二十二の使徒   作:海砂

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第六十五話

 新しい能力を手に入れて、私は再び修行に戻った。

 室内に円を展開しながら水見式。実は結構難しいのだ。

 グラスに集中するオーラと円に割り振るオーラの量の微調整。

 室内を把握できるギリギリのオーラを円に振り分けて、残りは全てグラスにぶつける。

 分離、分離、また分離。葉っぱが次々と千切れゆく。

 室内に異常は見られない。

 まだ厨房付近でバタバタと従事者の人たちがあわただしい。

 警護の人たちも手伝っているようだった。もちろんマチさんやハンゾーも。

 モノが一番多いのが厨房だからな。タマゴとか無事だろうか。

 

 王子も、リョウジとバチャエムも集中している。

 ゲレゲレも落ち着いた。

 ロップは意味もなくふーよふーよと王子の周りをまわっている。

 

 いつもより少し遅れて、王子の夕食が運ばれてきた。

 ひき肉を入れたオムレツに添え物のお野菜。

 パンの代わりに厚焼き玉子を挟んだたまごサンド。

 トマトとタマゴの中華風炒め物にニラ玉。

 やっぱりタマゴ、だいぶ割れちゃったんだろうなあ。

 

 他の王子は基本一人で食事をとるらしいが、フウゲツ王子は王子の希望もあって私たち警護の者も一緒に食事をとらせていただく。

 私たちのメニューももちろんタマゴ祭りだ。

 ゲレゲレは私たちと同じひき肉オムレツのお肉多め。

 元々ゲレゲレは溜め食いができるので一日三食食べなくてもいいんだけど。

 ここでは一回の量を少なめにして一緒に食べるようにしてもらっている。特に意味はない。

 

 腹八分目。念能力者に満腹はよろしくない。

 満腹すると無意識に胃袋の消化にオーラを振り分けてしまい、本領が発揮できないのだ。

 多分念能力者じゃなくてもそうだと思うんだけど。

 胃袋重たい状態で戦うのは無理筋よね。

 そして再びそれぞれの修行に戻る。

 

 私は『愚者』で、一人一人の位置を確認する。

 一気にできれば便利なんだけど、一人ずつしか無理なんだよなあ、これが。

 単に地図上が光って見えるだけだから、複数人だと光がたくさん見えるだけで意味不明。

 なので一度に一人だけなのだろう。

 旅団とヒソカはさっき調べたので除外して。

 

 このフロアで私が『愚者』を使えるのは1011号室を除くと1010号室のセンリツとキーニ、それに1014号室のクラピカとサカタ、そしてイルミ。

 それと第十四(ワブル)王子を除く各王子と国王。

 1010号室と1014号室は特に変わらない。それぞれに自室から動いていない。

 イルミは一つ上のフロア、上位王子たちのフロアをウロウロしている。

 やはりターゲットは第一(ベンジャミン)王子なんだろうか?

 上のフロアには第一から第六までの王子の部屋がある。

 私たちが今いるフロアには第七以降の王子の居室だ。

 王子たちはそれぞれの部屋に居る、モモゼ王子を除いて。

 モモゼ王子の居場所はわからない。

 おそらくそれは、この能力の限界値または制約。死者の居場所はわからない。

 国王も基本的に一番上の階層の同じあたりから動いていない。

 恐らくその周辺が居間や寝室なのだろう。

 

 第二層にはパリストンとジン。多分一緒に居るっぽい。

 第三層政治特区にはボトバイ、クックル、ピヨン、サイユウ。

 ほんの少し離れた位置にギンタとサッチョウ、そしてビヨンド。

 これはおそらくビヨンドの拘束室。

 第三層医科学特区にチードルとゲル、そしてレオリオ。

 第四層にミザイストム、第五層にカンザイ。

 この二人は国王軍とともに行動しているのだと思われる。

 カンザイが第五層まで行っているということは、下層の警備兵を増員出来たのかな、多分。

 これで抗争はおさまってくれればいいんだけど。ムリダロネ。

 旅団とエイ=イ一家をぶつける気満々だったもんな、原作で。

 

