『大いなる封印』がなされるまさにその日に影時間に適応した   作:リデルJr.

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光と闇が合わさったら最強ってはっきりわかんだね

 生と死、あるいは光と闇が合わさって最強に見えるはずの少年には、見た目的には殆ど変化はない。

 青い髪と水色の目が、より深く暗い蒼に変化しただけだ。

 しかし感じるのだ。

 あの少年から、かのニュクスと同一の、もしくはそれ以上に濃密な「死の気配」を。

 

 不幸にも偶然の事故を起こしてしまった結城理は歯噛みした様子を見せるも、その心は冷静そのものであった。

 これまでの経験がそうさせるのか、はたまた生来のものなのかは不明だが、その姿勢は称賛に値するものだ。

 内心では、(イゴールのクソジジイめ、嘘吐きやがって!)とか、(なぁにが、もはや何事の実現も、貴方にとっては奇跡ではないだ。今まさにミラクル起こってんじゃねえか!)などと、どんなに毒づいていても表に出していないからセーフなのだ。

 まあ実際はそんなことは考えていないのだが。

 

 結城理は少年の様子を窺う。

 

「おぉ……。無限に力が湧いてくる……。気がする」

 

 少年はそう呟くや否や、結城理に問いかける。

 

「なあ、今の俺。最強に見える?」

 

 バカヤロウ。

 

「君は一体、何者なの?」

 

 結城理は少年を見極めるために、問い返した。

 

「質問を質問で返すな!」

 

 少年は怒鳴った。

 途中で走るのを諦めたばかりに、セリヌンティウスが処刑されることになったメロスの100倍怒り狂った。

 それでも少年は前世の記憶の分結城理より大人なので質問にはキチンと答えた。

 

「私以外私じゃないの、当たり前だけどね」

 

 ダメだこりゃ、だっふんだぁ。

 

 結城理は眉を顰め、少年を睨み付けるように警戒する。

 言葉が通じない相手に対する極めて一般的な対応である。

 そのまま場は動かず、暫しの間停滞することとなった。

 

 

 

 ───────────

 

 

 

 一方で少年がなにを考えていたのかといえば。

 端的に言えば、自身の新たなチートをどのように扱うか決めかねていたのである。

 

 前世の記憶を頼りにするならば、闇と光の力を合わせれば大抵は虚無に至ることから、『全てを無に帰す(ダークスパーク)』/『なかったことにする(大嘘憑き)』という、最早概念がガバガバでバグみたいなチートの使い方しか思い付かなかったのである。

 

 しかしそれでは霧雨魔理沙の下位互換、少年が男である分さらに評価は厳しく超劣化版にしかならない。

 それに『格好を付ける(球磨川禊)』にしては勝ち過ぎていて厚みがない。

 

 なので少年は考えた。

 

(おいおい、俺はチートオリ主だぜ? もっとカッコよく、もっと強くなれるはずだ。 そうだろう、セフィロス……!)

 

 少年はサー=ヴァル暗黒卿でもましてやセフィロスでもないが、確かにその通りである。

 人間には無限の可能性があるって爺っちゃんも言ってたから、正鵠を射ている。

 

 そこで少年は思い付いた。

 元々の自分のチートを根本に置いて考えれば良いのだと。

 

 回復チートは、全てを癒し、死すらも覆し蘇生を果たす力である。

 つまりその真髄とは、例え全てが消え失せていたとしても、はたまた最初から何も無かったとしても、「あったことにする」ということだ。

 逆にあの卵の即死チートは、全てを破壊し、殺し尽くす力である。

 つまりその真髄とは、例え全てが存在していたとしても、はたまた最初から凡ゆるもの総てが有ったとしても、「なかったことにする」ということだ。

 

 この段階で少年のランクアップしたチートは方向性を定めた。

 すなわち【因果逆転】である。

 格好良く「アクセラレータ」とでも名付けてみようか。

 それとも「千葉の兄貴」とでも名付けようか。

 それかいっそ魔槍の名前である「ゲイ・ボルグ」にしようか。

 残念、どれもハズレである。

 このチートの正式名称は少年の名前である「有里湊」と1万年と2000年前から決まっているのだ。

 

 

 

