さかのぼること三か月ほど。
私は気付くと、外に放り出されていた。
知らない場所、東京程度の大都会。
ビルに囲まれて孤独。人に囲まれた孤独よりははるかにましだった。
言葉は通じた。
繁華街の場所を聞いて、徒歩でそこに向かった。
私は何も持たない。ここがどこかもわからない。
地名を聞いたけど、知らない場所だった。
神様がくれた異世界転移、私はそう感じた。特に根拠はない。
まず手に入れるべきは家と金。
元の世界と同じなら、それは繁華街にある。
戸籍がなくとも、寮が付いていて、ある程度の金も稼げる。
子どもに見える東洋人の女はスキモノに高く売れる、店長と名乗った男はそう言っていた。
そう、私は身体を売った。
何故なら他に何も持っていないから。
唯一持っていたのは、心のよりどころにしていた一そろいのタロットカード。
これさえあればいい、だったらもう一つの方を売ればいい。
性的虐待も受けていた私は、ある程度の『知識』は持っている。
客は大きく二種類に分類された。
一つ目は暴力をちらつかせながら乱暴にするタイプ。
こいつらは一番楽だった。痛みさえ我慢すれば対処は簡単だし、限度を超えれば店が守ってくれた。
私はあくまで商品だから。傷付けられれば店はそれを許さない。
二つ目は愛情を持っているように見せかけるタイプ。
私の苦労に共感し、時にはチップをはずみ、仕事を辞めるように説教し、でもやることは結局一緒。
内心で売女を見下しているのが手に取るように分かった。
自分が上に立ちたい、けどそこまでの力を持っていない、そんなタイプ。
私は性欲の発散相手の、そのまたさらに代替品。
情報は少しずつ集まってきた。
客が出張土産をくれた。出張先は『カキン帝国』
聞き覚えのある地名。他にも覚えのある地名はいくつか聞いた。
それらが5を超えたときに確信した。ここはHUNTER×HUNTERの世界であると。
仕事をしているのでもちろん日時も知っている。1999年7月某日。
原作の今、どのあたりかはよく覚えていない。
もうハンター試験は終わったのか、天空闘技場はどのあたりなのか。
ただしこの日付だけは覚えている、1999年9月1日。
ヨークシンでオークションがはじまる、あの日付だ。
私の道は標を得た。
確信した次の日、私は有り金をはたいてヨークシンへと向かった。
ただしひとつ当てが外れた。
漫画を読む限りヨークシンは治安のそれほど良くない街だという認識があった。
漫画に描かれていた部分が主に地下競売だったからかもしれない。
私はここでこれまでと同様に家と金を手に入れるつもりだった。
だがヨークシンは想像以上に治安が良かった。
売春婦ですら全て管理されていたのだ。
国際人民データ機構の国民番号を持たない私は、金も家も手に入れるすべを持たなかった。
よって飢えた。よって家はなかった。
前金であれば身分証なしで入れるネカフェで寝泊まりするだけで精一杯だった。
飲み物で飢えを満たしていた。
話はもう一度さかのぼる。私が最初にいたのはレテアというサヘルタ合衆国にある一都市だ。
ヨークシンシティも同じ国にあったのが幸いした。
移動に身分証明書はいらなかった、ただチケットを買えばよかった。
そしてレテアにいたのはおよそ二か月。
一日に五人~十人ほどの客を取っていた。もちろんゼロの日もあった。
色々と経費で差し引かれた。それでも別に構わなかった。
短期間だったがリピーターもそれなりにいた。
そいつはその中の一人だった。
先ほど語った、大別して二種類の客。彼はそのどちらにも属さなかった。
会ったのは全部で三回。
彼は見た感じ爽やかスマートで、とてもこういった店を利用するような人には見えなかった。
暴力的でもなく。愛を語るでもなく。
彼はただひたすらに、私に『足蹴にしてください』と懇願してきた。
お客様のご要望には全力でお応えするのがエイラ流。
頭から尻から背中から、思う存分蹴飛ばした。喜んでた。意味不明。
そしてそれは三回目の出来事だった。
「僕は……僕はもう! もう! 貴方のものです!! あああああ!」
彼の体が光を放った。そして私に流れ込んだ。
『
手に入れたのが先だった。
後から地名を聞いて確信した。
私が手に入れたのは念能力。
唯一手にした最初の力。
無いのなら、奪えばいい。
これR-15くらいにしといたほうがいいんですかねえ…
基準がよくわからん
追記:具体的描写じゃないけど性描写ではある気がするのでR15タグを追加しました。