ロゴスに反するものどもとロクでなし   作:父親の祖母のひ孫

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世界を影から守る秘密結社的なものってすごくロマンがあるよね。


未知

ルヴァフォース聖暦1853年

 

「なぁ、そろそろ働く時が来たんじゃないか。グレン‥」

 

「え、嫌だ。それよりセリカコーヒーまだ?」

 

ブチッ『其は摂理の円環へと帰還せよ・五素は…「待て待て待て、分かったから!ちゃんと話聞くから撃たないでくれ!」…分かればいい。」

 

「はぁ〜〜、で?いきなり働けってなんなんだ?今まで全く言ってこなかったのに急だな。」

 

「もう一年もたっているんだ!例の事件のせいでお前の魔法を嫌う気持ちも分かるがそろそろ職を見つけて働いてこいグレン!」

 

「あ…悪魔かお前は…!!俺はただ平穏な引き篭もり生活がしたいだけなのに…!」

 

「こっ…こいつ!!とにかくッ私はもうお前の情けない姿を見るのはこりごりなんだ!」

 

「期間は一ヶ月!アルザーノ魔術学院に非常勤講師として働いてこい!これはもう既に決まっていることだからな!それが嫌ならこの家から出て行くんだな!」

 

「そんなこと言うなよ〜、お前の稼ぎなら一生俺のこと養うくらいわけないだろ…。」

 

「そう言う話ではない!いいからさっさと覚悟を決めろ!」

 

「絶対やだね、魔術講師をするぐらいなら物乞いにでもなってる方が…『… 象と理を紡ぐ縁は乖離せよ』イクスティンション・レイッ!!」ドカーーーン

 

「ひぃ!は…はい!…すいません働いてきます……」

 

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〜数日後〜

 

「うおぉおぉー!やべぇ、遅刻する!流石に初日で遅刻するのはやべぇ!」

 

グレンは裏通りを疾走していた。どうやら焦っているようで、必死になっている。その証拠にさながら少女漫画の主人公のように口にトーストをくわえている。

 

そんなグレンの前に突然ローブをまとった人影が地面に倒れた。

 

「くっ…うぅ…。」バタッ

 

「うわっ!危ねぇッぶつかる!」ガッシャーン

 

突然現れた人影に思わずぶつかりそうなグレンだったが、なんとか身を捩って避ける。しかし、その代償としてグレンはすぐ隣にあった果物を売っているであろう屋台に背中から突撃してしまった。

 

「痛ってぇ!ッおい!!いきなり前に飛び出してくん…ッて…大丈夫かッ!」

 

グレンは痛みに顔をしかめ、すぐに自分の前に飛び出してきた者に文句をつけようとする。が、倒れている者の容体が明らかにおかしいため声をかける。

 

「はぁ……はぁ…傷、傷を塞がなければ…。て…『天使の施しあれ』ライフ・アップ…」がくっ

 

倒れている者は傷を塞ごうとしてライフ・アップを唱えるも、かなり衰弱しているせいか気絶してしまった。もはや、顔色は青白いを通り越して土気色になっている。誰の目から見ても重傷者である。

 

「おい!満身創痍でろくに生命力もない時にそれを使うんじゃねぇ!くそっ…遅刻は確定だが…人の命には代えられんッ」

 

名も知らぬ誰かを背負うグレン。

 

「もう少しだけ…耐えてくれ!」ダッ

 

グレンは急いでセリカの家に戻った。

 

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sideセリカ

 

「まったく……ここまであいつ情けなかったのか?まぁ…あの事件の影響も分かるし私の心も痛いが…これでいつものあいつに戻ってくれるといいんだが…。」

「いや…私に重いことは合わんな…。心配しなくてもあいつはしっかりやってくれるさ。とりあえず、まだ時間あるし…コーヒーでも飲むか…。」かちゃかちゃ

セリカはコーヒーの準備をする。

 

「そうだ…グレンはいつ私が時計の時間ずらしたこと気づくかな〜♪早くしとかないとあいつ絶対遅刻するだろうからいい薬になるだろう♪」

 

〜30分後〜

「さて…そろそろ行くか…。コーヒーも飲みきったし、用意もしてある。準備万端だな…。」

 

どんどんどんどん

 

「なんだ?…今から行くんだから勘弁してほしいんだが…。」

ガチャッ「なんだ…どういたしましたか?っと……ッッてグレンッ!」

 

「その背中に背負っているローブの人物はいったい?それに…仕事はどうしたん「そんなことよりッこの人を治療してやってくれないか!学院に行く途中に倒れていたんだ。何者かに襲われたかどうかはわからないんだが重症なんだ!」…!わかった。部屋に移動するからついてこい。」

 

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---------------

 

--------

 

「……………ふぅ。…ひとまず峠は越えた。あとは安静にし、適切な食事を摂れば完全に回復するだろう…。」

 

治療を終えて一息つくセリカに椅子に座っているグレンが声をかける。

 

「ありがとな…流石に目の前で人が死なれると寝覚めが悪いんでな…。」

 

