二十二の使徒   作:海砂

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第二十一話

 街におりてまず私がやったことは三つ。

 最初にネカフェでシャワーを浴びて、自分の服を買う。ボロボロになった服のままだと目立つ。

 ゲレゲレの首輪とリードを買う。彼は繋がれることにはそれほど不服を述べなかった。

 そしてこれが一番大事、袋ラーメン!

 ラーメン屋さんでラーメンを食べたことがない私には、袋ラーメンが一番の御馳走。

 前の世界にいた頃に母がごくまれに食べさせてくれたそれは、しょっぱくてつるつるしてて最高の味だった。

 ついでに鍋もまた買った。

 そして荷物を抱えてリードを引いて、私は『愚者』を発動する。

 スマホはネカフェで充電させてもらった。

 地図アプリによると、この街の北端にあるカフェ、そこに団長さんがいる。

 少し近付けばすぐに私に感じ取れる圏内へと入った。

 

「遅かったな。……なんだ『ソレ』は」

 

 いきなりゲレゲレをソレ呼ばわりはいただけない。

 団長さんに、大陸横断していた間の出来事をざっと説明した。

 ゲレゲレという名前に軽く引いていた。

 けれど『念能力を使える獣』にはいたく興味をひかれたようだった。

 

「ミィ……?」

 

 ゲレゲレは不安そうに私を見上げる。

 団長さんと肩を組んで見せた。

 ゲレゲレは安心したように視線を外し、周囲をきょろきょろと見まわしている。

 団長さんは軽く引いていた。

 

 ごく軽くではあるが、念能力者と対戦したことも話した。

 修行の成果がそれなりに出ているのだろうと感心された。

 けれどほとんどはゲレゲレの戦果であることも話した。

 団長さんは軽く引いていた。

 そんなに引かれると凹んでしまいます。

 

「エイラ、お前は『グリード・アイランド』について知っていると言っていたな」

 

 私は頷く。飛ばされる前、私は確かにそう言った。

 

「オレは今、ヒソカと連絡を取ってある人物を探させている。その人物はグリード・アイランドの中にいるようだ。旅団員とも接触させている。どうやら人を介した接触はある程度までは『団員との接触』にはカウントされないようだ」

 

 ……そういえば、そうだったな。

 人を介する分には問題なさそうだ。ということはつまり。

 

「お前にもグリード・アイランドに行ってもらう」

 

 やっぱりそうなりますか。

 

「今からお前に旅団の本拠地の場所とオレの連絡先を教える。まずは次のハンター試験を受けるといい。ハンターライセンスがあれば世界中をまたにかけて動きやすくなる。お前のように見た目が幼い人間の場合持っていた方がより効果的だろう。それから、本拠地に向かってメンバーと合流してもらう」

 

「ちなみに今日は何日ですか?」

 

「十二月二日だ。先にライセンスの申し込みをしておいた方がいいだろうな」

 

 次の試験……私にキルアと互角にやるだけの力が手に入ったとは思えないけど、とりあえずやるしかないか。

 自分の実力を測るいい機会だと思えばいい。

 

「それから、明日もう一度『女教皇』を使え。以前に比べてどの程度使()()()様になったのか、それで大体把握できる。特に武器としての銃の利用がどれだけできるようになったのかが重要になってくる。お前は攻撃的な発を他に持っていないからな」

 

 パクノダさんは特質系だけど、能力を見る限りおそらく向いている系統は具現化系と放出系。

 本来は具現化系だったのかもしれない。

 よって放出系がそれほど得意でない私が武器として使用する場合、普通より多めのオーラを使用することになる。

 以前使った時に一発撃っただけで倒れてしまったのはその為だろう。

 逆に記憶を読んだり記憶弾(メモリーボム)は特質系なので、私はあまりオーラを使用することなく使えると思われる。

 

「それと……この虎に水見式をしてもらうか」

 

 え、いやそれは無理じゃないかと……。

 

「コイツはお前の言葉を完全に理解している。水に向かって練をするようにいうだけでやってのけるだろう。随分と賢い獣だな、こうしてみるとただの虎の子供のようだが」

 

 無理だろうと思いつつカフェでお冷をもらい、やってもらうと、全開で強化系でしたありがとうございました。

 水がコップからじょろじょろと溢れ出る。

 

「あんたほんと賢いねー」

 

 おでこをカシカシと撫でてあげる。

 ゲレゲレはノドよりオデコの方が撫でられるのが好きらしい。

 ぐるぐると鳴らしているのはノドだけど。

 

「お前は今後もこの虎とともに行動しろ、互いにないものをフォローし合える関係性になれるだろう」

 

 誰かと一緒に行動するのは少し苦手なんだけど、ゲレゲレだったら大丈夫、何も問題はない。

 ちなみに団長さんとの時は一人の時間もちゃんとくれたので苦にはならなかった。

 

 翌日、私は『女教皇』を使用して、リボルバーの弾の分、六発を撃てることが判明した。

 七発目以降を装填すると気絶した。前と同じパターンだ。

 

 半ばぐったりした状態で、私は団長さんを占う。

 ワンオラクルしか無理です、当たる気がしません。

 出たカードは『愚者』の正位置。

 

「現状維持で構わないと思います。信頼の意味を持つこのカード、旅団員への信頼を意味していると思われます。特に策を弄さずとも信念に沿って行動すれば、おそらくは団長さんの願うがままになるでしょう」

 

 いいカードが出た。団長さんは黙ってそれを聞いていた。喜ぶことも、悲しむこともなく。

 

 そして私はハンター試験を申し込む。試験会場はビースカフマロ。知らぬ。

 ひとまずキルアも凶狸狐の元へと向かっていた気がするので、私もそうしよう。

 あとは地図アプリで探せばいいだろう。

 ドーレ港へ向けて、私とゲレゲレは出発した。入船に身分証はいらなかった、よかった。

 ゲレゲレはキャリーバッグの中でおとなしくしている。

 あとでラーメン食べさせてあげるからね。虎にはよくないか。駄目か。

 とりあえずキャットフード買ってきたから、しばらくはそれで我慢してね。

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