ソードアート・オンライン Youth in Aincrad   作:ユーカリの木

44 / 59
第七章
かくして役者は揃い、最終劇の幕が開く 1


 俺たちはあの日、予想もしない出来事に遭遇した。

 

 誰もが目を疑い、耳を疑い、あらゆるすべてに困惑を抱いた。

 

 ただひとつ確実に言えることは、俺たちは百層すべてを攻略しなければならない。

 

 それだけは徹頭徹尾、最初からなにひとつ変わっていない。

 

 

 

 第七十五層迷宮区、フロアボス部屋。

 

 全員が精魂尽き果てた様子で床に尻をついている。かくいう俺も同じ有様で、隣で荒い息を吐くサキの肩を抱きながら、酷い脱力感に襲われていた。

 

 第三クォーターポイントフロアボス、スカルリーパー――骸骨の狩り手。

 

 無数の脚をうごめかせる骨の百足たるフロアボスとの戦闘は、まさに五十層の邪龍フイヤン・ロンすら越える悪夢だった。

 

 まず結晶が使えない。転移結晶の離脱も使えず、瞬間回復も不可。POTによるゆるやかな回復しか許されない、結晶無効化エリア。

 

 開始早々、凶悪な鎌による一撃で三人が殺された。そこからはもう、死屍累々の地獄絵図が展開されていった。ヒースクリフとクライン両名による、スカルリーパーの大鎌を防御。その間、その他全員による一斉攻撃を永遠とも呼べる時間を続け、ようやくつい先ほど悪夢の敵を打倒したのだ。

 

 犠牲者は十名。すべてがみな、最前線を踏破する歴戦の勇士達だ。それが十名死んだ。これを多いと憤れば良いのか、少なかったと安堵すれば良いのか分からない。

 

 まじで死ぬかと思った。ホントマジで。

 

 ふぇぇぇ、おうち帰りたいよぉぉ。

 

 そんなことを脳内で言って無いと気絶しそうなくらい俺も消耗していた。サキはいまにも気を失いそうで、俺の肩に頭を預けている。ほんと、ふたり生き残れてよかった。見渡せば、俺たちの仲間も皆生きている。

 

 特に今回はクラインの活躍がすごかった。《抜刀術》であの大鎌をすべて捌ききりやがった。もうリアル抜刀斎だ。ヒースクリフの《神聖剣》の防御能力も凄まじいの一言だ。一体ユニークスキルってなんなの? 全部バランスブレイカーじゃねえか。茅場の野郎、ゲームバランスの調整能力ねえの?

 

 そのとき、近くにいたキリトの雰囲気に険が灯った。それは僅かな疑惑と、確かな直感を基に生み出したような殺気。

 

 一条の光が走った。

 

 キリトがヒースクリフへ向けて突きを放ったのだ。即座にヒースクリフが盾を構えるも、それを読んでいたキリトによって剣の軌道が鋭角に変化する。盾の縁を掠め、キリトの黒剣がヒースクリフの胸に突き立つ。

 

 紫の閃光と共に、決して現れるはずの無いシステムメッセージが表示される。

 

 ――Immortal Object

 

 即ち、システム的不死。

 

 さすがに俺も驚愕した。誰もがみな目を疑った。誰もが動きを止め、息を止め、眼前の出来事に言葉を失った。

 

 そのしじまを切り裂くように、キリトが口を開く。

 

「これがあんたの伝説の正体か。不死属性を持つプレイヤーなんて、ゲーム管理者以外に考えられない。ただ一人を除いて」

 

 キリトが言葉を切る。全員がキリトへ注目する。

 

「ヒースクリフ。あんたがそうなんだろ?」

 

 ――茅場晶彦。

 

 再び静寂が場を支配する。俺も、いや、大人達ですら到達し得なかった真理に、元中学生であったキリトの手がそれに触れた。呆れるくらいの洞察力だ。

 

