その日、ボイジャルは思い悩んでいた。
文月学園で起きるワルドとの戦いの中で自分は役に立っているのか。
ゼンカイザーとして活躍する介人を初め、多くのメンバーが集まり始めたが、その中でボイジャルは目立った活躍をしていない。
最初は介人とのタッグで2人で戦っていたが、メンバーが増える内に、その活躍は少なくなり、最近では彼の妹である理乃から、力がない事を突きつけられた。
「強くなりたい。
けど、そんな簡単に強くなんて」
そう思い悩んでいた時だった。
「少し隣良いですか、若人よ」
「えっ?」
誰もいないはずの教室から聞こえた声に、思わず振り向く。
そこには誰もおらず、見えるのは先程まで机の上にはなかったフィギュアのような何かだった。
「これは」
「おう、俺が話しかけたぜ」
「えっ?!」
その言葉に驚きを隠せず、後ろに倒れる。
「痛ったたぁ」
「おいおい、そんなに驚く事かよ」
「驚きますよ!
というよりも、誰ですかあなたは?」
突然現れた人物に驚きを隠せないボイジャルは思わず質問する。
「俺か?
俺はジュラン、ゼンカイジュラン!
まぁ、お前のパイセンという感じだな」
「ぱいせん?あぁ、先輩か!」
「そういう事」
それと共にジュランは軽い感じで言うと、そのまま机に座る。
「あの、その姿は一体?」
「あぁ、これの事については、また今度。
それよりも、何か悩みがあるようじゃないか?」
「えっ」
図星を突かれてしまい、思わず黙ってしまう。
「話したら、少しは楽になると思うぜ?
まぁ、パイセンである俺にどーんと相談してみなさいって」
「……分かりました。
実は」
その言葉と共に、ボイジャルは自分の思いをジュランに話す事にした。
「成程ね~、要するに自分だけが役に立ってないんじゃないかと思っている訳だ」
「はい、そうなんです」
「確かに、介人の妹ちゃんの言う通りかもしれねえな。
だがよ、そんな事は気にする必要なんてないんだぜ」
「えっ!?︎」
ジュランの言葉に驚いたボイジャルだったが、続けてジュランは続ける。
「いいか?
一緒に戦う中で、強さは確かに大事だ。
けどな、大切なのはそればかりじゃないんだぜ」
「大切……」
「そうだ。
力だけじゃなく、他の部分だって重要だ。
誰かのために頑張れる優しさや勇気も必要だし、時には自分が傷つく事も恐れずに立ち向かっていく姿も必要なんだよ」
「……」
「結果出すまで、全力全開だ!」
「っ!」
「介人がよく言っていた言葉だ。
この世界で、一緒に戦ってきたお前なら、分かるだろ」
ジュランから言われた一言を聞いたボイジャルは改めて思う。
(そうだったのか……)
そして、今まで悩んでいた事が晴れた気がした。
同時に、自分の役割を見つけたように思えた。
それと同時に、決意を固める。
「んっ?
なんだこれは?」
そんな彼らが考えていると共に、囲い込まれる空間。
それと共にボイジャルが見えたのはまるで炎の竜を思わせる怪人だった。
一歩、歩けばたちまち炎に包まれ、空間の補助がなければ、すぐに火事になりそうな程だった。
その身体にはまるで救急隊員を思わせる鎧を身に纏っているが、その本人が火事を起こしている皮肉な形だった。
「ありゃ、ゴーゴーファイブパイセンのワルドかっ!」
「っ」
それを見ると同時にボイジャルは飛び出す。
「ボイジャル」
「ジュラン先輩。
見ていてください。
俺も俺ができる事をやってみます」
「・・・あぁ、分かった」
それと共にジュランは頷く。
「行ってこい、後輩!」
「はいっ、チェンジ全開!」
それと共にボイジャルはゼンカイボイジャルへと変わると同時に、背中にあるジェットを噴射させながら、ワルドに向けて殴る。
「貴様は」
そう言いながら、ワルドはボイジャルに向けて言う。
「宇宙パワー!ゼンカイボイジャルだ!」
それと共にボイジャルは手にボイジャルキャノンを持つと、そのまま後ろに下がりながら、攻撃を行う。
ボイジャルキャノンから次々と放たれるミサイルは真っ直ぐとワルドに向かって、襲い掛かる。
