あらすじでもあった通り暴力描写ありです。あとがきで人物紹介をしています。
それでもいいという方は本編どうぞ
恩威並行という言葉がある。上の者が下の者に正しく褒美や懲罰を与える様子を指した言葉だ。厳しい言葉のように聞こえるが考えてみれば平和に過ごしたい人にとっては理想的な言葉である。真っ当に生きれば褒美が与えられ自分を害するものには必ず罰が下る。そんな理想的なことはない。
しかし現実はそうは行かない。恩威並行は狂い、不条理で満ち溢れているのが現状だ。今から記す少年少女による日記はそんな不条理の中で互いに愛し、それ以外を信じなくなった二人の一部始終である。
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「てめえ!いつまで透かした顔してんだよ!」
「グッ…お前こそ、いつまで殴り続けるつもりだ…。そんなことしてるから俺や花音に劣るんじゃねえのか?」
「二度とその口聞けねえようにしてやる!」
「いつまでその台詞言うつもりだ」
「んだと!!」
4/10、丁礼田陽頼
中学三年に進級してから6日が経った今日。帰宅寸前の俺は体育館裏に連れてかれ通例の如く暴力漬けの身となった。こんなのは中学入学当初から始まったことであり二年もすれば慣れっこだ。
俺は言わずもがな俺は右腕にロフストランドクラッチを付けており、尚且つ身体的な発達障害のため身長も低く体が弱い。まあそんな俺が背負っているハンデをここに記したところで奴らからの暴力が止まる訳じゃない。そんなことお構いなしである。
暴力漬けとなった原因は一応「勉学で優れている二人がイラつく」ということになっているが奴ら俺らを殴る度に喜びのような感情をちらつかせる。正直なぜ俺達が的にかけられたのか理解できない。
「おーい撤収だ!入った金で遊びまくるぞ!」
「よっしゃー!」
「じゃあな、ろくに抵抗も出来ない哀れな陽頼君。アハハハハハハ!!」
「……」
奴らは遊ぶだとかで俺を殴るのを止めて撤収した。
奴らが撤収した後の体育館裏はさっきまでの嫌な騒がしさがなくなり閑散とした。そこに俺はハアハアとなんとか酸素を取り入れようと必死に呼吸をしてその場に座り込む。結局今日も誰の助けも来なかった。体育館裏に俺がただ一人ポツンと座り込んでいる。その事実が俺をさらに孤独へと追い込む。
孤独を感じる俺のもとへ一人、傷だらけの女神が舞い降りた。
「ハア……ハア…。陽頼君…。酷く…カハッ……やられたみたいだね。」
「貴方も…ハア……あざが出来てるじゃねえか…花音。」
体育館裏からひょっこり姿を表した少女、松原花音は自分の心配よりも俺の心配をし始めた。俺から見た花音は一見すると殴られてないように見えるが花音が制服をめくるとやはりと確信してしまった。吐血している時点で察してしまうが。
「奴ら……殴ったのがバレないように腹に何発も入れやがったか…。陰湿な奴め。」
「アハハ……いつもより痛くないから私は大丈夫だよ。ほら、いつまでもこんな地獄に座り込んでないで速くおうちに帰ろうよ。」
「ああ……そうだな。」
ゆっくりと、ロフストランドクラッチと花音を頼りに立ち、家路につく。もうすぐ天国だ。
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松原花音
私達の家に帰ると陽頼君は早速私をソファーに押し倒した。陽頼君は私の胸の中で力を一気に抜いた。付けていた鎧と仮面をすぐさま外す感覚が本人じゃない私にも分かる。家に帰ったこの瞬間、私達二人は本当の自分に戻れる。陽頼君は私の胸の中で、私は陽頼君を甘やかすことで互いに癒されている。
「陽頼君、泣きたかったら泣いていいんだよ?」
「何言っている。もう涙はとっくに枯れ果てた。」
「そっか。私も枯れ果てちゃったよ。」
「それでもいい。こうして貴方に包まれているなら。」
「……そうだね。」
この瞬間だけは誰にも邪魔されたくない。
邪魔はさせない
私がこの世で数少ない信用できる人、愛することが出来る人、それが陽頼君。もう親もクラスメイトも先生も大人も、私達は信用することが出来ない。私の涙は枯れ果てた。
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だから俺は/私は
貴方を/君を
「「信じて愛する」」
人物設定紹介
丁礼田陽頼(てれいだひより)(男)
中学三年生。過去に巻き込まれたある事件により身体的な発達障害と足の障害を負った少年。そのため花音より身長が低く、学校生活ではロフストランドクラッチが手放せない。花音と数人の人間以外誰も信用していない。
松原花音
中学三年生。陽頼の幼馴染み。陽頼同様ある事件に巻き込まれている。その事件で陽頼を助けようとした際顔の額に火傷痕が出来た。陽頼はその事に今でも責任を感じている。花音も陽頼と限られた数人しか信用しない。
中学生でありながら陽頼の家に花音が住んでいる。幼馴染みという理由からなのかもしれないが果たして真実は
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