 ヒースクリフは無表情のまま、じっとキリトを見つめていた。誰もかもが瞠目する。驚嘆する。信じられなどしない。

 

 攻略組を率いていたのはディアベルとクライン。しかしその実、指揮を取っていたのは血盟騎士団団長たるヒースクリフ。その彼がこの、この悪夢のゲームの幕を開けた茅場晶彦だったというのだから。

 

 ヒースクリフがちらりと俺を見て、視線をキリトへ戻す。

 

「まさか君が気づくとはね。私の予想では、気づくとすればハチマン君かと思ったんだが」

 

 おいおい、よく分からんねえ事情に俺を巻き込むな。俺は文系が超得意で文章の行間まで読んじゃう男だが、そんなことまで頭を回す余裕はなかったんだよ。三ヶ月近いブランク舐めんなよ!

 

「ハチからは大切なことを教わった。いついかなるときでも思考することがいかに大事かってな。だから俺はずっと考えていた。HPバーがイエローにならない伝説のからくり、そして何より、茅場晶彦が一体どこから俺たちを眺めているのか。そうしてたどり着いた結果が、あんただ」

 

 キリトが黒剣をヒースクリフへと向ける。

 

 それを合図に、全員が立ち上がり得物を構える。いままさに、すべてを終わらせられる存在がここにいる。ならば、こいつを倒せば、この夢の狭間に俺たちを追いやった茅場晶彦を倒せば、現実に還ることができる。

 

 だが、全員が動き出すよりも、ヒースクリフの手の閃きの方が遥かに速かった。左手を振り、出現したウインドウを操作したかと思うと、全員の身体が言うことを利かなくなったように停止しする。条件反射でHPバーを確認すると、グリーンの枠が点滅している。

 

 ――麻痺状態。

 

 キリトを除く全員がその場に膝を付く。地面に崩れたアスナの元に駆けつけたキリトが、睨みつけるように茅場へ視線を注ぐ。

 

「……この場で全員殺して隠蔽する気か?」

 

「まさか、そんな理不尽なことはしないさ」

 

 紅衣の男は微笑を浮かべ、首を左右に振る。そんな結末はつまらないとでも言うように。

 

「仕方ない。私は最上層の《紅玉宮》にて君たちを待つことにするよ。すべては九十層以上の強力なモンスター軍に対向し得る力とし育ててきた血盟騎士団、そして君たち攻略組プレイヤー諸君をここで放り出してしまうのは、誠に遺憾ではあるがね。なに、心配することはない。君たちならば辿り着けるだろうさ」

 

 他人事のように言った茅場が、その双眸でキリトを見据えた。右の剣を黒曜石の床へと付き立て、澄んだ音を響かせる。終末を告げる喇叭のように。

 

「さて、キリト君。君には選択権を与えよう。私の正体を暴いたせめてもの報酬としよう。このまま私と一対一で戦い、勝利すればゲームクリア。当然不死属性は解除しよう。どうかな?」

 

 その言葉を訊いた途端、アスナが、そして俺が声を絞り出す。

 

「だめよキリト君……! あなたを、排除する気よ……」

 

「引け、キリト……! そんな一か八かの博打を受けるな。お前には、俺たちがいる……! 俺が、俺たちが、意地でも現実に連れ戻してやる……。だから、剣を引いてくれ……!」

 

 そうだ、引け。いまは引くんだキリト! こんな奴の言うことを真に受けるな!

 

 だが、キリトの双眸に憤怒の光が灯る。

 

 やめろ。やめてくれ!

 

「ふざけるな……」

 

 かすかなキリトの呟き。

 

 あいつはいま、心に煮えたぎる怒りのマグマを噴火させようとしている。全身から怒気が揺らめいている。

 

 待て、待て、頼むから待ってくれ!

 

「いいだろう。決着をつけよう」

 

 キリトがゆっくりと頷く。アスナが悲痛な叫びを上げる。キリトとアスナが何か会話をしている。聞こえない。

 

 お願いだ。そんなことはするな。

 

 そいつは死亡フラグって言うんだよ!

