べるの飽きた。

 

「団長さん、私は今夜はラーメンを食べます」

 

 それは覚悟の証、制約と誓約。

 今夜、私は、ラーメンを、食べる!

 

「勝手にしろ、ただし野菜を入れるのを忘れるな。保存料にも入ってはいるだろうがレモンの汁も入れておけ。海に出てもう随分と長い期間になる、壊血病にも効果的だ、ビタミンCは脳にも良い影響を及ぼす」

 

 誰もそこまで聞いてないけど、了解です団長さん。

 健康は、大事。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。