絶を使って小動物に近付きナイフで仕留める。
毛皮をはいで内臓を抜き取り起こした火で焼いて食べる。
お肉おいしいです。久しぶりのお肉です。
絶を使えば狩猟もそれなりの成果になった。3回に2回は逃げられるけど。
そんな感じで今夜もご飯を食べていた。
危険な生物は炎に近付いてこないと思うので特に怖くはない。
「ピィ」
どこからか小鳥の鳴くような声が聞こえた。鳥? こんな夜中に?
声のした方を見ると一本角の生えた子猫がこちらを見ていた。
怯え半分、興味半分といった感じだ。
猫って肉食だよね? あっでももう焼いたウサギしか残ってない。焼いててもいいよね。
ちっちっち、これ食べるおチビちゃん?
おチビちゃんはおなかが減っていたようで、焼いた肉でもペロリと平らげた。
そしてなんだか私に懐いてしまったようだ。
私は彼(彼女?)をゲレゲレと名付けた。
ゲレゲレは火に当たりながらコロコロと伸びつつ転がっている。
火をそのままにして私は寝て、起きてもゲレゲレはそこにいた。
一緒に寝てたようだ、毛皮のモフモフがもっふもふ。
いつまでもモフモフしてはいられないので、消えかけていた火をもう一度起こす。
「ピィピィ」
えっあっ朝ごはんかな? 言われるがままに私は再びウサギを狩ってくる。
今度は生のままあたえると、角で突き刺してわざわざ焼いて食べていた。
あれっこれってもしかして、原作に出てきたキャンプタイガーじゃなかろうか。
……あれカキン帝国だったっけ?
というか、この子の親タイガーはどこにいるんだろう。
一晩一緒に寝てて、もしかしたら危険だったかもしれないな。
火を恐れない猛獣の子猫。
猛獣は怖い。でもゲレゲレは可愛い。
「じゃあねゲレゲレ、元気でね」
私は道なき道を先に進む。ゲレゲレも後からついてきた。
「ゲレゲレ、私はやることがあるの。ついてきちゃダメ、わかる?」
「ピィ」
全くわかってない様子で、角が刺さらないように収納したおでこをすりんと寄せてきた。
困った、希少種のキャンプタイガーを連れて行くわけにもいかないし、どうしたらいいだろう。
……とりあえっず放っておこう。猫は気まぐれだ、気分次第でどこかに行くだろう、多分。
私はわしわしと先に進んだ。子猫は時々転びながらもついてきた。
ジャングルに近い森の中は常に薄暗い。そんななかで明るい一角が見えた。
誰かいるのかな? 私はそちらへと向かう。
前方に人影を見つけた。
その人達は焚き火のそばに座っている。二人。
「おっ、ボクたち以外にも人がいるなんて珍しいな、ヤハハ」
「あなたもハンターですか? 私たちは国の依頼で生物調査をしているアマチュアハンターです」
……なんか見おぼえあるな、多分これあれだ、カイトたちのグループだ。
そういえばカキン帝国で生物調査をしてたっけ。
原作で出てきたシーンよりこんなに前から調査してたのか。
確か原作で出てきたのはキメラアント編序盤。まだまだ先の話だ。
「初めまして、私もアマチュアのハンターです。名前はエイラ。今は特に何をしているというわけでもなく、修行しながらカキン帝国を東から西に横断中です」
ゲレゲレは見知らぬ人にビビったのか、どこかへ消えてしまった。
……『愚者』の能力でどこに隠れてるのかは知ってるんだけどね。
百メートルほど後ろのヤシみたいな木のカゲに隠れているのはわかっているのだよ、ゲレゲレ。
「ヒキョーでシュギョー、なーんて変わった子だね、ヤハハハ。ボクはスティック、スティック=ディナー」
「私の名前はバナナ=カヴァーオです。よろしくね」
他にも何人かでグループを組んでいて、それぞれに調査をしている最中だという。
二人は休憩兼火の番というわけらしい。
おっ、ゲレゲレが木のカゲから離れた。……このまま私からも離れてくれればいいけど。
そして健康に元気に育つんだよ。
「西へ行くんだったら、ここから南に五百メートルほどいくと川があって西に向かって流れてるから、その川を辿っていけばいい。水辺の方が色々と捗るしね、食料調達とか」
「山を登る川なんてのも珍しくてカキンならではだよね、どういう仕組みなのかはわかんないけどさ、ヤハハハハハ」
有用な情報を得て、私は二人と別れる。
彼らのグループ以外にも調査グループはあるらしいので、また誰かと出会うこともあるかもしれない。
ちょっとだけカイトさんに会ってみたい気もしたけど、私にそんな暇はない。
南に下ると確かに小川が流れていた。しかも重力に従わず、西の山の方へ向かって登って流れている。
スティックさんじゃないけど、どういう仕組みなのか私も知りたい。
「ピィ」
……やっぱりついてきたか。いや知ってたけど。
ゲレゲレは自慢の一本角にウサギとネズミを一匹ずつ刺していた。
どうやら私に食べろと言っているらしい。
いつのまにか立場が逆転してしまったようだ。私は彼(彼女?)のために火を起こした。
そして今度はしっかりと調べる。ゲレゲレは、
可愛らしいナニがふたつ、お尻の下にちょこんと並んでいた。