 エイ=イ一家の念能力者、組長を除いても最低二十三人、ちょっと多すぎる。

 喧嘩を売られりゃ買うのが旅団。ぶつかれば火花は散るだろう。

 そして旅団の半分以上が第三層に集中している。

 私のメールでみんな政治特区に向かってるにしても、その道中で激突する可能性もある。

 さっきの揺れはそれだったのかもな、わかんないけど。

 第二層と第三層の間はすでに行き来が出来なくなっていると思う。

(軍隊ぶっ潰せる旅団ならやろうと思えば移動できると思うけど)

 第二層の情報がもう少し欲しいな。パリストンに探り入れてみるか。無理か。

 パリストンにもジンにも頭脳で敵う気がしない。明確な実力差。

 もちろん力でも敵わない。戦ったことないけど、多分。

 

 国王軍がどこまで機能するかによっても違ってくる。

 各一家はそれぞれに金の匂いを嗅がせてるだろうし、私たちもそうやって第三層までたどり着いた。

 十二支ん直下の国王軍上層部及び王子たちの私設軍隊以外は烏合の衆と見ていいと思う。

 そういや私のゲットした部屋はどうなったのかな?

 鍵はかけてないからきっと勝手に中を捜索してくれているだろう。

 王子の能力で、怪しいものは何も残らない。

 念能力の痕跡を探知する能力とかがあれば話は別だけど。

 

 

 時刻が午後から午前に変わった。魔法の抜け道(マジックワーム)のお時間だ。

 マチさんが居間に入ってくる。

 

「王子」

 

「はい、今日はどこに繋げばいいでしょうか」

 

 船内であれば恐らくはどこにでも行ける。第五層でも、第二層であっても。

 けれど王子を伴わなくてはならないので危険は冒せない。

 一度第三層に戻って旅団メンバーと合流するか……第三層の面子が王子の護衛なんか引き受けるわけがない。

 合流するなら第五層の方だ。とはいえそっちも護衛? 何で? ってなる、絶対。

 OK、合流は無し。

 1014号室に行ってクラピカに能力を見せておくか?

 危険、あそこにはサカタとハシトウ、あとスラッカがいる。

 出口の繋がる場所によっては第三(チョウライ)王子や上位王妃に情報が筒抜けになってしまう。

 第四層に行く意味はない。第二層は情報がなさすぎる。

 1010号室に行くか? それもあまりよろしくない。

 他の上位王妃の所属兵が直接護衛についている場合があるからね。

 この間みたいに私が先頭に立って行くという手もあるけれど、すでに情報交換を終えた今、特に行く意味はない。

 モモゼ王子の遺体の場所がわかれば、あの部屋にトンネルを繋いでもらうんだけど。

 それも無理。

 

 結局、誰もいないはずの第三層の私たちの部屋に繋いでもらうことになった。

 そして少しずつ調べる。

 まずは、王子が一切トンネルに触れることもせずに私たちだけでトンネルを抜けることができるのか。

 私、マチさん、ゲレゲレの順にトンネルを通り、私たちの部屋へと到着する。

 私がトンネルを抜ける、マチさんがトンネルを抜ける。

 ゲレゲレにはトンネル内での待機を命令した。

 万が一トンネルが消えちゃったら困るからね。

 そして無事に部屋に出ることができた。

 出してさえしまえば王子が直接魔法の抜け道(マジックワーム)に関わらずとも他者のみで通り抜けは有効。

 Uターンして王子の部屋に戻る。

 その途中で、壁に硬のパンチをぶつけてみたけどびくともしない。

 ヨコヌキも無理。

 ゲレゲレとマチさんが出て、私が出るとトンネルは消えた。

 王子が使用せずとも、誰かがトンネルを使用するとそれが一回とみなされる。

 念のためにもう一度王子に私たちの部屋へ繋ぐよう念じてもらう。出入口は出ない。

 一度は一度。

 

 疲労困憊の王子にはお休みいただく。

 ゲレゲレだけを寝室に残し、居間へと移動する。

 マチさんには休憩に戻ってもらった。

 私はリョウジとバチャエムの横に座って、修行の続き。

 修行以外に出来ること、何かないかしら。そんなことを考えながら水見式。

 今日の夜は晩餐会。王子たちの立ち位置に変化は現れてるのだろうか?

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