 

 それを覆した奴なんて、俺が知る奴の中じゃディアベルただ一人なんだよ!

 

 みなが、仲間たちがそれぞれ必死になって身体を動かし、キリトの名を叫ぶ。俺も、サキだって叫んでいる。

 

 なのにキリトは止まらない。止められない。

 

 すべてが茅場の思惑通りというように。俺には、いまのキリトが、茅場によって予め張り巡らされた蜘蛛の巣に絡まる蝶のように見えた。

 

 最期の言葉を告げるように、キリトが仲間たちに声を掛けていく。おい、やめろ。マジで戦場に死にに行く戦士みたいじゃねえか。なにやってんだよ。格好悪くてもいいから今すぐ戻って来い!

 

 やがて、キリトが俺とサキに向く。

 

「ハチ……お前と出会えて嬉しかったよ。最初に喧嘩したことも、ハチが言ってくれたことも、全部俺は覚えてる」

 

「やめろ……キリトぉ!」

 

 視界が七色にきらめく。俺は泣いている。泣いているのだ。初めて親友と呼べる少年を、俺はこのまま見殺しにしなければならない。そんな理不尽あるか? ふざけんなよ!

 

「サキさん。いつも叱ってくれてありがとう。見守っててくれてありがとう。それと、朝飯ありがとう、美味かったよ」

 

「あんたは、いつだって……ご飯のことばっかなんだから……!」

 

 サキの言葉にキリトが苦笑する。

 

 俺たちの必死の呼びかけもむなしく、遂にキリトがヒースクリフと対峙する。ふたりの間の緊張感が高まっていく。針を刺すような殺気が両者から放たれる。

 

 そして――

 

 

 

「その結末はつまらないですよ、茅場さん」

 

 

 

 動き出そうとしたキリトが止まる。全員が再び瞠目する。あの茅場晶彦ですら、その瞳に動揺の色を滲ませていた。

 

 茅場の胸から突き出した一本の槍。奴の背後からその一撃を食らわせたのは――

 

 

 

「マンダトリー。なぜ君が動ける……?」

 

 

 

 血盟騎士団副団長補佐にしてギルド随一の槍使い。優男の風貌に似合わず、あのサキとすら互角とは言えずも肉薄し得る槍技を持つ男。アスナから訊く限り、指揮能力や腕は立つくせに業務をサボり、あまつさえよく失踪する。そんなことからついた不名誉なあだ名は《働かない男》。まさに、かつての俺の理想系とも呼べる男だ。

 

 そんなマンダトリーが、茅場とキリトを除きただ一人、麻痺などまるで関係ないとでものたまうように。茅場の胸に槍を突き刺して微笑んでいる。

 

 忘れてもらっちゃ困りますよ、とマンダトリーが茅場に声を投げる。

 

「あなたの部下ですよ。初日に内部管理者としてログインしていたでしょう?」

 

 茅場の表情に困惑。

 

「稼動初日のあの宣言には驚きましたよ。でも心底嬉しかったですねえ。なにせ、現実のように常識や法といった拘束に縛られない、人が良心と呼ぶひどく異質で曖昧なものに縋るだけの、この自由で広大な世界を謳歌できることになったのですから。私にとっては夢のようでした」

 

 マンダトリーが笑う。その笑みを、俺はどこかで見たような気がした。なぜ、あの男が浮かぶ。なぜ、髪の色も顔立ちも、何もかもが違うあの男を想起してしまう?

