二十二の使徒   作:海砂

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第三十一話

「他プレイヤーがあなたに対して「交信(コンタクト)」を使用しました」

 

 初めての時はびっくりしたけど、二度目ともなるとさすがに慣れた。

 右手で宙に出現したバインダーをキャッチして相手を確認する。

 

「こちらシャルナーク。除念師を発見した。まだ接触はしてない。ひとまず全員集合してもらおうと思って。今すぐ来れる?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 もうグリード・アイランドに入って一か月以上たつのか……早いなあ。

 そういえばゲレゲレがどんどん大きくなってきている。おもにタマ。

 だけでなく、体も大きい。もう猫と言っても通用しないサイズになってきている。

 バインダーから同行(アカンパニー)を取り出して唱える。行き先はシャルナークさん。

 私にはまったく覚えがないんだが、フィンクスさんもシャルナークさんもどこかですれ違っていたらしい。

 もしかしたら向こうが意識的に近づいていたのかもしれない、交信(コンタクト)その他を利用するために。

 ……来た時はそんなことすっかり忘れてたもんなあ。

 本当は最初の地点で全員集合するまで待ってるべきだったんだろうけど、無視してアントキバまで行ってしまったからな。

 

「お久しぶりです、除念師は?」

 

「マチが糸で追跡してる。まだ僕たちは接触してない。接触は……できればエイラ、君に頼みたい」

 

 私? ヒソカじゃなくて?

 

「ヒソカと団長の契約が無効になれば、団長はヒソカとタイマンせずに済む。少しでも危険は取り除いておきたい」

 

 ……接触するのは構わないけど、そんなことであのピエロの執着が消えるとも思えない。

 それに、私が団長さんのもとに戻るのはリスキーな気がする。勘だけど。

 

「勘か……マチとエイラの勘はなかなか馬鹿にできないからな」

 

 フィンクスさんは私の占いの能力を肌身に染みて感じているはずだ。

 今、ここには団長さんとフランクリンさんを除いた旅団員全員と私が居る。

 

「……当初の目的通り、ヒソカを介して団長さんと除念師をつなげるべきだと思います。私ではすでに団長さんと旅団員の接触に抵触する恐れがあります」

 

 私自身は旅団員ではないけど、旅団員との接触回数があまりにも多すぎる。

 クラピカの念の鎖がどこまで許容するかはわからないけれど、団長さんの命を賭けてまで実証する必要はないはずだ。

 

「……その通りだね。フィンクス、ヒソカを迎えに行ってくれる?」

 

「ああ、わかった」

 

 フィンクスさんに磁力(マグネティックフォース)同行(アカンパニー)を一枚ずつ手渡す。

 

磁力(マグネティックフォース)オン、クロロ=ルシルフル!」

 

 すぐにフィンクスさんは飛び立った。そう時間をかけずに戻ってくるだろう。

 ということは、今はツェズゲラと爆弾魔(ボマー)の鬼ごっこタイムあたりかな、原作だと。

 

「あの、私ちょっと別行動してもいいでしょうか」

 

「いいよ、エイラはそもそも旅団員でもないし。何か状況に変更があったら交信(コンタクト)で連絡とるから」

 

「ありがとうございます、あとゲレゲレも預けたいんですけど」

 

「ミィ!?」

 

 しばらくの間だけだから我慢してよね、ゲレゲレ。

 

「わかった、私が預かる」

 

 箱ごとシズクさんにゲレゲレを渡して、準備完了。

 

「別行動するのは一週間弱程度だと思います。じゃあ、行ってきます。「磁力(マグネティックフォース)」オン、ツェズゲラ!」

 

 私はカードでツェズゲラの元へと飛んだ。

 

 

「……君は?」

 

 警戒されている、当然だろう。交信(コンタクト)も使わずにいきなりここを訪れた。

 

「私は、ゴンとキルアの知人です。あなた方が今から何をしようとしているのかを知っています。そして私は占い師です。呪文(スペル)カードでいうところの追跡(トレース)の能力を持っています。……取引を、しませんか?」

 

「取引?」

 

「時間を稼ぐのに、ただ逃げるだけでなく攻撃を加えることも必要。私の能力を使えば相手がどこに居ようと敵に知られることなく近づくことができます。最初だけ、彼らの顔を視認する必要がありますが、それはあなた方について行けば簡単に叶うでしょう。報酬はクリア報酬の二%十億。私は攻撃的な発をほとんど持っていないのでバトル自体には参加しませんが、手持ちの必要な呪文(スペル)カードも提供します。たとえば同行(アカンパニー)十一枚。いかがですか?」

 

 ツェズゲラ組、ゴレイヌを含めて五名が話し合う。そう悪い話ではないはずだ。

 

「わかった。私が君とともに同行(アカンパニー)で彼らの顔を視認させよう。その際に攻撃を加えれば敵もまさか視認が目的だとは思うまい。君はカードを手に持っておいて、私が攻撃次第再び同行(アカンパニー)でここへと戻る。それで大丈夫だろうか」

 

「はい、問題ありません。取引は成立と解釈して構いませんね?」

 

「ああ。では早速行くとしようか。呪文(スペル)対策はしてあるか?」

 

「指定ポケットカードはほとんど手持ちがありません。フリーポケットに関しては聖水(ホーリーウォーター)を使用してあります」

 

 うむ、問題ないな、そうつぶやくと彼は同行(アカンパニー)のカードを取り出す。私も取り出した。

 

同行(アカンパニー)オン、ゲンスルー!」

 

 到着と同時にツェズゲラは三人に向けて矢のようなものを放つ。具現化系か、放出系か……私は三人の顔を視認する、問題ない。

 彼らがツェズゲラの攻撃を防ぐ間に私たちはゲンスルーたちから三歩ほど後退する。彼らを同行(アカンパニー)の範囲内から外すためだ。

 

同行(アカンパニー)オン、ゴレイヌ!」

 

 そして戻る。問題なく手続きが終了した。

 

「それで、どうやって奴らの位置を特定する?」

 

「地図でおおよその位置が確認できます。直径一キロ以内であれば地図がなくとも方向距離ともにわかるので、多少カードを使うことになりますが私もともに行って具体的な場所を提示します」

 

 私は彼の目の前で絶を行う。

 

「私の絶で、彼らの五百メートル以内に気付かれず侵入することは可能でしょうか」

 

「その距離であれば問題はないだろう。具体的な場所さえわかれば後は私たちが単独で攻撃する。奴らがこちらの能力に気付くまでだから、そう長い間ではないと思うが……これから、よろしく頼む」

 

「こちらこそ」

 

 そうして、私はツェズゲラ組に協力することにした。

『愚者』の能力、意外と役立つ。

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