その日、文月学園は奇妙な出来事が起きていた。
広がっている召喚獣フィールドは学園中にまで広がっていた。
何よりも可笑しいのは、学園を覆い尽くす程の吉井の召喚獣達だった。
「吉井、お前は何か悪さしたのか」
「なんで、一番初めに僕を疑うんですかぁ」
それは吉井は思わず反論したが
「何をやったんだ、明久」
「早く白状した方が良いぞ」
「誰も攻めないから」
「皆まで」
クラスメイト達は容赦なかった。
「まぁ、実際に召喚獣で様子が可笑しいのは、明久さんだけですからねぇ」
そうエマは遠慮無く言った。
「それは、まぁ、だけど、僕だって、何が起きているのか、さっぱり分からないんだから」
「まぁ、明久にそれが分かる知能があったら、苦労はしないよ」
「介人も酷いや」
そう言っている間にも、大量に召喚された召喚獣達は姿を消していった。
だが、それとは別に明久以外の全ての召喚獣達が、そのまま窓の外から出ていった。
「一体何が起きたんだ?」
と、雄二が呟く。
その答えを知っている者はいなかった。
だが、そこで教師の1人が入ってきた。
「吉井君に介人君はいますね。
すいませんが、少しこちらに」
「えっ?」「俺達が?」
何が起きているのか分からず、そのまま俺と吉井達は共に呼び出された先に向かう。
そこにはこの学園の学園長である藤堂カヲルがいた。
そして、彼女はこう告げる。
「実はね、召喚獣システムが暴走してしまったんだよ」
「どういう事だ?」
雄二が尋ねる。
「何者かによって、システムを暴走させられたみたいでねぇ。
こちら側ではアクセスはできないんだよ。
だから、お前さん達には直接サーバールームに侵入して、修理を頼みたいんだよ」
「修理って、僕はともかく、なんで介人達もなんだい?」
「そいつらはこういう厄介事には結構便利だからねぇ」
「あぁ、なるほど」
どうやら、向こうにいる学園長は俺達の事情については既に知っているようだ。
「知っているという事か」
「そりゃあねぇ。
そもそも、ここのフィールドで時間を止めるように色々と許可を出しているのは私だからね」
「それを考えれば、納得だな」
これまでの戦いでなぜ召喚フィールドの中でワルド達と戦った時に時間が止まったのか。
それは学園長自らが介入した結果、そういう仕様になったのか。
「しかし、どうやって修理を行うんだ?」
雄二が尋ねた。
確かに、システムの暴走と言われても、どうすれば良いかなんて思いつかない。
すると、学園長が説明を行った。
「サーバールームに入って、ケーブルを繋いでくれ。
そうしたら、私が外部の端末で防犯システムを切って、扉を開ける」
「物理干渉ができる観察処分者なら簡単ですね」
吉井の言葉に全員が反応する。
「だけど、介人達はどうやって」
「まぁ、なんとかできるだろ。
とりあえず、俺達はさっさと行くぞ」
その言葉と共に俺達はそのままサーバールーム近くにある通気口へと近づく。
「それで、これからどうするんだ?
とても、この大きさじゃ」
「こういう時には色々と便利なのがあるんだよな」
そう言い、俺はセンタイギアの一つを取り出し、そのままギアトリンガーに装填する。
【43バーン!リュウソウジャー!】
その音声と共にリュウソウジャーの武器であるリュウソウケンが現れ、そのまま俺の手元に来る。
同時にリュウソウケンにあるリュウソウルを入れる。
【チーサソウル!ミニミニ!】
その音声が鳴り響くと同時に、俺達の身体は瞬く間に小さくなり、目の前にある通気口に簡単に入れるぐらいの大きさへと変わる。
「おおっ!」
「凄いな」
「これがあれば、楽勝です」
「まぁ、本来はこっちの方がメインだったりするんだけどな」
そう言って、俺はそのまま通気口へと入る。
そうしていると、やがて吉井の召喚獣が見えた。
「お待たせ!って、なんで小さくなっているの!?」
「色々と便利なのがあるんだ。
とりあえず、お前が案内しろよ。
こっちは通信機を持っていないんだから」
「あぁ、分かっている!任せてよ」
そうして、吉井の先導の元、俺達はサーバールームへと向かう。
しかし、その道中には、思いも寄らない敵が待っていた。
突然、地面から出てきた召喚獣の紋章。
それと共に出てきたのは、なんとボイジャル、ファリーナ、パトーラ達3人の召喚獣だった。