 

「一体、どうやってRoot権限を得た……カーディナルの目をいかにして搔い潜った?」

 

「ああ、実はSAO実装時に、かねてから秘密裏に作っていたカーディナルへの干渉用アプリケーションを仕込んでいたんですよ。最初はただのお遊びのつもりだったんですが、まさかこれが功を奏することになるとは」

 

 人生なにがあるか分かりませんね、と言ってマンダトリーが微笑する。

 

「システムって、外部からの攻撃に対するセキュリティは呆れるくらいガチガチのくせに、内部からの攻撃にはめっぽう弱いんですよね。ホント呆れるくらい簡単でしたよ。ネットワーク系もかじっていて正解でした」

 

 それより、とマンダトリーが言葉を続ける。俺の姿をその双眸に捉えながら。

 

「《軍》のときは楽しかったなあ。さすがにそこまで話術に自信があるわけじゃなかったんで、カーディナルシステムを介してちょちょっとメンバーの感情の方向性、つまりは脳の報酬系に働きかけて洗脳まがいなことをしましたけど。あれは本当に愉快だったなあ」

 

 マンダトリーが、愉悦の鈍い光を湛えた瞳を爛々と輝かせる。

 

 こいつ……こいつは……。

 

 思い返せば、確かにあの《軍》はおかしかった。いくらなんでも、そう簡単に大量の人間を洗脳できるはずがない。いかなカリスマであったとしても、あんな短期間でそれを成し遂げられるはずがない。奴を倒してすぐに彼らが抵抗を止めたのも、その脳への働きかけとやらを解いたからか? すべて手の平の上だったからか?

 

「あの虐殺劇も最高でした! あんな結末に導いてくれたハチマンくんには感謝してもし足りません! 本当に心の底から思いますよ。あなたに出会えて、本当によかったと」

 

 カタカタと身体が震える。それが怒りなのか、驚きなのか、悲しみなのか、あらゆる感情が入り混じって混沌として、俺の身体が震えで止まらない。

 

 おい、嘘だろ。そもそも、あのとき殺したじゃねえか。首を飛ばした感触だっていまも忘れてない。夢にだって見る。なのに、なんであの男がここにいる……!?

 

「お、お前まさか……」

 

 俺の呟きを拾ったマンダトリーが、愉快な声で「ビンゴ!」と言う。当たっても嬉しくなどないゲームに当たる。景品は最悪な結論だ。

 

「私がアポストルですよ。ハチマンくん」

 

「そんな、バカな……」

 

 サキも呻く。

 

 俺たちを地獄の底に叩き込んだ男が、そして俺が地獄へ突き落とした男が、再び現世に舞い戻ってここにいる。平然と両の足で立っている。あり得ない。まったくもって有り得ねえ!

 

「なぜ、という顔をしていますねハチマンくん。それはそうですよ! だってキャラクター自体が違うんですから。私は複数のキャラクターを持っていましてね。アポストルはその内の一体ですよ。ちょっと狂信者を演じてみたくて作ったキャラクターですが、存外楽しくてノリノリで演じちゃいました。ちなみに、第一層で場を煽ったシミター使いも私ですよ? あのときのあなたの演説は最高でした。まさに感動の一幕。キリトくんの懊悩を察し、即座にすべての悪役をひとりで担うその覚悟たるや、もはや英雄と名乗るに相応しい! 一体どれだけのプレイヤーがあなたの決意に気づいていたのか。告白しましょう。私はあのときあなたに一目惚れをしましたよ。あなたこそこの演目の主演に相応しいと」

 

 マンダトリーが饒舌に続ける。

 

「あなたは孤独を装い孤高を気取りながらもその実、心の奥底では他者を求めてやまない。そして一度でも身内と判断したものは自身よりも大事にする。まるで金庫にでも保管するかのように。あなたはあのときこう思ったはずだ。キリトくんにやらせてはならないと。それくらいなら俺が被ると。違いますか? 当たらずとも遠からずと言ったところでしょう?」

 

 うるせえ。俺をお前が語るんじゃねえ。

 

「あなたはきっと絡め手が得意だったはずだ。だというのに、初手からそれを逸した。理由は分かりませんが、正攻法で解決しようとした。しかしそれを私が許さなかった。最後に残ったのはあなたが最も得意とする手段しかない。そして隣には同じ結論に達した己よりも年下の少年。あなたが動くには理由が必要だ。あなたの隣にいるサキさんがその最もたるところでしょう。これだけの要素を揃えたのならば、あなたの方法論ではひとつしかない。それがあの結末です。違いますか?」