「いや…いい。それよりも何があったんだ?」

 

「あぁ、まぁそう大したことではないんだが…今日から俺は非常勤講師としてアルザーノ魔術学院に行くことは知っているだろう?」

 

「あぁ。」

 

「流石の俺も初日に遅刻するのはマズく思ったんだが…生憎寝坊してしまって急いでいたんだ。…そしてこのままだと遅刻すると思って裏通りに入ったんだ。」

「そのままダッシュで走っていたらいきなり目の前にそこの怪我していたやつが倒れて…あとは今のとおりだ。」(屋台に突撃してしまったことは一応言わないでおこう…)

 

「ふむ…なるほど…経緯は分かった。お前も分かっていると思うが…こいつは多分何者かに襲撃されたのだろう…。」

「脇腹の裂傷、大腿骨の骨折に上肢体が軒並み折れている。果ては肋骨の数本の骨折による内臓貫通。正直これまでどうやって生きていたのかわからないレベルの状態だった。」

 

「ただの事故でここまでの状態にはならないだろうな…」

 

「いったいこいつに何があったんだ……」

 

セリカは生きていることが奇跡としか言いようがない患者の状態を見て、ますますこの人物に対して興味をもった。

 

「グレン…私がこいつを見ておくからお前は学院に行け」

 

そう言われたグレンはふと腕時計で時間を見た。

 

「おいおい!完全に遅刻しているじゃねーか!授業の開始時刻は8時40分なのに、もう9時になってるッ」

 

慌てるグレンにぽつりとセリカが言う。

 

「大丈夫だグレン……お前の時計には私が細工しておいたから、まだ8時00分だぞ……」

 

「え」

 

「あ」(秘密のことで生徒あたりに指摘して貰おうと思ったのに…)

 

「おい…どう言うことだ…セリカァァァ!ヒヤヒヤしたじゃねーか!」くわっ

 

「ふん!どうせ時間を早めもしなかったら…お前は毎日遅刻するだろうと思っていたからな。むしろまだ時間があったことに気づけて良かったじゃないか…。私のお手柄だな…」ニヤニヤ

 

「くそっ…言いたいことは山ほどあるが、とりあえず今は学院に向かうことだけを考えるか…」(自分でも確かに!と思う部分がないわけではないことが余計に腹が立つ…)

 

グレンはセリカの言葉を聞きまだまだ余裕があることが分かったため少し気を抜いた。

 

◇◆◇

 

side???

 

(はぁ…はぁ…、あと少しだわ。……ッいた!)

 

「『天使の施しあれ』ライフ・アップ……よし、これで大丈夫ですよ。」

 

「おぉ…これは驚いた。さっき火打ち石で打ったケガが一瞬で治った。…これが噂の魔術っていうやつか…。ありがとう、これでまた仕事ができるよ…。」

 

「おーい!ルミア〜〜!」パタパタパタパタ

 

「!…システィ!おはよう!」ニコニコ

 

「えぇ…おはよう!遅くなってごめん、それじゃあ行きましょうか!」

 

人通りの多いこの通りで、話す二人は学院生と思われる制服を着ている。どうやら先に待っていて、ケガを治していた女の子をルミア、遅れてきていた女の子をシスティと呼ぶみたいだ。

 

システィは先程ケガの治療をしていたルミアを窘める。

 

「ル〜ミ〜ア〜、あまり一般人に魔法を使ってはいけないことは知ってるでしょ!学院の外でそうやすやすと使ってはダメ、いい?」

 

「う…うん。ごめんね、つい…。」

 

「まったく……先に行ってても良かったのに…。」

 

「いやぁ〜流石にかのフィーベル家の御令嬢を置いて行ったら怒られちゃうよ〜」

 

「もうッそんな事言わないの。私たちは家族なのよ。」

 

「ごめん、ごめん!」

 

からかうルミアに対して少しむくれるシスティは思いを馳せていた。

 

「それにしてもヒューイ先生が辞められたことは残念だったね…。システィの怒涛の質問攻めにも付き合ってくれたいい先生だったのに…。」

 

「確かに、あれほど優秀な先生はヒューイ先生の他にいなかったから本当に残念だわ。」

 

「それよりもシスティ?…今日から新しい先生が来るらしいんだけど知ってた?」

「システィはどんな人だと思う?」

 

「そうね、あまり期待はしていないわ」

「せめて、ヒューイ先生の半分くらいの授業をしてくれれば………!」

 

「うん?システィどうしたの?」

 

「……猫が走ってきた!…口にホットドッグを咥えてこっちに向かってきてる!!」

 

ドドドドドドドト!!!!

 

「え?…猫?こっちにって……きゃっ!!」ゴツン!!