それだけではなく、背後には坂本と土屋の2人の召喚獣が立っていた。
「完全に囲まれているな。
ならば、仕方ない。
いっちょ倒すとしますか」
「なんだか、自分の召喚獣と戦うのは、少し複雑だけど、やるしかないよな」
そう言いながら、ボイジャル達も各々のギアトリンガーを取り出す。
「「「「チェンジ全開」」」」
それと共に、俺達は各々が変身を完了させる。
「それじゃ、行くぜ、全力全開だぁ!!」
その言葉を合図に、俺達は各々が戦う相手に向かって行く。
ファリーナ達は自分達の召喚獣達と対峙し、俺はそのまま坂本の召喚獣に近づく。
「といっても、そもそも俺達って、戦えるのかって?!」
そう思っていると、本来ならば触れる事ができないはずの召喚獣の拳が俺に当たった。
「どうやら、召喚獣フィールドが暴走しているせいで、物理干渉ができるようだなぁ!」
そう言うと、そのまま俺と坂本は殴り合いを始めた。
その様子を見ていた他の皆はそれぞれに召喚獣と戦闘を始める。
だが、そんな中でも、俺達は互いに殴る蹴るを繰り返す。
だが、やはりというべきか、俺の攻撃は当たるが、向こうは当たらない。
戦闘経験の違いと、操縦者がいない事もあり、こちらが有利だ。
有利なんだが
「嘘!!」
「あっ」
俺達が戦っていると、どうやら明久がやられてしまった。
「どうする?」
「さすがに、このまま進むのは危険かもしれないな」
物理干渉ができる召喚獣達がこれからどれぐらい出てくるか分からない。
通信が安全に行いながら、ナビができる明久がいない以上、このままでは危険だ。
「ここは一時撤退しかないな」
俺はそう言い、センタイギアの一つを取り出し、そのままギアトリンガーに装填する。
【41バーン!キュウレンジャー!】
その音声と共に俺の前に現れたのはヘビツカイシルバーであり、そのまま俺と一体化する。
同時に俺は残りの召喚獣達に目を向けると、その場にいる全員がその動きを止まる。
「それじゃ、全員、撤退するぞ!」
そう告げると、俺はその場から離れる。
そうして、俺達は無事に皆がいる司令室へと戻ってきた。
「それにしても、どうする?」
そう言いながら、吉井が現在は補修室から戻ってきた。
「作戦を続けます。
回復試験を受けて下さい」
既に疲労している様子だが、このまま吉井の召喚獣なしでの行動は俺達にも危険だろ。
「だけど、よほど高得点じゃないと一発でアウトよ」
その美波の言葉にも納得だ。
「仕方ない。
緊急時だ、あれを使うしかないか」
「あれ?」
そう言いながら、俺はとあるギアを取り出す。
「それって、確かセンタイギアだったけ?」
「あぁ、その中でも、これは禁断のギアだ」
「きっ禁断だって!?」
俺の言葉に全員が反応した。
まぁ、確かに危険な代物だからな。
だけど、今はそんな事を言っている場合ではない。
俺はそのギアを装填し、そのまま引き金を弾く。
【14バーン!ファイブマン!】
その音声と共に現れたのは、ファイブマンであり、彼らはそのまま明久へと吸い込まれる。
「んっ、さっきのは一体」
「とりあえず、さっさと回復試験を受けてみな」
「えっうん」
その言葉と共に、明久はそのまま回復試験を受ける。
「禁断って言うから、構えたけど、結局あれは、何のギアなんだ?」
「それは見ていたら、分かるよ」
すると
「なっ何っ!?
一体何が起きているんだ!?」
「明久が、これまでにないレベルの点数を次々と取っているぞ、これは一体!?」
「このギアには教師で兄弟であるファイブマンの力が宿っており、このギアを使えば、どんな馬鹿でも学校の成績がトップになる知能を一時的に得る事ができる!」
「それは確かに、ある意味、この学園では禁断のギアだ!?」
それはテストの点数がそのまま強さになる召喚獣にとっては、まさに禁断のギアだった。
「介人さん、それを私にも使って下さいなぁ」
「お前は関係ないから、駄目だエマ」
「そんな事言わずに、お願いしますぅ」
「ダメなもんはダメーーーッ!!」
俺がそう言うと同時に、そのままセンタイギアをそのまま仕舞った。
「とにかく、これで明久は問題なく回復するはずだ」
「さて、とりあえず、もう一回侵入するか。
今度は無事に辿り着けると良いがな」
そう言いながらも、嫌な予感を感じながら、再びサーバールームへと向かう通気口へと入っていく。