二十二の使徒   作:海砂

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おまけ(ネタバレ注意)

 目覚めるとそこは知らない部屋だった。

 三層にいたときの部屋に少し近い、ホテルのような部屋に二段ベッドと机と椅子。

 

「ああ、目が覚めましたか、エイラさん」

 

 ノックとともに扉が開き、入ってきた男がそう言った。

 私は彼を知らない。……直接は。

 前の世界で漫画で見て知っている。名前は知らない。

 たしかエイ=イ一家のメンバーの一人。

 

「……ここは?」

 

 尋ねると、彼は眉根にしわを寄せる。

 

「……本当に覚えていないんですね、モレナさんから聞いてはいましたが」

 

 聞き捨てならない人名が出てくる。おそらくはモレナ=ブルード。

 エイ=イ一家で確定。しかしなぜ私がここにいる?

 私は一層の、フウゲツ王子の居室にある警護人控室で眠っていたはずなのだが。

 

「守備隊(ガード)のシフト交代の予定でしたが、先に自分の所へ来るようにとモレナさんが呼んでいます。戻るまで私が引き続き残っておりますのでご安心を」

 

 ご安心をと言われても、何が何だか全くわからない。

 とりあえず身の危険はないようなので、言われたとおりにモレナに会いに行くことにしよう。

 私はモレナを見たことがない。会うことができれば『愚者』の影響下に置くことができる。

 

 

 

「来たわね、エイラ。どこまで覚えてる?」

 

 部屋には他に人はいない。私とモレナだけだ。

 モレナは大きなテーブルの向こう側に座っている。

 高そうなゲーミングチェア。あれ私も欲しいな。

 

 勧められてテーブルのこちら側においてあるソファに座った。

 

 

 眩暈がして、記憶が滲む。

 

 

 私はこのソファに座ったことがある。

 いつ? なぜ? 

 

……カードゲーム?

 

 私が混乱している間、モレナは黙って私を見つめていた。

 

 

 私はこのソファに座って、モレナとシンプルなカードゲームをした。

 シンプルだけれど、命を賭けたゲーム。

 そしてそのゲームに勝った私は、モレナの仲間になることを選んだ。

 

 

 この記憶はどこから来た?

 フウゲツ王子の警護をしていたのと同じくらいの鮮明さで、私の記憶の中にその情景が浮かぶ。

 私は幻影旅団に出会うこともハンターになることもなく、このブラック=ホエール号の三層に滞在していた。

 食事をとるためにフードコートに向かった時、犬のマスクをかぶった男とすれ違った。

 否、すれ違う前に意識を失って、気づいたらここにいた。

 そしてモレナとのカードゲームだ。

 この記憶はどこから来た?

 どちらが本当の記憶だ?

 

 あるいは……ど(・)ち(・)ら(・)も(・)本(・)当(・)の(・)記(・)憶(・)か。

 

 

 幻影旅団に出会ったのも、ゲレゲレに出会ったのも、夢。

 それとも、前(・)の(・)世(・)界(・)。

 

 この世界にもう一人私が存在するのならば、きっと一層でフウゲツ王子の警護をしているのだろう。

 けれど今の私は、彼らに出会うことなくこの場所に居る。

 私にとても良く似ていると思った、モレナの元に。

 

 さあ、世界を滅ぼそう。

 モレナと一緒ならば其れが叶うかもしれない。

 私はすでに念能力を身に着けている。

 ゲームを経て感染はしたものの、すでに念能力者である私にはレベルアップの概念は特に意味をなさない。

 

「……大体は、思い出せたと思います」

 

「そう、それはよかったわ。すでに能力が決定されていたとはいえ、あなたの念も私たちにとって大きな力となり得るものね」

 

「無駄に仲間の枠をひとつ消費してしまってごめんなさい」

 

「いいのよ、あなたも私たちの仲(・)間(・)なんだから」

 

 失った仮初の仲間と、手に入れた多くの仲間。

 私たちは皆で力を合わせて世界を壊す。

 そうして全てを失った世界で、最期に互いの首を絞め上げよう。




モレナ書いてみたかったんや……
あくまでオマケです、続きは書きません

モレナかわいいよモレナ
ボークかわいいよボーク
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