二十二の使徒   作:海砂

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第二十話

 私は毎日タロットを触っていた。

 触る時間を設けていた、一日におよそ一時間ほど。

 カードを具現化する私はこれだけでも修行になると団長さんが言っていたからだ。

 もう少し修行して、カード自体を武器として具現化できるようになれたら少し楽かななどと考えている。

 イメージはヒソカのトランプだ。あれはおそらく具現化したものではないけれど。

 いや、具現化系と変化系は相性がいいはずなので、もしかしたら具現化されたものなのかもしれない。

 でも多分、違う気がする。ヒソカはそんなところにメモリを使わない、多分。

 

 カードを触っている間、ゲレゲレは不思議そうにそれを眺めていたり、あるいは獲物を狩りに行ったりと、邪魔をしてくることはなかった。

 最初にカードを見た時に興味津々で匂いを嗅いだりはしていたけど、すぐに飽きたようだ。

 最近では私が練の修行をしていると、短時間ではあるが真似をして練をするようになった。

 もしかして私よりゲレゲレの方が念能力の才能があるかもしれない。

 ……水見式、させてみたい。させようがないのでどうしようもないけれど。

 でも彼は私の言葉をうっすら理解しているようだ。

 休憩と言えば休憩、行くよと言ったら立ち上がる。

 待っててと言えば待つ。ただし私の姿が見えなくなると追いかけてくる。不思議。

 

 二つ目の山脈を登り終えて、ちょうど夕日が沈む頃合いだ。

 山を下った先の西の方にはたくさんの明かりが見える。都市部が近いのだろう。

 ここまで、人に会ったのは二回。カイトチームの二人と密猟者。

 それ以外には、これといった事件もなかった。

 ひたすら纏と練、タロットをいじくり回してたまに獲物を狩る。

 操作系の修行のために木を削って作ったフライで釣りをしたりもした。

 

 そして暇さえあればゲレゲレをモフる。

 しばらくはモフられるがままになっているのだが、途中でイラッとするのか凝をしたネコパンチやネコキックを繰り出してくる。時々硬。殺す気か。

 やめてよね、そんなので死にたくない。なお爪は出してない模様。

 

 日常は、そんな感じ。それもきっともうすぐ終わる。

 ゲレゲレは街に連れて行っても大丈夫だろうか。

 角は常時収納させることができるとはいえ、猛獣であることに変わりない。

 街に着いたら、まず首輪とリードを買おう。そして猫だと言い張ろう。

 まだサイズ的には成猫程度だから、問題はない……といいな。猫より足がめちゃくちゃ太いけど。

 

「ミィ?」

 

 ごめんねゲレゲレ、君を飼うつもりはなかったんだけど。

 ここまでついてきたからには君にも飼われるものとしての覚悟と気概を叩き込むよ。

 別にお手もお座りもできなくていいから、無神経に念能力を振りまくのはやめなさい。

 私に叱られている時やお説教をされている時、ゲレゲレは絶で遠い目をしている。

 獲物を狩るときもしっかり絶を使っているようだ。

 絶はまあいいとして、それ以外は普段使わないようにしつけておかないと、人間の世界ではいきなり練を使うだけでも周囲の人が吃驚仰天だ。

 

「ゲレゲレ、戦うときと狩りのとき以外、練は禁止。凝や硬も禁止。特に他に人がいるときは絶対禁止。わかる?」

 

「ミィ」

 

「絶だけはたまに使ってもよし。普段はオーラを纏わずに垂れ流しなさい。わかる?」

 

「ミィ!」

 

 あ、オーラ垂れ流し始めた。ホント賢いなこの子。もう私の言ってること全部わかってるんじゃないか?

 私の言葉は理解しているのに、私に意思を伝えることが難しいのは歯がゆいだろうな。

 でも私、猫語知らないしな。違った、キャンプタイガー語?

 そんなものあるのかどうかすら知らないけれども。

 まあ、なんとなくなら意思の疎通も出来るようになってきたので、問題はないだろう。

 間違ったら私が凝のネコパンチを食らうだけだ。

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