しかし、ワルドはその手に槍を持つと共に、襲い掛かるミサイルを全て斬る。
「なっ」
「我の炎の前に、燃え尽きろ」
同時にワルドはもう片方の手に銃で真っ直ぐとボイジャルに向けて引き金を引く。
銃から溢れ出る熱線はボイジャルの肩を掠める。
だが、その威力は凄まじく、直撃を受けた部分はドロドロに溶けている。
それを見ていたジュランは思わず呟く。
「ボイジャル!」
その瞬間、ボイジャルキャノンは爆発し、周囲を巻き込む程の爆風を生み出す。
しかし、ワルドはそれを予測していたかの様に、爆心地から離れる。
その結果、ボイジャルは吹き飛ばされてしまう。
そして、地面に倒れたまま、動けなくなる。
「ふんっ、この程度か」
そう言い、ワルドはその場から去ろうとする。
「結果出すまでっ」
「っ」
それは動けなくなったはずのボイジャルから聞こえた声だった。
「全力っ、全開だあぁぁ!!!」
ボイジャルは倒れていた状態から立ち上がると、両手に持っていたボイジャルキャノンを構える。
だが、先程の一撃でダメージは大きく、ボイジャルキャノンの砲身は変形している。
それでも、ボイジャルは諦めずに構えた。
「無駄な事を」
「本当にそう思うなら、お前の負けだ」
それと共に、ワルドは真横から衝撃を受ける。
同時に見ると、そこには先程までいなかった介人が、ゼンカイザーに変身し、立っていた。
「「介人!」」
それを見て、笑みを浮かべるジュランとボイジャル。
「待たせたな」
そう言いながら、介人はそのままボイジャルの肩を叩く。
熱線を浴び、溶けているが、気にせず、介人は頷く。
「まったく、お前はいつも遅いんだよ」
そう悪態をつけながらも、そのままボイジャルは笑みを浮かべる。
「さぁて、介人。
ここまでこいつが頑張ったんだ。
ここからは俺達も良い所を見せようぜ」
「あぁ、行くぜジュラン!」
それと共に介人は手に持ったゼンカイガッタイギアを手に持ち、そのままギアトリンガーにセットする。
「スーパーチェンジ全開!」
それと共に介人とジュランはそのまま合体し、アームドゼンカイオーへと変身する。
「秘密の「恐竜パワー!アームドゼンカイオー!」」
「宇宙パワー!ゼンカイボイジャル!」
「「「3人合わせて!機界戦隊ゼンカイジャー!!」」」
それと共に介人はその手に持つ龍獣奏撃剣を構える。
「「「全力全開だぁ!!」」」
それと共に介人は走り出し、ボイジャルは手に持ったボイジャルキャノンの引き金を引く。
ワルドはすぐに先程のように槍でその攻撃を切り落とした。
しかし、人の大きさ程あるだろう大剣、龍獣奏撃剣を防御を怠り、その一撃を食らう。
「ぐぅ!!」
懐に強烈なダメージを感じたワルドは顔を歪ませながら、すぐに銃を取り出そうする。
しかし、今度はボイジャルがギアトリンガーで、その手に向けて攻撃した。
それにより、銃を落としてしまい、二度目の攻撃を受ける。
「これはっ」
ワルドからしたら、先程までまるで虫けら程度の印象しかなかったボイジャル。
しかし、彼の攻撃は全て介人の攻撃の手助けをしており、ワルドの身動きを封じていた。
「あんたは確かにボイジャルを1人で追い詰める力はあったさ。
けどな、ボイジャルの本当の強さは、仲間を支える強さだ。
その強さに比べたら、お前の強さなんて、ちっぽけなんだよ!!」
そのジュランの言葉と共に、介人は手に持った龍獣奏撃剣でワルドに斬りかかる。
その斬撃により、ワルドの手から腕にかけて傷が入る。
それにより、ワルドは思わず膝をつく。
「行くぜ、とどめ全開だ!」
同時に介人は懐から取り出した3枚のセンタイギアを龍獣奏撃剣に入れる。
【16バーン!ジュウレンジャー!27バーン!アバレンジャー!37バーン!キョウリュウジャー!】
その音声が鳴り響くと同時に龍獣奏撃剣は光輝き、そこにはジュランが変身したゼンカイジュランになる。
「ジュラン先輩!」
「一時的に復活、ゼンカイジュラン!
