01節-01
藤丸立香。鏡の前で立つ私はこの姿をそう判断する。
藤丸立香。身体を走る魔術回路はその名を否定する。
私は一体、誰なのだろうか──。
日本ウマ娘中央トレーニングセンター学園。Eclipse first, the rest nowhere.を掲げる日本最大のレースウマ娘育成学校である。その名は伊達ではなく、生徒どころか生徒を育てるトレーナーへの条件が厳しいことでも知られている。あまりに狭き門であるため毎年人手不足で苦しんでいるといううわさが流れるほどだ。
そんな学園の正門前に私は立っていた。正門前の道の周りには早咲きの桜がまだらに咲いており、一月後に控えた入学式に残っているか不安になるほどだった。
さて、守衛に声をかけようとしたとき、聞き覚えのある声が遠くから響いた。学園の中心からこちらに向かってくるであろうその声の主はセグウェイに乗った白毛──否、芦毛のウマ娘。前を走る背の高いほうに、見覚えがあった。茶色から白色に変わってはいるが、確かに彼女だ。
「久しぶりですね、ゴールドシップ」
「げ、フノス……」
まるで朝の占いで「思いがけない再会があるかも」と言われて少し楽しみにしていたら自身の過去を知っている人と会ってしまったときに出すような声。
「丁度良かった。理事長室まで案内してくれませんか」
「なんでさ。フノスなら
「広すぎなんですよ、この学園。朝から疲れたくありません」
しょうがねーなと言いながらゴールドシップは門の近くの茂みから自身が乗ってきたセグウェイと同じものを出す。グリップの端には小さく「ゴルシちゃん号ver.2」と刻まれていた。
「いくぞ、ついてこい!」
私はそう言うゴールドシップにセグウェイで付いていく。
「スーツの嬢ちゃんもそっち側か……」
守衛がそういったのが後ろから聞こえた。
マスター代理覚書
ウマソウルとは特定の人物*1にある分霊であると考えられる。
ウマソウルとはウマ娘が人型の限界を超越する要因である。
ウマソウルには強弱がある*2。
ウマソウルは霊器再臨と同様強くなることがある*3。
ウマソウルには『領域』と呼ばれる固有結界*4を展開する能力がある。
『領域』とはウマソウルの強弱と諸条件*5で発動が決まる。
ウマソウルと魔術回路*6は共存する。
ウマソウルの適正は遺伝することもあるが、極稀に出現することもある*7。
ウマソウルは確立や精神に影響を及ぼすこともある*8。
ウマソウルは低ランクとはいえ神性を持ち、根源に近い存在だと考えられる*9。
この世界は特異点や異聞帯などではなく、平行世界である。*10
この世界に魔術関連の組織がある可能性は低い。*11
この世界には七大兵器がある。*12