 

ルミアは、システィが言う猫を見ようとして振り向くと向かってきた猫に思いきりぶつかられてしまった。猫はぶつかったことに驚いたようでホットドッグを落としてすぐに人混みに紛れていった。

 

「だ…大丈夫ッ?ルミア、勢いよくぶつかっていたけど…」おろおろ

 

「う、うん。大丈夫…、びっくりしただけ…」

「…でもなんでホットドッグなんか咥えてたんだろう?」(しかも()()()()()()()()()()()気がしたんだけど…気のせいかな…)

 

「そこなのッ?!そんなことよりもっと疑問に思うこと「おーい!!そこの二人!俺のホットドッグ取っていった猫見なかったかッ」…!見ましたよ。ルミアに思いきりぶつかって逃げていきました。」

 

「そうか…助かる、アレは俺の朝食だからな…絶対取り返さんといかん。」グチャ

 

「えぇ、あ…でもいま自分で踏みましたね」

 

「あ…」

「うわァァァァァ!?やっちまったァ!今月俺もう金欠でなかなか食えねぇってのに…まじか…」ガクッ

 

グレンは猫が咥えていたはずのホットドッグが地面に落ちていることに気がつかず、踏み潰してしまった。

 

流石に可哀想に思ったルミアは、グレンに声をかける。

 

「あのー、よかったら私が持ってきたパン食べますか?」

 

「!…確かに…私もあなたのことが可哀想だと思うから、いいんじゃないかしら、ルミア。」

 

「おぉ、それは本当か!是非お願いします!」ニコニコ

 

「はい、どうぞ。」

そう言ってルミアは小さめのサンドイッチを4つほど手渡す。

 

「ありがとな…そういえば自己紹介してなかったな…。俺の名前はグレン・レーダス。お前たちは?」

 

「ちょっと!お前たちなんて言わないでください!私たちにはシスティーナとルミアという名前が…」

 

「わりぃわりぃ、システィーナとルミアな…。!…う〜ん、そういえばどっかで見たことある気がするんだがなぁ…。なんなんだ?」

グレンは何を思ったか、突然ルミアの身体中を触り始めた。

 

当然、ルミアとシスティーナは驚くわけであって…

 

「え?え?え?」

 

「急にルミアにセクハラしてんじゃないわよ!『大いなる風よ』ゲイル・ブロウ!」

 

「え、ちょっ!うわぁぁぁぁぁぁ!……ぐへッ!?」ザブン

 

システィーナにゲイル・ブロウで吹き飛ばされたグレンは真っ逆さまに付近にあった噴水へ着水した。

 

「…は!私は何を?!」

 

「ゴボボボ?!ぶはっ……急に何すんだ!」

 

「ちょっと…システィ?!ダメだよ魔術なんて使っちゃ!」

 

「う、そ…そうね。」

「あの…ご、ごめんなさい…少しやりすぎてしまいました。」

 

「まったく!!親にどんな教育受けてきたんだ!あぁ!」

 

グレンは人が変わったかのように怒鳴りつける。その様子には先程自分がなにをしていたのか、など欠片も覚えていないようである。

 

「まーお前らが悪いこと明白なんだが俺は寛大だからな…許してやらんこともない。」

 

グレンはベタベタの服のまま話す

 

(なんなの…こいつ…)

 

「そのかわりと言っちゃあなんだが…俺の頼みをいくつか「もういきましょ…一人で話してるまま放っておきましょう…」「う、うん。そうだね。」ヒソヒソ…………………………ということでこう言うことを頼みたいんだがお願いできるか?まぁお前たちに拒否権はない…あれ!?あいつらどこ行った…くそぅ俺が喋ってる間に逃げやがって…」

 

グレンはいつのまにかいなくなっていた二人にやっと気づく。二人に頼みを聞かせている様子を想像して周りを見ていなかったようだ。

 

ジリリリリリ!

 

「あ、もう時間過ぎてるじゃねーか!!遅刻遅刻!」

 

グレンは時間が過ぎてることに気づき、学院へ走った。

 

◇◆◇

「あーなんかとてつもなくうざいやつだったわね。」

 

システィーナは一人ごちる。

 

「なんだったんだろう…」

 

「もういいじゃない…なんでも…私たちには関係ないわ…」(そうよ…私はあんな奴にかまってなんかいられないのよ!)

「さぁもういきましょ、学院に遅刻するわ。」

 

「そうだね!!」

 

そう言って先程の出来事などすっかり忘れて、いつもの日常に戻ったルミアの鞄には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のが特徴的な白黒のアクセサリーが付いていたと言う………

 

 

to be continued?

 

 

 




気まぐれscp解説

今回のscpはscp知ってる人なら超有名なあいつだ!…そう!お察しの通り身体が半分しか無い猫、だ。
scp-529 half cat こいつのオブジェクトクラスはsafeだ。簡単に言うと胴体の半分から後ろがない猫である。とくに能力は無いし本当に身体が半分しか無いだけのただのイエネコである。ちなみに名前はジョーシーという。断面図からは体の中は何も見えず、美しい黒い円に見える。そこは触ることができ、撫でられると好感を示す。オリジナル設定として特別なものを持っていない限り一般人はこいつに後ろ半身がないことが知覚できなくなっている。以上、気まぐれscp解説でした。
また気が向いたら書くかもしれんな…。ではこれにて。

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