二十二の使徒   作:海砂

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第三十三話

 余談だが、私は自分で自分を占うことをしない。

 何故かまるで当たらないからだ。

 これまでに何度も試した、前の世界でも、この世界でも。

 そのいずれもが嫌がらせかのごとく、でたらめに外れるのだ。

 

 他者への占いは前の世界であってもそれなりに当たった。

 今の世界では原作知識もあって重宝している。

 

 結果。

 私はゲレゲレと二人っきりの時はしょっちゅうゲレゲレのことを占っていた。

 

 飛空船の中でゲレゲレが引いたカードは『戦車』の正位置。

 ドラクエでいうところの「ガンガンいこうぜ」だ。

 前にコルトピさんを占った時にも出たカードだね。

 とても前向きなカード。勝負運の良さも垣間見える。

 多分だけど、天空闘技場でゲレゲレも選手として認めてもらえるかもしれない。

 そんな気がする。勘だけど。

 

「ゲレゲレ、ごはんだよー」

 

 機内食、ルームサービス的なものを頼むという手もあったが、ゲレゲレは意外とキャットフードが嫌いではないらしい。

 人間にとってのスナック菓子みたいな感覚なんだろうか。

 私の食事は乗船料の中に含まれているので、レストランまで食べに行けば無料だ。

 ついでにテイクアウトでお金を払って味無しステーキ肉を持って帰ったりもしてる。

 ゲレゲレの食費も馬鹿にならなくなってきた。

 食べる量は出会った頃の二倍だ。

 ……天空闘技場より山籠もりでもした方が、食費には困らなかったかもしれないなあ……。

 その辺りも考えて、少しでも自力でお金を稼いでおこうとツェズゲラ組に協力したりしたんだけどね。

 私のホームコードはツェズゲラに伝えてあるので、バッテラのキャンセル料を受け取り次第連絡をもらえるだろう。

 そこらへん、彼は律儀で冷静で礼儀正しいと思う。

 星付きハンターはその辺も見られるのかな?

 もう少し強くなれたら、星付きハンターを目指すのもいいかもしれない。

 何かしらの功績を残せばいい。……占い師で星付きを目指すのは無理があるか。

 だとしたら私は何をしたい? 賞金首(ブラックリスト)ハンター? 興味ない。

 美食(グルメ)ハンター? 美味しいものは好きだけど別にそこまでして求めない。

 私には自分がしたいことがよくわからない。

 何故ならこれまでしたいように出来たことが一度もなかったから。

 考えることすら、ずっと放棄していた。

 そんな私が初めて願ったやりたいこと、それは旅団の力になることだ。

 パクノダさんの件を経てその願いは一層強くなった。

 私に星は必要ない。私はただただ強さを求めて旅団の手となり足となろう。

 そう結論付いた。

 

「ミィ!」

 

 はい、おかわりですね、すいません気が利かなくて。

 飛空船を降りるまで買い置きのキャットフード、もつかなぁ……。

 もたなかったら厨房から魚を丸ごと買い付けてこよう。

 

 

 私には格闘技経験がない。

 天空闘技場の登録では大嘘ぶっこく予定だ。

 船の上で、基礎的な知識は団長さんから学んだ。

 船がひっくり返らない程度に手ほどきも受けたが、それは本当に最小限。

 論理的に体系を学ぶことに意味はあっただろうが、実戦経験はNPC相手のみでほぼゼロに等しい。

 なので天空闘技場では、念無しで二百階を目指す。

 ゴンやキルアにも出来ていたので、キルアとある程度同等に戦えた私でも決して無理な目標ではないだろう。

 これはゲレゲレも同様だ。もちろん選手として登録できればの話だが。

 できなかったら……ペットホテルにでも預ける? 預かってもらえるかなぁ。

 ツェズゲラさんからの入金が間に合えばいっそ家を買ってもいいかもしれない。

 

 船の上での空き時間に、私は団長さんからハンター文字も教わった。

 今では自由に読み書きができる。

 基本的には日本語の表記を変えただけなので覚えやすかった。

 きっかけは団長さんが貸してくれた小説本だった。私はそれを読めないと答えた。

 それで団長さんが修行の合間の休憩時間を使って文字を教えてくれたのだ。

 おかげで船旅の後半の休憩時間は小説に没頭することも出来た。

 今思えばいい気分転換になっていたと思う。

 

 団長さんには感謝しかない。もちろん、旅団のメンバーさんにも。

 本来は異質な存在である私を、利用価値があったとはいえ受け入れてくれた。

 受け入れられた、それはこの世界に来て生まれて初めて味わった経験。

 私はそれを手放したくない。だから強くなる。

 ……ゲレゲレは、巻き込んだ形になっちゃったね、ごめんね。

 そう言うと不思議そうにミィと鳴いた。

 自分がついて行きたいからついて行っているだけだ、そう言っているように思えた。

 勝手な私の妄想だとわかっている。

 それでも、ゲレゲレにも、感謝。

 そうだ、到着まで感謝の正拳突きをしよう。

 祈り、突いて、再び祈る。それを幾度も繰り返す。

 神が居るのかどうかは知らないが、この世界に連れてきてくれたことに、感謝を。

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