「あははは……!!」
砂浜は、闇夜に覆われていた。
流れ星が駆け、空が白み始める。半月が西へ、まだ薄闇をまとった空へと傾き始めた。
まなつたちは笑っていた。
廻り続けるこの世界で、今ここに、確かに、中心を宿していた。
「いつまでやってんのよ」
ローラが言った。
まなつは起き上がる。解かれた髪を揺らせて、去り行く影へと笑顔を振りまいていく。波風に揺れるパジャマ、彼女たちの涼しげな制服。行方不明の少女がいなくなった時と、同じまま。
まだら雲。太陽が昇って、陽光を遮る。どこまでも続いていく、どこまでも広がっていく、彼女たちの朝。
まなつは駆けていく。
いま、この瞬間を忘れないために。
はるか過去まで。また未来まで。ずっとずっと彼方まで、その果てまで、届いてくれるように。
温かな光。立ちのぼる朝日が、果てのない海を渡って、この街へと優しく降り注いでいく。
「いつぶりだろう、こんなに遊んだの」
あすかが言った。温かく髪がなびく。陰影と陽光の狭間で揺れる瞳。
「あたたかい」
さんごが呟いた。どこまでも満ちていく。広がっていく、黄金色の大地、海。
「夜明け、だね」
「くるるん」
雲が湧き立った。みのりの眼鏡に、のんびりと微笑むくるるんが映った。
瓶が消えていった。誰かとの想い出を、ひとりだった夜を懐かしむように、舞い上がっていった。
「あははは……!!!」
太陽のようだった。
陽光に輝く一瞬が。
その連なりが。
そのきらめきを閉じて、香る。
瞬く。
かけがえのない時が流れていた。
おいていかれた言葉が。追いついていく意識が。
たしかに、いまここに、豊かな像を結んでいた。
――――――――
彼女たちは笑っていた。
それが、いつか終わるものだとしても。
別れる未来へ、また集まっていくことになるのだとしても。
いまはそんなこと、どうでもよかった。
彼女たちは、こうして笑っていた。
「――雨」
歌のようだった。
ぽっ
波のように落ちていく。
満ちていく。
鏡のようだった。
笑っている誰かが、遊んでいる誰かが、確かにいた。
誰かが、泣いているようだった。
降り注ぐ雫が、陽光を弾いて遊んだ。澄んだ余白に、涙のような虹が浮かぶ。
歌のようだった。
そこにある全てのものが、目まぐるしいほどの鼓動と、静寂に満ちていた。
まなつは笑っていった。
空が透き通る。新しい朝に、熱い風が吹き抜けていく。
どこまでも広がる空に。
大地に。
大海原に。
灯りのようだった。
彼女たちの朝は、紐解かれるように、あなたの中心へ、はじっこへと、瞬いていた。
まなつは笑っていった。
まだ知らない世界へと。
その先に広がる未来へ、彼女たちの前に、果てしなく広がる青い青い海へと。
踊るように。
祈るように。
この限りない余白に、精いっぱいの生命を輝かせながら。
(はばたけ!みんなと永遠のオーロ島・おしまい!)
お読みいただき、ありがとうございました。
感謝。
もうその類の言葉でしか表現できない何か、気持ちがあります。
『あとがき』を活動報告のページでさせていただいています。
お時間のある方は、ふらっとお立ち寄りいただければ嬉しいです。
みなさまも、これからもプリキュアたちのように真っ直ぐ、元気でいてください。
ありがとうございました。
新しい旅立ちの日に、また変わらない笑顔でお会いしましょう。
(2026.9.20 ホンバラ)
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(あとがき.『ことばとこれから』)