二十二の使徒   作:海砂

42 / 87
第四十二話

 一日を置いて二日後、二度目の選挙が行われた。

 二度目の選挙も投票率の不足で無効となった。

 

 三度目の選挙も中一日を置いてその二日後に行われた。

 これも投票率の不足、しかも前回より増えた。

 ここで、パリストンが十二支ん全員での演説を提案するはず。

 

 そして私たちは今、一つの巨大なホールに集められている。

 十二支ん全員の顔、それから同じ室内に見つけたビスケやノヴ、ハンゾー、メンチなど原作キャラの顔もしっかりと確認した。

 これでいつでもこちらから接触できる。

 

 副会長のクソ爽やかな演説のあと質疑応答に移り、レオリオがマイクを握った。

 原作のあのシーンだ、ワクワクしかない。

 

「287期のレオリオだ。そこのジンって人に聞きたいことがある」

 

 ゴンのことを尋ね、それに対してジンが返答し、その返答にレオリオがキレる。

 

「こンの……クソ野郎!!」

 

 机を叩き壊したレオリオの拳は床にかすかな軌跡を残してジンのテーブルへと届く。

 ジンの実力からいってかわせないはずはないんだけれど、それはジンの顎へと見事にクリーンヒットした。

 場内割れんばかりの大喝采。

 

「いっぺん死ね!!」

 

 超新星の誕生である。

 全員がスタンディングオベーション。もちろん私も手が痛くなるまで拍手した。

 その結果、浮動票がレオリオに一気に流れ、投票率は97.1パーセントを記録。

 初めて95パーセントをクリアした。

 よって、次の第五回選挙は上位十六名による選挙となる。

 この中で私が入れるとしたら……レオリオかな、やっぱ。

 それか、良識派っぽいミザイストム。ちなみに今まではウイングさんに入れていた。

 

 翌日、テラデインとルーペ、ブシドラによる共同声明が発表された。

 主な内容は『清凛隊』の再結成とテラデインへの票の集結、それにイルミ退治。

 アクラツヒドーなショギョーとか、なんとも大げさな表現ウケる。

 まあ確かに悪辣非道ではあるんだけれども。

 一般人大量に巻き込んでるしね。

 キルアとアルカに関しても原作通りに進んでいるようだ。無視無視。

 ゴンが帰ってきた時にでも気が向いたら接触しようかね。

 

 そして第五回の総選挙。

 上位から順にパリストン・テラデイン・チードル・レオリオ・イックションペ・ボトバイ・ミザイストム・モラウによる再選挙が決定した。

 原作と何の変更もない。

 そして、この内テラデインはもうすぐ死ぬ。

 

 一日を開けて、再びの選挙。

 狩りに出ているハンターたちがそのまま棄権となり、投票率でアウト。

 

 さらに一日を開けて、七回目の選挙。

 投票率はかろうじてセーフ。

 上位から順にパリストン・レオリオ・チードル・ミザイストムの四名が次の選挙に残る。

 原作通り、何も変更はない。

 

 そして一日を開けて、第八回の十三代会長総選挙。

 ホールには六百七名の参加が確定しており、投票率はクリアだ。

 立候補者全員の演説を聞いて、そののちに質疑応答のあと投票、といった流れだ。

 候補者の主張演説の前の注意点、今後十三代会長が決定するまで、このホールに残ってもらうとのこと。

 何時間、いや、何日かかろうとも。

 

 

 この日を迎える前日、私に接触してきた男がいた。

 パリストン=ヒル。また来やがったコイツ。

 彼が来た時はお互い一対一。路上での邂逅だった。

 

「前に言いましたよね? ボク、あなたに占ってもらいたいんですよ!」

 

 ……あーやだやだ、関わりたくない。

 嫌いなタイプは占いたくない。全身の毛が逆立つ。

 

「一回十億ジェニーでいかがですか?」

 

「ハイ喜んで!」

 

 私は彼を占うことにした(どーん)

 だ、だってゲレゲレの食費が本気でバカにならなくなってきてるんだもの!

 このままじゃ破産する! もう天空闘技場でもお金もらえないし!

 ゲレゲレの食費に比べたら、占いの収入なんか正直微々たるものだし!

 大事な可愛いゲレゲレに比べたら私のトリハダくらい、なんてことない!!

 

 私たちは近くのカフェに入った。

 タロットで占うためにはテーブルが必要だ。

 まあ公園のベンチとかでもいいんだけど、せっかくなので彼のお誘いにのることにした。

 

「で、占いたいことは何ですか?」

 

「そりゃあもちろん、この選挙の行方ですよ!」

 

 本気じゃないな。彼に結果は見えている。

 知りたいのは……私の占い能力かな。念能力かどうか、どの程度当たるのか。

 お金をもらっているからには私はプロ。知っていることにはお答えしましょう。

 テーブルの上にカードを広げてシャッフルする。

 彼はそれを興味深げに眺めていた。

 

「この中から、一枚引いてください。引いたカードは向きを決めて自分の前においてください」

 

『女教皇』は使わない。能力を使えばそれは即座にパリストンにバレるだろう。

 念能力だけのおかげで占い師として大成したとは思われたくない。

 それは私の、占い師としての、ほんの小さなプライド。

 彼は言われるがまま一枚のカードを引いた。

 そして私の指示でカードを開く。

『恋人達』の逆位置。カードのテーマは『選択』

 

「……何かを選ぶ、それがこのカードが表していることです。恐らくは選挙のことを示しているのだと思います。けれど逆位置で出ている。あなたの予測は甘い。あなたは神じゃない、全てを見通せるわけじゃない。『時間稼ぎ』をおすすめします。予定は予定通りにはいかない、遅れることもあるでしょう」

 

 彼は目を閉じ私の言葉を反芻しているのだろう。

 端正な顔立ちだ、モテるだろうな。私は好きにはなれないけれど。

 

「……わかりました、さすが稀代の占い師ですね。先に予言しておきますが、()()()()()()()()()()()()()。……今のところ、ボク自身が断言できるのは半分だけですが」

 

 彼は立ち上がって伝票を手にする。

 

「支払いはハンター銀行の口座で構いませんね? 今日中に振込しておきます。……また、気が向いたら占ってもらえますか?」

 

「この金額でよければいつでも喜んで」

 

「よかった、最初は断られるかと思って戦々慄々だったんですよ? これはボクの本心です。いやあ、僥倖だったなあ」

 

「帰られる前に一言だけ……お悔やみを、申し上げます」

 

「え?」

 

「……あの会場に居た中で、あなたが一番ネテロ会長の死を悼んでるように見えましたから……私の、気のせいかもしれませんけど」

 

 意表をつかれたような表情で、彼は私をじっと見る。

 今は以前のような嫌な感じはしない。

 ぺこりと頭を下げて、彼は先に店を出た。

 私は残ったオレンジジュースを飲み、この店の人気ナンバーワンらしいクラブハウスサンドをパクつく。

 プロとして、私は彼を占った。それは間違ってない。

 伝えたことも、カードが示した内容及び原作通り。恐らくその通りの展開になるのだろう。

 

 

 そして場面はハンター協会総本部中央ホールへと戻る、いや、進む。

 第八回目の総選挙は、パリストンとレオリオが勝ち残った。

 ゴンは、まだ来ない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。