如月グランドパークに無理矢理参加される事になった俺は、エマに連れて行かれる形で遊園地に回る事になった。
最初は坂本達と共に一緒に行動するつもりだったが
「いやぁ、共謀して、脱出されても面倒なので、別行動させますねぇ」
その言葉と共に、坂本達とは別行動させる事になった。
「それじゃ、どこを回りましょうねぇ。
なんだって、ここのアトラクションは今日限定ですが、無料で遊べますからね」
「はぁ、仕方ないか」
最終的には、この施設で最後の難関である結婚式だと思う何かを乗り越えれば、問題ない。
「おぉ、あれなんてどうでしょうか、介人さん!」
「なんだ?」
そう言って、エマが勧めてきたアトラクションは『大観覧車』だった。
「あー……あれか」
「乗りたいです!」
「はいよ」
そう言いながら、俺達はその大観覧車に乗ろうとすると
「おい、そこの兄ちゃん。
カップルかい? なら、二人で乗れる特別仕様があるんだが、どうだい?」
「へぇ、良いですねぇ、乗っちゃいましょうよぉ!」
「まぁ別に良いけど」
そんな会話をしていると、係員のお兄さんが案内してくれた。
「こちらになります! ごゆっくりどうぞ!」
「はい!」
そう言いながら、ゴンドラに乗り込む二人。
向かい合わせになるように座る中、ゆっくりと上に上がっていく。
「わぁ……」
外の景色を見て感動するエマを見ると、普段の様子とは違う事に俺は驚く。
「普段は金にがめつくて、強欲で、何時も厄介な事ばかりしているのに、こういう時には普通の女の子みたいに見えるな」
「それ、本人の前で堂々と言いますか!」
「だって事実だろ」
「むぅ……」
そう言うと、少し頬を膨らませながらも窓の外を見るエマ。
そして、ふと思った事を呟く。
「ねぇ、介人さん」
「ん?」
「私と一緒にいて楽しいですか?」
「いきなりなんだ?」
「いえ、ちょっと気になってしまって……」
そう言う彼女の顔はどこか寂しげにも見えた。
「まぁ、退屈はしないな。
普段、色々と世話なっているし」
「そっか……良かった」
そう言いながら微笑む彼女だが、また不安そうな表情を浮かべていた。
「それじゃ、一つだけ、お願いしても良いですか?」
「なんだ、いきなり結婚式に行くとかは無理だぞ」
「いえ、今はそれはどうでも良いんです」
「だったらなんだ?」
俺はエマの真剣な表情に思わず息を呑む。
一体、エマは何を
「降りたら、私を抱き抱えてくれませんか」
「いきなり何を言っているんだ、お前」
「だから、抱き抱えるんですよぉ!」
「そういう意味じゃない!」
あまりにも突拍子もない発言に俺は戸惑う。
なんだろう、これは夢なのか?
「だって、だって、今、自分で歩くと確実に出ちゃうんですよ!!」
「出ちゃうって、まさかお前」
その一言と共に俺は察してしまった。
「うっうぅぅ、こんなの、ヒロインとしてやばいですよぉ。
ハーメルン内でも、こんな事をしたヒロイン、いませんよぉ」
「分かった分かったから!!
とにかく、落ち着け!!!」
このままではまずいと感じたのか、とりあえず宥める事にした。
ゴンドラ内で、パニック状態になっている彼女を何とか抑えた。
「とにかく、降りたら速攻トイレに向かって下さい!
なるべく、刺激を与えないように、お願いします!!!」
「あぁ、分かってるって」
「絶対ですからね!?」
「はいはい」
それからしばらくして、ようやく大観覧車を
「あれ、止まっている?」
「えっ?」
その言葉と同時に、外から悲鳴が聞こえてきた。
「キャアァァァ!!!!」
「おいっ、今の悲鳴は何だよ!」
それと共に外の光景を見ると、そこにはかつて、俺と一緒に戦ったブルーンと同じくボウケンジャーのダイボウケンをベースに様々な悪の組織の武装が施された存在が暴れていた。
見ると、既に他のメンバーが戦っている様子だ。
「まさか、ここでワルドが現れるなんて」
「なんで、こんな時に!
