二十二の使徒   作:海砂

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第四話

 蜘蛛の皆さんは一人も欠けることなく戻ってきた、大量のお宝を抱えて。

 ついでに酒や食べ物やそういった宴会アイテムもギッてきたらしい。

 そして私の前にはチョコロボ君が二十箱ある。何故。

 オメーはもっと肉付けろ、主に胸! とか言われた。セクハラ。

 

「お嬢ちゃん」

 

 コーラを持った、パクノダさんが私に近付いてきた。

 どうやらそのコーラは私のために持ってきてくれたらしい。

 自分はすでに開けた缶のビールを片手に持っている。

 

「パクノダさん、私には構わなくて結構ですよ?」

 

 孤独には慣れている。蜘蛛に私を殺す人はいてもいじめる人はいない。それだけで充分だ。

 

「そう? ……私はあなたの発を知ってしまったから、気にしているかと思って」

 

「気にしてません、何なら全員に公表したって構わないです。私の能力は()()()()()()()蜘蛛にはさして意味を持たない。だから皆には話さないでいてくれたんでしょう? ……ありがとうございます。言わないでいてくれたことには感謝しています」

 

「もちろんそれもあるけど……団長は、あなたの占いを随分と気にかけていたわ。もしよければ私も占ってもらえるかしら? 無理にとは言わないけど」

 

「喜んで。……マチさんや団長さんを占ったのはワンオラクルと言って単純に未来を視るだけのものです。他にも過去を視たり現在を視たり……いろんな占い方がありますけど、どうします?」

 

「未来だけでいいわ、これから数日」

 

 ちょうどいいサイズのコンクリートのブロックの上の埃やゴミを払いのける。

 取り出したタロットカードを広げてシャッフルした。

 

「私の占いは、……これはあくまで私の感覚ですけど、今から一か月以内の未来を示唆します。なのでこれから数日、と言った占い方はできません、ごめんなさい」

 

「それでいいわ、私の方が占ってほしいとお願いしてるんだから」

 

 マチさんの時や団長さんの時と同じ……パクノダさんに、一枚引いてもらう。

 

 彼女が開いたカード。

 ローブを着て翼を持った、大天使ミカエルを示すと言われている『節制』のカードの正位置。

 

「何をコントロールしたいですか?」

 

「?」

 

「節制の意味はつまるところ『なにがしかのコントロール』です。それは自分の感情だったり、他者との関係だったり、これは例えばですが蜘蛛のバランスのコントロール……蜘蛛に足は必要か、何本必要か、頭は必要か、それは代替できるものなのか」

 

 パクノダさんが固まった。私は言葉を続ける。

 

「パクノダさんがコントロールしたいものによってこのカードの意味は変わってきます。……とはいえ、正位置で出ているので、コントロール可能であるということを示しています。あなたはバランスを取ることができる。堅実に、確実に。ただしそれには忍耐を伴いますが」

 

 示された節制のカードを引き取って、丁寧にカードを順番に並べてまとめて箱にしまう。

 ここまでが私の占いのワンセット。特に意味はない。

 

「……それは、私の未来なのよね。だとしたら、今の時点では何をコントロールしたいのか、考えても無駄だってことかしら」

 

「無駄ではないと思います。時間と人生は過去から未来に向かって流れている。過去にパクノダさんが考えたことが今のパクノダさんを形作り、そして未来のパクノダさんを形成していく。そこに何一つ無駄はありません」

 

 パクノダさんはしばらく目を閉じて何かを考えていたのだろう。

 目を開いたときには、とてもいい笑顔を見せてくれた。

 

「エイラちゃんだったかしら。何か食べたいものや飲みたいものはない? 持ってきてあげるわ」

 

「チョコロボ君以外なら何でも」

 

 ケラケラと笑いながら、彼女はここから離れていった。

 私の占いは、何か役に立つだろうか。

 

 私は、自分が原作知識を持っていることを話すつもりはない。

 何故なら信じてもらえる気が微塵もしないからだ。

 逆の立場で考えよう。自分なら信じるか? 答えはノーだ。

 だとしたら自分を信じてもらうにはどうしたらいい?

 ……私には、占いがある。そして知識がある。

 うまく蜘蛛を絡めとろう。

 自分のために、自分も仲間を得るために。

 

「はい、どうぞ」

 

 パクノダさんはチョコバナナを持ってきてくれた。

 旅団の人たちはどうしても私にチョコを食べさせたいらしい。何故。

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