「りっ理乃!?
なんでここに?」
「ジュランが勝手に飛び出したって、連絡があってね」
「いや、飛び出したというよりもここに連れて来られたんだけど!!」
「まぁ、どっちでも良いけど。
とりあえず、そこにいる奴の事を気に食わない事だけは分かったから」
その言葉と共に理乃が取り出したのはギアダリンガーだった。
「えっ嘘!?」
「まさか、理乃も」
【回せー!】
「チェンジ爽快!」
【ヨーソロー!ソーーカイに、レボリューーション!】
その音声と共に理乃の姿は変わった。
それはエンデが変身していたツーカイザーとは色違いの銀色という感じだった。
「ふぅ、という事で海賊のパワー!ソーカイザー!!」
「ソーカイザー!?
また、奇妙な名前だね」
ソーカイザーへと変身した理乃。
その姿はエンデが変身したツーカイザーとは違い銀色をベースにした姿となっており、派手というよりも落ち着きのある印象があった。
手に持つギアダリンガーからもカットラスを思わせるサーベルが出ており、ゆっくりと構える。
「さて、爽快に決めさせて貰うわよ」
だが、それはまるで嵐の前の静けさという表現の方が合っており、次の瞬間には奴の前へと一瞬で詰め寄る。
「なっ」
そのあまりの速さに驚きを隠せない奴はすぐに手に歪んだ形の銃を手に取り、理乃に襲い掛かる。
だが、理乃は剣を振るう事なくただ立ち尽くすだけ……そう思った時だった。
―――キィイインッ!! 金属と金属が激しくぶつかり合う音が鳴り響き、奴の手から弾かれる。
何が起こったのか分からないといった表情を浮かべた奴だったが、すぐに理解する事になる。
「なっ」
それはあまりにも早すぎる理乃のギアダリンガーによる斬撃だった。目にも止まらぬ速度で振るわれた一撃は見事に奴の持つ武器を叩き落としていたのだ。
そしてさらに追撃するように理乃の攻撃が続く。
先ほどよりも早く放たれた一撃により今度は銃を持つ腕ごと切り落とされる。悲鳴を上げる間もなく奴の腕からは大量の血しぶきが上がり、地面へと倒れこむ。
「舐めるなぁ!!」
奴はその叫びと共にその腕から生えたのは別の腕だった。
それはまるで恐竜のティラノサウルスを思わせる物であり、真っ直ぐと理乃に襲い掛かる。
「あらら、すごい再生力ね」
理乃はそれを冷静に見つめると再び素早く後ろに下がると共に取り出したのはセンタイギアだった。
【29バーン!マジレンジャー!】
その音声が鳴り響くと同時に理乃の前に現れたのは、マジレンジャーと戦った戦士である魔導騎士ウルザードだった。
ウルザードの幻影が現れると共に、そのまま理乃と一体化すると同時にその手にはウルザードが使ったジャガンシールドを手に持っていた。
「ドーザ・ウル・ザザード!」
理乃のその言葉と共にジャガンシールドから狼にも似た魔導弾が放たれれ、真っ直ぐと奴に襲い掛かる。避ける暇もない程の高速で迫りくる攻撃を避ける事も出来ず、直撃すると共に爆発が起こる。
その衝撃によって大きく吹き飛ばされる。
「お次は、これ」
【8バーン!バイオマン!】
その音声と共に出てきたのはバイオマンと激闘を繰り広げたバイオハンター・シルバが現れ、そのまま理乃と一体化する。
同時にギアダリンガーも剣から銃へと変形し、そのまま奴へと狙いを定める。
それと共に放たれたエネルギー弾はまさに音速というべき速さで連続に放たれ、奴に襲い掛かる。
避ける暇もなく全て命中した事で、そのまま吹き飛ばされる。
「理乃、それって」
「ほら、私って、結構悪だったから。
その影響もあって、センタイギアを使うと歴代のスーパー戦隊と関係が最も深い敵と繋がる事ができるらしいの」
それは確かにウルザードもバイオハンター・シルバは歴代のスーパー戦隊を苦しめた敵だ。
だけど
「ウルザードはマジレンジャーの父親で最後は味方になってくれた。
だから、余計に頼もしいぜ」
俺の言葉を聞くと嬉しかったのか少し照れるような仕草を見せる。
そんな理乃の姿を見ながら俺は笑みを浮かべながら前を見る。
まだ意識があるのか苦しそうな表情を浮かべている。
「それじゃ、一気に決めるよ、お兄」
「あぁ分かった!」
その言葉と共に俺達は同時にセンタイギアを装填する。
【35バーン!ゴーカイジャー!】
その音声が鳴り響くと同時に俺の横にはゴーカイレッド、理乃の横にはバスコが現れ、そのまま一体化する。
それと同時に俺の手にはゴーカイサーベル、理乃の手にはカリブラスターを手に持つ。
【ファイナルウェーブ!】【ヒーロー!スーパーゼンカイタイム!ゴッゴー!バンバン!ダイゼンカイ!】
その音声が鳴り響くと共に、俺達は引き金を弾く。
それと同時にゼンカイジャーのシンボルマークのビームが真っ直ぐと理乃のビームが合わさる。
「「ゴーカイスクランブル!ゼンカイブラスト&スラッシュ!!」」
そして、そのシンボルマークに向けて、俺達はクロスするように斬撃を放つ。二つの必殺技を受けた奴はそのまま地面に倒れる事無く、爆散した。
「それにしても、結局、この大会は一体なんだったんだろう?」
「さぁね。
けど、どうやら無事に終わったようね」
その言葉と共に、俺達の身体は徐々に光の粒子へと変わっていく。
それは大会が終わり、あと少しで元の世界へと帰る合図だった。
「なんだか、少し寂しいぜ。
もうちょっと、このチームで戦ってみたかったぜ」
ジュランは少し言う。
「そうだな。
でも、きっとこれから先も会う機会がある」
「その時は俺がとっておきの奴をごちそうするぜ」
「あまりカロリーが高くないので頼むわよ」
そう言っている間にも、雨宮さん、トリコさん、マリアさんが徐々に消えていく。
「それじゃ、俺も帰ったらリハビリを続けるわ」
「元気でな、ジュラン」
「おぅ、介人もな」
それと共にジュランもまた消えていった。
「にしても、理乃。
お前、その姿になれるんだったら、なんで早く言わなかったんだ?」
「これ、まだ調整が全然できていないからね。
という事で、本格的な出番まで、少し待っていてね」
「いや、待っているも何も、一緒に住んでいるから、何時でも知らせられるでしょ」
「あのエマが何をするか分からないでしょ」
「まぁ、確かに」
俺達はその言葉と共に、徐々に再び、元の世界に帰って行った。