二十二の使徒   作:海砂

49 / 87
第四十九話

 B・W(ブラックホエール)1号。

 カキン国王と王子たち、それに大量の客を乗せた、一番最初の新大陸への船。

 私たちは、それまで特に何事も無く、その第五層に入船することができた。

 

 旅団員、あらためて全員集合。その中には、イルミも含まれている。

 ゲレゲレは特注のハーネスを着させてリードでつないでいる。

 私たちの会話には特に興味もないみたいで、私の足元でダラダラしているようだ。

 

「イルミ、自己紹介ついでにヒソカの動向予測をしてくれ」

 

「ボクも詳しくは聞いてないよ。鬼ごっこの最中だからね」

 

 一つのテーブルを皆で囲んでいる。

 シャルナークさんとコルトピさんが殺されていないせいか、原作のような殺伐とした雰囲気はない。

 

「ハーイ、ボクはイルミ。ゾルディック家の長男でキルアやカルトはボクの弟。今回ヒソカの依頼で旅団(クモ)に加わった」

 

 ナンバーイレブン、ウボォーギンさんの抜け番。

 ちなみにタロットのナンバーイレブンは『正義(ジャスティス)

 意味はそのまま、正義や正当性。イルミが正義とか、ウケる。

 

「彼とはもちつもたれつだったけど、最後はどちらかがどちらかを殺すと思ってた。今回、それが叶う」

 

 集団が近づいてくる。私を含め全員がそれに気づいている。

 

「彼が依頼した標的(ターゲット)はヒソカ自身。彼が死ねばボクに報酬が入る"婚前契約(エンゲージメントリング)"。彼もボクも本気だ。だから具体的な場所はこの船に乗っているということ以外わからない」

 

 集団を仕切っていると思われる坊主に髭の男が声をかけてくる。

 集団の多数の人間の見える位置に薔薇の刺青が入っているようだ。

 おそらくは私たちの蜘蛛と同じ、所属の表明。

 

「悪いな、ここは貸し切りだ。どいてくれ」

 

「ココはオレたちが使う。お前たちが他へ移れ」

 

「ゲレゲレ、待て」

 

 私は敵意を持った人間に対して威嚇をしようとしたゲレゲレを抑える。

 銃を構える他の人間たちを、中央の男が収めた。

 

「あんたたち、幻影旅団だろ。この業界じゃ有名人だ。ヨークシンでの大暴れでマフィアの勢力図を一変させた」

 

 誰も反応せず、ただし警戒は怠らず、話を聞く。

 

「そのドサクサでオレたちは労せず新大陸の占有権を手に入れた、いわば恩人だな。モメたくないが商売柄なめられる訳にもいかねぇ」

 

 団長さんも、話を聞き続けている。動くことも、手を出すこともせず。

 

「黙ってどいてくれたら悪いようにはしない。この船に乗った理由があるはずだ……協力するぜ」

 

 そこでようやく、全員が席を立ち、団長さんが言葉を発した。

 

「目的は二つ……一つは、ヒソカという人物だ。身長百九十センチ以上の忌まわしい雰囲気を纏っている男。こいつを探してもらいたい」

 

「国王軍の乗客リストをチェックさせよう。オレたちみたいに非正規乗船客もいるから期待はするな」

 

 男は言葉を続ける。

 

「この層を探し回るのは構わんが第三・第四層への出入りはチケットが必要だ。表向きは国王軍への一枚だが実際はすぐ横でマフィアも切符を切ってる。シャ一家(ウチ)に入ればフリーパスだぞ」

 

「随分と親切だな、遠慮しとく。まだそっちの条件を聞いていないが……?」

 

 男は視線を外した。敵意がないことを明確に表している。

 

「言っただろ、どいてくれるだけでいい。『揉め事』は他でやってくれ」

 

「……ついでだしな、いいだろう。もう一つ、第一層に行く方法は?」

 

 今度は明らかに、男が団長さんをにらみつけた。だが彼の手下も私たちも動かない。

 

「調子に乗んじゃねぇ。オレの気が変わらねぇウチに早く消えろ!」

 

 団長さんは苦笑して、私たちに視線を寄越す。彼について、私たちは移動を始めた。

 

 

 

「シッポを出したな」

 

「ん……?」

 

 フィンクスさんの言葉に、団長さんが疑問符の付いた相槌を打つ。

 

「上の層の話で目の色が変わった。かなりデカイお宝(秘密)のニオイがするぜ」

 

「それは先の話だ。害虫が飛んでいたら仕事にも影響が出るだろう。まずは、ヒソカだ」

 

 団長さんは振り返る。

 

情報(カード)は出し合った。後は単独行動以外、何をしても自由だ」

 

 そして、額に巻いた布を取り払う。

 

「パーティーをしたいがケーキが無い。中央にすえる特注品。手に入れたら又集まって、あのテーブルで食事をしよう」

 

 それは、合図。

 ヒソカの首を獲って来い……!!

 

 旅団がばらける。

 団長さんとシズクさんとボノレノフさん。

 イルミとカルトちゃん。

 ノブナガさんとフィンクスさんとフェイタンさん。

 フランクリンさんとシャルナークさんとコルトピさん。

 

「さて、あたしたちも行くかね」

 

 そして、マチさんと私とゲレゲレ。

 

「私なんかとのコンビでいいんですか?」

 

「あんた、自分で思ってるほど弱くはないよ。それが、天空闘技場での録画を見たあたしの感想。行く前にひとつ占ってもらおうかな」

 

 その辺の空いているテーブルを見つけて向かい合わせに座る。

 雑然とした周辺の雰囲気。私たちを気にかける者は誰もいない。

 

「じゃあ、どうぞ、一枚引いてください」

 

 マチさんが引いたカードは、『審判(ジャッジメント)』の正位置。

 

「長くかかった展開に審判が下されます。状況の改善や、最終的な勝利を意味します」

 

「アイツとの腐れ縁が断ち切れるって意味かねえ。だといいんだけど」

 

 カードの絵図では終末のラッパを吹く天使の下で死者が蘇り、イエスのもとで裁きが下される。

 裁きを受けるのは、おそらく蘇りを経たヒソカ。

 裁きを下すのは……私たちのいずれかだといい。

 私が気になるのは、終末のラッパ。終末。何を意味するんだろう。

 考えながら、カードを順番に並べる。そして、しまう。

 

「とりあえず、動こうか。この階層は他の奴らに任せてあたしたちは上を目指そう」

 

 私はその言葉に頷く。

 戒厳令が敷かれる前に上層部、できれば第三層より上に行っておきたい。

 私たちは階段を使って、第五層と第四層の境界へと移動した。

 入り口は二つ。正規の入り口と非正規の入り口。

 私は非正規の方に向かい、札束をひとつ差し出す。

 そしてゲレゲレも含めて無事に、第四層へと行くことができた。




明日以降、オリ展開になります(作者コミックス派のため)
それにともない、更新頻度が今までより少し遅くなると思います。
原作との乖離があったらごめんなさい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。