こんなピンチの時にぃ!!」
そんな事を叫びながら、彼女は俺の腕を掴む。
「あぁ、こんな時に、あっ」
見ると、ゴンドラからそう遠くない位置に丁度ジェットコースターが走っていた。
「エマ、ギアトリンガーは持っているか」
「えっそりゃ、取り上げた時に持っていますが」
「だったら、返せ。
その代わり、絶対にお前を送り届けてやる」
「介人さん。
くっ、ヒロインの沽券には帰れませんねっ」
そう言って、エマはそのまま俺にギアトリンガーを渡した。
「だったら、行くぜ、チェンジ全開!」
【ババン!ババン!ババン!ババン!ババババーン!ゼーンカイザー!】
その音声と共に俺はゼンカイザーに変わると同時にエマを抱き抱えて、そのままゴンドラのドアを蹴り飛ばす。
「行くぞ、エマ」
「絶対にそっと降りて下さいよ!
これ、絶対に衝撃が凄い奴ですよねぇ!!」
「保証はできない!!
全力全開だぁ!!」
「ひゃああぁぁ!!」
そう言いながら、俺達は一気に飛び出す。
同時に、俺達に気付いたワルドが攻撃を仕掛けてくる。
俺はそれをかわしながら、ジェットコースターに飛び乗る。
「秘密のパワー!ゼンカイザー!!」
「大きな声で言わないでくださいよぉ!!」
上手くジェットコースターに乗り込む事に成功した俺は、そのままジェットコースターの上に乗りながら、ポーズを決める。
走り出したジェットコースターの上で俺はエマを抱き抱えたまま、名乗る。
「とりあえず、まずは送ってからだな」
【12バーン!ライブマン!】
その音声が鳴り響くと同時に俺の足下にはイエローライオンのマークが入ったジェットスケボーが召喚し、そのまま乗り込む。
「ひゃあぁぁ!!スケボーの振動があ!!」
抱き抱えられたままのエマも絶叫を上げる。
そんな事は気にせず、俺はそのままトイレに向かって走る。
その間にも、ワルドの攻撃をかわす為に、アトラクションを破壊しながら逃げる。
そして、どうにかトイレに到着すると、すぐに扉を開けて
「よっこいしょぉ!!」
そのままトイレの中に放り投げた。
その直後、トイレの個室から水が流れる音が聞こえてきた。
俺はそれを確認すると同時にワルドの方へと目を向ける。
「待たせたな、ワルド!」
「「「「「いや、どういう状況!?!」」」」」
俺の一連の行動を見て、ワルドもそうだが、他のメンバーも驚きを隠せない状態だった。
「色々とピンチだったからな。
にしても、あのワルド、厄介そうだな」
「あぁ、能力が驚く程に多くて、対処が難しい」
「何か手はないか」
そう呟く声を聞きながら、
「あいつはボウケンジャーの能力。
だったら、これとこれ、それとファリーナ達はあとでこれを頼む」
そう言いながら、俺は取り出した3つのセンタイギアの内、2つを渡した。
「これを一体」
「なるほど、そういう事ですか」
いち早く俺の作戦の意図に気づいたバイオンはそのままギアトリンガーにセンタイギアをセットする。
【36バーン!ゴーバスターズ!】
その音声と共にバイオンの手元にはイチガンバスターを召喚し、カメラモードでワルドを見る。
「場所は特定しました」
「了解」
それと共に俺の目の前に映し出されているワルドの位置を見る。
同時に
【42バーン!ルパンレンジャー!】
その音声が鳴り響くと共に介人の手にはレッドダイヤルファイターがあり、そのまま走り出す。
「何をするつもりか、知らんが無駄だ!!」
ワルドは介人の存在に気づいたのか、次々と攻撃を繰り出す。
だが、その攻撃は全て弾かれていく。
何故なら、その攻撃全てに対して、バイオンがイチガンバスターを使い、弾いていた。
そして、俺はそのまま接近すると、レッドダイヤルファイターをそのままワルドに押しつける。
【0・3・0】
「なっ」
その音声が鳴り響くと共にワルドの身体に収まっているプレシャスが次々と解放されていく。
