おすおす、榛東相馬っす。おすおす。
悩みの種だった課題も全部無事に終わらせました。いやぁきついっすね、睡眠時間30分で、途中からランナーズハイっていうか深夜のテンションでもうにやけながらずっと書きなぐってましたよ。えぇ。
え?計画的にやればそんなことにはならない?それが出来れば苦労しませんよ。
しかし、人生っていうのはよくわかんないもんですよね。
ほら、人生は小説より奇なりって言うじゃないですか。まぁ、小さい頃からあんな環境で生きてきたやつが言ったらひにくに聞こえるかもしれまけんけど。
それでも物語より変にこじれることは確かですよね。
ちょっとした些細なことが連鎖に連鎖して話が訳分からなくなって、収拾がつかなくなる。なんてよくありませんか?
「まぁ、でも、これは」
こじれる、てよりネジ切れてるよなぁ。
なんて正四角形の薄暗い部屋で、榛東相馬(囚人)は手首についている手錠の冷たさに溜息をつく。
時間は24時間前に遡る。
その日もいつも通りの朝でいつも通りの登校模様だった。家のちょっと軋んだドアを閉め、階段をおり、いつも通り散歩を少しした後校舎に入る。
そして下駄箱を開けたら、当然かの如く画鋲で溢れていた。俺、掲示板に貼る掲示物無いんだけどなあ。どしよこれ。
とにかく画鋲達をバックにたまたま入っていた紙袋に入れる。そして、異変に気がついた。
「上靴ねぇじゃん」
肝心のものが無かった。
明らかに隠されたな。しかし、ここで慌てたらあいつらの思うつぼだ。ならばここは堂々と以降ではないか。
そう考えた俺は上靴を諦め教室に向かう。歩く姿は範馬勇次郎バリに風を切っていて、サングラスでもかけたい気分だった。勿論周りの目は痛い。
そのまま教室に到着し自分の机に着いた瞬間、鞄を下ろし寝た。
ふふふ、これが俺の防御技。この状態を作り上げた俺は誰にも干渉されない。ボッチの俺には最適な技だ。うん、ボッチですから。
そんなこんなで朝礼まで寝て過ごした。
その後は普通に授業を受けて休憩では寝るを都合3回くりかえした。
そして昼休みになり今日も今日とて塩むすびを食す。今日も塩加減は最悪だ。
「そういえば上靴どこいったんだろ」
遅すぎる愚痴を両足の指先の開放感で思い出す。母親は上靴を買ってくれるんだろうか、怪しい。まぁ、買ってくれなかったらそのまま学業き専念しよう。たかがあと2年だ。気張って頑張ろう。
そんなことを心の中でつついていると、よく知ってる顔がドアから入ってくる。
「よぉ、相馬。今日も遊ぼうや」
あぁ。しょっぺぇ。
しょっぱ過ぎて反吐が出る。
無表情で席を立ち、この続きの展開を分かっていながらも廊下へ出て、あいつに追従する。
高崎提示。同じ学年で違うクラスの、俺の事をいたぶってくれる愛されざるべきクソ野郎だ。こいつの嫌なところは、自分は強い人間だとちゃんと弁えてくるところだ。だから、自分が勝てる奴にしか手を出さない。徹底的にその手法を取ってくる。
ドラえもんのジャイアンは映画版では優しくなるが、こいつだけは映画化しても平常運転だろうと、ある意味信頼できる。そういう男だ。褒めてはいない。
屋上に着くとそこには素行の悪そうな集団が屯っていた。いつの時代のヤンキーだよ。
「よぉー。連れてきたぞー」
「待ってました」「遅せぇよバカ」「ぶっ殺すなよめんどくせぇから」
ここから始まるのはリンチというか、暴力というか、まぁ、憂さ晴らしの時間だった。その最後は俺がボロボロになるだけだ。それでも逃げられないことは確実だ。ならば、耐えることをするしかない。
さぁ、嫌な時間の始まりだ。
何分、経った、のだろう。
ただ体の節々が、痛いのは分かるし、内出血を、起こしている箇所もあるのは、分かっている。血を、流しすぎて、意識が、ぼんやりしている。
ただ、額縁の中の絵を、見ているような、そんな、俯瞰した意識で、捉えてしまっている。
しかし、今回は殴られ、すぎたなぁ。もしかしたら、今度こそ、死んでしまうかもしれない。
「まぁ、それも、好都合だ」
こんな日々を過ごすより、死んで見切りをつけた方がいいことはとっくの前に知っていた。だけど、死にきれずに、引き伸ばして引き伸ばして、それがこのザマだ。
死にかたは最悪だし、死に様も最悪だが、俺らしいっちゃ俺らしい。
さぁ、ここで見切りをつけようぜ。
「あぁ、でも、もうちょっとだけ、幸福に、なりたかったなぁ」
そして、奇跡は訪れた。
ここが俺の記憶の最後の場所。
あの時、俺はあいつらに殴り殺されたはずで、ようやっと死を迎えたはずなのだ。それがなんとこんな暗くて誰も居ない、黒棺の中身みたいな場所で目が覚めて、誰も来ないし、何も無いし、ワケワカンナイヨ!!
さて、ここからは彼が知らぬ続きだ。
そこには、非現実が訪れた。
荒れ狂う嵐の中、1人を除いた生徒たちの身体は、姿の無い逆襲の徒に暴行の限りを尽くされた。
身体中の骨は滅茶苦茶に折られ、顔は原型を無くし、青くないところが無くなるほど殴られた。
しかし、これが自業自得の結末だ。
ただし意識を失っている彼が、榛東相馬がされた暴行の数々を再現しているだけだ。
息をしているだけの肉塊になろうと、どれだけ殴っても耐えられるかとサンドバッグにされようと、口の中に画鋲を入れて開閉させて口内をズタズタにされようと、全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て、
「お前らの自業自得」
黒髪の少女は語る。
今は意識無き不幸な主に代わり、自業自得を執行する。この世界にいつか、害するものがいなくなるように、いつも自分を閉じ込める必要が無くなることを実現するために。
もうこれ以上不幸を知らずに済むために。
「本当は学校ごと、破壊してしまいたい。けど、流石に負担が、大きいから」
これで、お終い。
、と彼女は姿なき逆襲を消し去る。幸い、彼らは息をしており、被暴力者は姿形は原型を留めてないが生きてはいるらしい。
術を解いた彼女は主の前まで歩いていき、淡い光を主にかける。みるみるうちに怪我が治っていき、か細かった息が安定していった。
「これで、大丈夫」
その一言を放ち、彼女は光の粒子になって消えてしまった。