という事で、決めるぜ、2人共!」
同時に介人の手にはキョウリュウジャーの必殺武器であるケントロスパイカー。
そして、ボイジャルの手にはスーペリアダイノボンバー、ジュランの手にはハウリングキャノンを持つ。
「「トリニティ!ダイナソー!」」
ボイジャルとジュラン、2人は声を揃えるように引き金を弾く。
それによって、巨大なエネルギーが放出し、二つの光線が一つに交わる。
そして、介人もまた手に持ったケントロスパイカーを投げ飛ばす。
「バスター!!」
同時にケントロスパイカーは巨大な光線と融合し、巨大な恐竜を思わせる姿へと変わる。
そして、その一撃はワルドを貫いた。
その瞬間、ワルドの身体は爆発し、吹き飛ぶ。
「よっしゃ、一丁あがり!」
同時にジュランは再び龍獣奏撃剣に戻り、介人とボイジャルはそのままハイタッチする。
しかし
「まだだだぁ!!」
同時にワルドが校庭に飛び出し、巨大な竜を思わせる姿へと変わる。
「まだ、悪あがきするか。
介人、ここはあれしかないだろ」
「えっ、まさかこれは」
「そういう事だ、後輩、ついて来れるよな!」
「っはい!」
ジュランの一言を聞いて、ボイジャルはそのまま頷く。
「だったら、行くぜ!」
それと共に介人はゼンカイガッタイギアにあるゼンカイジュランギアを反対にして、そのまま引き金を弾く。
【ビックバーン!】
その音声と共に介人は巨大化する。
それに合わせるようにボイジャルもまた巨大化すると
「それじゃ、行くぜ、全力合体!」
鳴り響く音声と共に、介人達の身体は変形する。
各々が半身と思わせる形態へと変わると同時に、合体する。
それによって、誕生したのはまさに一つの巨大戦艦を思わせる姿だった。
巨大な剣である龍獣奏撃剣はボイジャルの持つボイジャルキャノンと合体する事によって、ティラノサウルス型のキャノン砲が特徴的な姿だった。
そして、各々のパーツが合わさる事によって、完成する。
「「「アームドゼンカイオー ジュラジャル!!」」」
3人の心が一つに合わさった姿、アームドゼンカイオー ジュラジャルが誕生すると共に、ワルドに接近する。
ワルドは口から炎を吐き出すが、ジュラジャルはキャノン砲を振るうだけでそれを弾き返す。
その隙を狙い、ワルドは剣を振り下ろす。
しかし、それはジュラジャルのキャノン砲の一撃で打ち消される。
「ぐっ」
「さぁて、まだまだ行くぜ!」
同時にキャノン砲は大きく口を開くと共に、まるでガトリングを思わせる銃弾の嵐でワルドに攻撃する。
それによりワルドの動きは鈍くなり、次第に弱まっていく。
「さぁ、行くぜ、とどめ全開!」
同時にキャノン砲にセンタイギアが次々と装填される。
【9バーン!チェンジマン!10バーン!フラッシュマン!14バーン!ファイブマン!】
鳴り響く音、それと共にキャノン砲へとまるで虹色を思わせるエネルギーが集っていく。
「「「ボイジャル!ギャラクシーバスター!!!」」」
それと共に狙いを真っ直ぐと、ワルドに向けると同時に、砲身からは凄まじい光線が放たれた。
その一撃を受け、ワルドの身体は崩れ落ちていく。
それと同時にワルドは人間の姿へと戻り、倒れ込む。
「ふぅ、なんとか、なったか」
それと共に合体は解除され、そのまま地面に倒れる。
疲労と共に、一歩も動けない中でボイジャルは
「俺、戦えたかな?」
「さっきまで一緒に戦っていたのに、まだそんな事を言うのか?」
そうジュランは呟き、ボイジャルは少しだけ笑みを浮かべた。
「そうだな、ありがとう、ジュラン先輩、介人」
そう言いながら、ボイジャルは気を失う。
「まったく、無茶をしやがるぜ。
まるでお前を思い出すぜ、介人」
「えっ?誰の事」
介人が首を傾げると、ジュランは
「ああ、気にするな」
その一言だけ呟いた。