それと共に、ワルドの力が弱体化しているのが目に見えて分かる。
「どっどうなっているだっ」
「ボウケンジャーでプレシャスの能力を使っているならば、ルパンレンジャーの能力を応用すれば奪えると思ったからな」
「それで場所の特定の為にこれを使った訳ですね」
そう言い、イチガンバスターを構えたバイオンが言う。
「ぐっ貴様らぁ!」
「あぁ、あと悪いが、こっちも忙しいんだよ」
【14バーン!ファイブマン】
その音声が聞こえると共に、俺の背後にいたファリーナがバズーカ砲へと変形していた。
そして、二人がそのままファリーナを掴み、そのまま撃つ構えを取っていた。
「なっ!」
「それじゃ、永遠にアドゥ」
その言葉と共に俺が離れると同時にバズーカーの一撃がワルドに炸裂した。
同時にワルドは爆発と共に消えていった。
「なんとか、なったか」
「まさか、ここでワルドが出てくるとはな」
そして、そのまま俺は変身を解除する。
「というか、お前達がいるという事はあの時やったのは、やっぱり」
「あっバレちゃった?」
俺の一言に特に気にした様子なく答える。
まったく。
「そういえば、エマは?」
俺は気になり、エマが入っただろうトイレを見る。
そこには、少しだけボロボロになったエマが立っていた。
彼女は俺を見ると、そのまま駆け寄ってきた。
「介人さんのせいでぇ、介人さんのせいでぇ」
「あぁ」
俺はそれだけで察してしまった。
あぁ、まぁ仕方ないか。
「さて、そろそろ帰るぞ」
「いや、まだメインイベントが終わっていませんよっ!!
予定は遅れましたが、まだランチに「あぁ、エマ」なんですか?」
「さっきのワルドが暴れたせいで、エマちゃんの分のランチが中止になったの」
「えっ」
「だから、その、ウェディング体験は、中止になったの」
「うわああああああん!!!」
こうして、波乱万丈な結婚式は終わりを告げたのでした。
「いや、勝手に終わらせないでくださいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
そう叫びながら、俺の腰にすがりつくエマ。
「えぇい、離せ!!
こっちは結婚式なんて、やるつもりはないんだから!!」
既に如月グランドパークから出たが、未だに諦めていないエマが俺から離れようとしない。
「せっかく、準備してきたのにぃぃ」
「お前なぁ、そもそもなんで、そこまで結婚式に拘るんだ?
やっぱり金か?」
「まぁ、それはありますが」
「ほれみたことか」
「ですが、他にも理由はあるんですよ」
そう言って、エマは真剣な表情だった。
「他に?
どういう事だ?」
「いえ、その」
「んっ?」
「私を、正面から見てくれた、初めての人だったから」
「はぁ?」
俺は思わず呆れた声を出してしまう。
「なっ何ですか、その反応」
「いや、だって、正面からって、何時も見ているだろ。
今更、何を言っているんだ?」
「いいじゃないですかぁぁ! 私にとっては重要なんですぅ! もうこうなれば、介人さんには責任を取ってもらいます」
「はぁ、そんないきなり言われても、決めれるかよ」
そう言いながら、歩いていく。
「ほら、さっさと帰るぞ、エマ」
「まったく、介人さんはぁ」
文句を言いながらも、どこか嬉しそうな顔をしながら、俺の後を追いかけてくる。
「本当に、ありがとうございます。
私の硬い殻を砕いてくれたあなただからこそ」
「なんか言ったか?」
「いいえ、何も!
それよりも早く帰って食べましょう!
今夜は焼き肉ですよぉ!!」
「おい、ちょっと待て! その前に買い物だろ!!」
俺は慌てて止めようとするも、既に走り出している。
全く、どうしようもない奴だな。
「でも、こういうのも悪くないか」
俺はそう思いながら、彼女の後を追った。