 

「うるせえ。お前が俺を語るな」

 

「一応はこの二年間、秘密裏にあなたを観察して導きだした結論なんですから、イエスノーくらいは言って欲しかったんですけどね」

 

 マンダトリーが朗らかに笑った。

 

 はっ、と俺は皮肉めいた笑みが漏れた。

 

 いくど殺しても殺し足りないほどに憎い相手に俺を語られている。しかも大体合っているのだから気持ち悪くてしかたがない。なにより、俺がこの世界で巻き込まれた事件の殆どが、こいつの手の内だった。まさにお釈迦様の手の平で踊ってたわけだ。さぞ愉快だったろう。さぞ面白かったろう。俺はもう笑えない。下らなすぎて表情すら作りたくない。

 

「あれだけのことを仕出かして、お前は一体何が目的だ……」

 

 絞り出した俺の問いに、マンダトリーが答える。実に単純明快な目的を告げる。

 

「楽しければいいんですよ。ただそれだけのために私はここに立っているんですから」

 

 誰もが声を喪う。特に、あの虐殺事件を体験した俺たちは、感情すら失せる。あの地獄を生み出した理由が、楽しい? 楽しいとのたまったのか、こいつは……!

 

「君のような思想を持った者が、部下にいたことに気づけなかった私の愚かさを呪うよ」

 

 茅場の呪詛にマンダトリーがアポストルのように微笑で応える。

 

「精神鑑定テストなんて、自分が異常だと分かっていれば正常のフリをしていくらでも誤魔化せますよ」

 

 さて、とマンダトリーが左手を振る。茅場と同じようにシステムウインドウを動かす。

 

「茅場さんには、ここでご退場頂きましょう。こんなにも楽しい劇をここで終わらせられるかもしれないなんて、私にとっては拷問に等しい苦痛ですから」

 

 茅場の身体に亀裂が入る。腕が落ち、脚が崩れ、そして身体が崩壊していく。

 

「さあ、あなたも当然虜囚たちと同じ結末を辿ります。そう、レンジで脳をチン♪ って奴です。愉快ですね~楽しいですね~」

 

 その身体を硝子に霧散させる寸前、茅場がマンダトリーを睨み、息を吐いた。

 

「これも運命か」

 

「ええ、あなたの死をもって最終劇が幕を開きます。あの世でゆっくりとご観覧あれ」

 

 茅場の体が硝子片と散る。

 

 全員の身体が動かない。キリトもいつの間にか膝をついていた。麻痺を施されたのだ。

 

 マンダトリーが攻略組を睥睨する。とても楽しそうに微笑みながら。

 

「盛り上がっていたところ申し訳ありませんが、何かが変わったわけでもありません。アインクラッド百層攻略という目標は変わりありません。さあ、残り二十五層がんばりましょう。最後の劇を盛り上げてください。そして、みなで愉しみましょう!」

 

 ひとり、マンダトリーが次の階層へと続く階段へ歩を進める。そのさまは、帰りを喜ぶ子どものようでいて。なのに、神々しく輝いて見える。

 

 そう、このとき神が変わった。

 

 茅場晶彦というアインクラッドの神は失墜し、代わりにマンダトリーがその座についた。

 

 ただアインクラッドだけは変わらずここにあって、俺たちが最上階まで登るさまをじっと見つめている。

 

 全員が一様に黙りこくる。静寂がフロア全体に蔓延る。誰もが口を開けない。麻痺など関係なく、何が起こったか完全に理解できていない。俺も混乱していた。頭がおかしくなりそうで、傍にいるサキを、痺れる手でぎゅっと握る。その触れた彼女の暖かさだけが、俺がこの悪夢の中で唯一正気を保つ手段だった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。