二十二の使徒   作:海砂

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第二十八話

 情報を得るならギルドか酒場。RPGの常道よね。

 マサドラにはギルドはなかったけど酒場は二件あった。

 

 酒場のドアをくぐる。

 カウンターとテーブル席がいくつか。

 カウンターに店員が一人、客は三人組がテーブル席に。

 あと、一人でカウンターに座っている人がいる。

 おそらく全員がNPC。っぽい。

 私はカウンターに座ってオレンジジュースを注文する。

 ゲレゲレも一緒に入ってきたが特にとがめられることはなかったので問題はないだろう。

 足元に座ったので、彼の為に味の付いていない焼肉も注文した。

 私は店員に声をかける。

 

「あのー、この辺で金稼ぐのにいい場所知りませんか?」

 

「何だお嬢ちゃん、金が欲しいのかい?」

 

 返事をしてきたのは店員ではなく、二つ隣に座っていた客だった。

 

「はい、出来るだけ大金を稼ぎたいんですが、何かいい方法はないかと思って」

 

「それなら北に居るドラゴンでも退治するかい? あいつは時々人里を襲うから懸賞金もかけられてるし、もし捕まえられたなら角でも皮でもウロコでも高値で売れるぜ。もっともお嬢ちゃんが倒せるようなヤツとも思えないがな」

 

 ドラゴンとか、いよいよRPGっぽくなってきた。私に倒せるかな、無理かな。

 

「ちなみに北というのはどのくらい北ですか?」

 

「そうだな、ここからだいたい六十キロってところか。その辺りにヤツの住処がある」

 

 行ってみて、無理そうなら逃げればいいか。

 

「他には何かないですかね? もうちょっと、私にでも出来そうな」

 

 今度は店員の方が答えてくれた。

 

「うちでバイトするかい? 時給六百ジェニーで賄い付きだ」

 

 ……モンスター狩った方が割りがいいな、こっちは断ろう。

 

「他にはそうだな、東にある湖に沿って北上したところに、幻と言われる猫がいるらしい。なんでも何にでも変身することができるそうだ。誰も見たことがない単なるうわさ話だがな。もし捕まえてこれれば高値で買う奴はいくらでもいるだろう」

 

 猫。私はどうにも猫と縁があるらしい。

 ゲレゲレを見た。焼肉を美味しそうに頬張っている。

 情報が出てきたということはいずれも何かしらのカードである可能性が高い。

 結局、聞けた情報はその程度だった。

 ドラゴンか、猫か。危険がなさそうなのは猫かな。

 とりあえず猫をキーワードに情報を集めて探しに行ってみよう。

 代金を支払って、酒場を出た。

 

 

 変身できる猫をキーワードにして情報を集めた結果、以下のことが分かった。

 

・非常に警戒心が強く、人を見るとすぐに逃げるらしい

・絶滅寸前で、ほとんど数がいないらしい

・湖の真北すぐのあたりが生息地らしい

・過去に四匹だけ捕まえてきたやつがいるらしい

 

 ……カードとしての所有者が四人ってことかな?

 売ったり失ったりで実際に所持しているのはもっと少ないかもしれない。

 ひとまず湖の北を目指そう。ドラゴンは後回し。

 

 

 そして地図を見ながら、湖の真北に到達した。

 周辺は森っぽい感じで隠れる場所は多い。

 円で探索は可能だろうけど猫に気付かれて逃げられる恐れがある。

 ここは……絶。ゲレゲレにも絶をさせる。

 そして座って瞑想。自然と一体化する。

 瞑想は占い師の得意分野です。

 ただ一点、全てが自然のまま在ることにだけ集中する。

 小鳥が肩に止まる。私は微動だにしない。

 虫が体を這う。私は一ミリも動かない。

 ゲレゲレにも動かないように命令した。彼も律義にそれを守っている。

 

「ミィ」

 

 突然、ゲレゲレが絶を解いて声を発する。

 小鳥は逃げたが、目の前の木の陰に猫がいる。

 

「ミィ」

 

 猫は逃げようとしたが、ゲレゲレの声に反応しこちらに振り返る。

 ゲレゲレが近寄る。猫は逃げようとはしない。

 

「ミィ、ミィ」

 

 ゲレゲレは続けて何かを話しかけている。猫とキャンプタイガーって言葉通じるんだろうか。

 いけない、雑念はよくない。私は石。私は木の葉。

 二匹が鼻先を突き合わせる。互いの匂いを嗅いでいるようだ。

 

「……ニャア!」

 

 猫がカードに変化した!

 私は慌ててゲレゲレに近付き、カードを見る。

 

『S-6 カメレオンキャット』

 

 まさかの指定ポケットSランクカードだった。

 ゲレゲレ、でかした!

 急いでカードをバインダーに仕舞う。これを売ったらおいくら万円かしら~❤

 帰り道でもモンスター狩りをしながら、ゲレゲレと二人マサドラへと戻る。

 

 カメレオンキャットとモンスター、合わせて五十八万ジェニーでお買い上げ!

 こんだけレアなの持ってきても、カードショップの店員さんは無表情。

 ちょっとさみしい。

 

 そしてそのお金で買えるだけの呪文(スペル)カードを購入する。

 使えそうなのは同行(アカンパニー)三枚、交信(コンタクト)四枚、離脱(リーブ)一枚、磁力(マグネティックフォース)一枚。

 レアめなのだと擬態(トランスフォーム)聖水(ホーリーウォーター)を一枚ずつ手に入れた。

 せっかくなんで聖水(ホーリーウォーター)は自分に使っておこう。

 

 売り飛ばしたカードってカード限度枚数にカウントされるのかなあ。

 ……多分リセットされるんだろうとは思うけど。

 それすなわち、カメレオンキャット無限増殖! 取って売って出す!

 カメレオンキャットをゲットするにはゲレゲレだけで大丈夫そうなんだけど、カードのまま手に入れるには私も一緒に行くしかない。

 とりあえずこれを繰り返して呪文(スペル)カードをガンガンゲットしていこう。

 

 あっ、離脱(リーブ)を誰かと取引するのを忘れずに! レアカードカモンカモン。

 あとはもう一件の酒場の方でも金銭情報聞いてみよう。

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