二十二の使徒   作:海砂

87 / 87
おまけ(ネタバレ注意)

 目覚めるとそこは知らない部屋だった。

 三層にいたときの部屋に少し近い、ホテルのような部屋に二段ベッドと机と椅子。

 

「ああ、目が覚めましたか、エイラさん」

 

 ノックとともに扉が開き、入ってきた男がそう言った。

 私は彼を知らない。……直接は。

 前の世界で漫画で見て知っている。名前は知らない。

 たしかエイ=イ一家のメンバーの一人。

 

「……ここは?」

 

 尋ねると、彼は眉根にしわを寄せる。

 

「……本当に覚えていないんですね、モレナさんから聞いてはいましたが」

 

 聞き捨てならない人名が出てくる。おそらくはモレナ=ブルード。

 エイ=イ一家で確定。しかしなぜ私がここにいる?

 私は一層の、フウゲツ王子の居室にある警護人控室で眠っていたはずなのだが。

 

守備隊(ガード)のシフト交代の予定でしたが、先に自分の所へ来るようにとモレナさんが呼んでいます。戻るまで私が引き続き残っておりますのでご安心を」

 

 ご安心をと言われても、何が何だか全くわからない。

 とりあえず身の危険はないようなので、言われたとおりにモレナに会いに行くことにしよう。

 私はモレナを見たことがない。会うことができれば『愚者』の影響下に置くことができる。

 

 

 

「来たわね、エイラ。どこまで覚えてる?」

 

 部屋には他に人はいない。私とモレナだけだ。

 モレナは大きなテーブルの向こう側に座っている。

 高そうなゲーミングチェア。あれ私も欲しいな。

 

 勧められてテーブルのこちら側においてあるソファに座った。

 

 

 眩暈がして、記憶が滲む。

 

 

 私はこのソファに座ったことがある。

 いつ? なぜ? 

 

……カードゲーム?

 

 私が混乱している間、モレナは黙って私を見つめていた。

 

 

 私はこのソファに座って、モレナとシンプルなカードゲームをした。

 シンプルだけれど、命を賭けたゲーム。

 そしてそのゲームに勝った私は、モレナの仲間になることを選んだ。

 

 

 この記憶はどこから来た?

 フウゲツ王子の警護をしていたのと同じくらいの鮮明さで、私の記憶の中にその情景が浮かぶ。

 私は幻影旅団に出会うこともハンターになることもなく、このブラック=ホエール号の三層に滞在していた。

 食事をとるためにフードコートに向かった時、犬のマスクをかぶった男とすれ違った。

 否、すれ違う前に意識を失って、気づいたらここにいた。

 そしてモレナとのカードゲームだ。

 この記憶はどこから来た?

 どちらが本当の記憶だ?

 

 あるいは……()()()()()()()()()か。

 

 

 幻影旅団に出会ったのも、ゲレゲレに出会ったのも、夢。

 それとも、()()()()

 

 この世界にもう一人私が存在するのならば、きっと一層でフウゲツ王子の警護をしているのだろう。

 けれど今の私は、彼らに出会うことなくこの場所に居る。

 私にとても良く似ていると思った、モレナの元に。

 

 さあ、世界を滅ぼそう。

 モレナと一緒ならば其れが叶うかもしれない。

 私はすでに念能力を身に着けている。

 ゲームを経て感染はしたものの、すでに念能力者である私にはレベルアップの概念は特に意味をなさない。

 

「……大体は、思い出せたと思います」

 

「そう、それはよかったわ。すでに能力が決定されていたとはいえ、あなたの念も私たちにとって大きな力となり得るものね」

 

「無駄に仲間の枠をひとつ消費してしまってごめんなさい」

 

「いいのよ、あなたも私たちの()()なんだから」

 

 失った仮初の仲間と、手に入れた多くの仲間。

 私たちは皆で力を合わせて世界を壊す。

 そうして全てを失った世界で、最期に互いの首を絞め上げよう。




モレナ書いてみたかったんや……
あくまでオマケです、続きは書きません

モレナかわいいよモレナ
ボークかわいいよボーク
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

毎日ひたすら纏と練(作者:風馬)(原作:HUNTER×HUNTER)

ハンターハンターの世界に生まれ変わったみたいなので念の系統を調べてみたら強化系!だったら強くなるのに必要なのは纏と練!寧ろそれ以外になにが要る?▼単純一途(バカ)な女の子が行くハンターライフ▼※アンチ・ヘイトは念のため▼タグは進行に合わせて増やして行きます。自分でもどこに跳ぶのか判らないのでww


総合評価:18418/評価:8.01/連載:93話/更新日時:2026年05月02日(土) 00:00 小説情報

アホみたいなオーラ量に対して、貧弱すぎる出力でどうしろと?(作者:村ショウ)(原作:HUNTER×HUNTER)

転生先はHUNTER×HUNTER。▼特典は「オーラ量メガ盛り」。▼勝ったな、と思ったら増えてたのは総量だけだった。▼潜在オーラ量は化け物級。▼でも顕在オーラ量はしょぼい。▼要するに、巨大なバッテリーを抱えてるのに出力が足りない。▼なので、真正面から最強を目指すのはやめた。▼蓄える、支援する、情報を集める、必要な時だけ倍率をかける。▼そんな感じで念能力をシス…


総合評価:9488/評価:7.77/連載:13話/更新日時:2026年05月12日(火) 22:32 小説情報

役立たずの三輪(作者:メカ丸ゥゥゥウウウ!)(原作:呪術廻戦)

最強の術師は誰か?▼ある生徒は現代最強の五条悟を挙げ、ある従者は呪いの王両面宿儺を挙げる。そして羂索は一人の男の名前を挙げた。▼蘆屋貞綱。それは羂索の子であり、シン陰流開祖。そして、宿儺を知る羂索をもってしても最強と断言する術師である。▼新宿において最強による三つ巴。生き残るはただ一人。最強は新宿で何を見るのか?▼「大好きな人がいるんだ」▼その声に反応して、…


総合評価:2916/評価:8.02/連載:39話/更新日時:2026年03月31日(火) 18:00 小説情報

ようこそ暗殺者の卵がいる教室へ(作者:塩安)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

暗殺教室の潮田渚スペックのオリ主が、よう実世界を好き勝手に楽しむ話▼アンチ・ヘイトは念の為


総合評価:4891/評価:8.66/連載:16話/更新日時:2026年05月16日(土) 18:00 小説情報

落ちてきた地球外高度知的生命体とヒーローやることになった件について(作者:緑茶山)(原作:MARVEL)

多重転生し多数の前世の記憶を持つ高村優李の元に、ある日空から地球外高度知的生命体が落ちてきた。見るからに小さなシロクマの形だが、姿が似ているだけで別物らしい。▼そのシロクマによってマジカルパワーを得た優李は、魔法少女になる……ことは無かったが、なんやかんやでアベンジャーズの仲間入りを果たすことになる。▼真面目だったり不真面目だったり、わりかしシリアスにお送り…


総合評価:7339/評価:8.83/連載:95話/更新日時:2026年05月16日(土) 20:42 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>