 ───────────

 

 

 

 一向に行動を起こさない少年とそれを監視し続ける原作主人公のBLチックな雰囲気は突如として消え去った。

 身動ぎ一つしなかった少年が遂に動き始めたからだ。

 

 回復チート砲を打ち出した時とは異なり、デスボールの構えを取った。

 しかし徐々に頭上に集まるエネルギーは、黒よりも昏き暗闇の破滅を象徴する純然たる死のエネルギーだったのだ。

 死の塊は徐々に巨大化していき、遂にはプリズム無しの卵と同じぐらいの大きさになった。

 

 目を見開いた原作主人公が行動を起こす前には既に少年が動き終えていた。

 

「デスボール、キエィッ!」

 

 宙に打ち出されたデスボールは徐々に形を変えてニュクス・アバターの形を取り、更にエネルギーの密度が増すように縮小していき、1人の青年の姿が現れた。

 

 その青年を見た原作主人公は目を思い切り見開き、一方で青年は頬を掻き恥ずかしそうにしていた。

 

「綾時……」

 

「……やあ、ただいま」

 

 原作主人公と望月綾時は望外の再会に喜び、仲直りをしそうだ! 

 

えぇぇふ(ふぇぇえ)おおよたれかちんゃちれおうも(もう俺ちゃんちかれたよおお)……。ぇぇぇてしやいかれだ(誰か癒してぇぇぇ)……」

 

 水を刺したのは勿論少年である。

「ブレない・折れない・曲がらない」をモットーにしている少年らしいといえば少年らしい。

 ん? モットーが変わってるだって? 否定形三拍子が揃ってるんだったらだいたい一緒でしょ。

 

 因みに少年が行ったことはといえば、【因果逆転】チートの試用である。

 未だこの闇の空間にも死のエネルギーの残滓が漂流して『あったことにし』て、吸収したニュクス(ニュクス・アバター)の意識は自分の内側には『なかったことにする』。

 そしてその残滓に倍プッシュとばかりに自身が持つ死のエネルギーをぶち込み、次いでとばかりに回復チートで読み取った、「死の母星」の代弁者たるニュクス・アバターとしてではなく、「いち男子高校生」の望月綾時としての意識の核もぶち込んで出来上がったのが、「新生・望月綾時(復活したトモダチ)」な訳である。

 

 ここまでくると最早少年を神域の魔術師と呼んでも良いかもの知れない。

 誰も少年の為したことの凄さの片鱗すらも知らないが。

 

 なぜなら、原作主人公目線では急に動き出した少年が濃密な死のエネルギーの塊で攻撃して来ると思ったら、かつての友人がそれを乗っ取って復活を果たしたように思えたからだ。

 よく漫画などで見かける「死んだ仲間が助けてくれた」&「ご都合主義でその仲間が生き返った」というヤツである。

『自分にとってはどのような出来事も奇跡ではない』という「宇宙」のアルカナが起こした偶然のような必然をもう一度体験したように感じたわけだ。

 

 一方で望月綾時目線としては、既にニュクスとしての超越者的な感覚が消失し一般人とほぼ同じ感性を持つようになったため、少年が為したことを理解できなかったのである。

 

 そんな訳で実際に目撃した2人が理解できないならば見てない人はもっと理解できず、もしかしたら精神と物質の狭間に居るイゴールがワンチャン気付いたかもしれないぐらいの奇跡を、少年は単身で実現したのである。




先に書いておきますと、この小説は勘違い物かも知れないです。
という作者の勘違いかもしれませんが。
プロットとかストックとか無いので気分で方向性が変わります。

無に帰す系の能力といえばというか何というか。
輝針城の針妙丸ちゃんノーマルなのに強すぎ問題と、裸エプロン先輩普通に強キャラ問題。
魔理沙ちゃんのスペ無かったら積んでた自信ありますし、禊くんちゃんは素で顔可愛いし。
学園都市最弱のレベル0(詐称)もそういえば無効化だし。

闇と光が合わさって最強に見える人は?

  • ウルトラマンジード
  • 霧雨魔理沙
  • 謎のヒロインX(アルトリア顔)
  • まさか俺以外にもそんなヤツが居たのか⁉︎

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